ミミキキ・トレイニーズ・ダイアリー

東京の幽霊、G*LMYGLM、継承される電子音

今週は〈TOPICS〉で掲載しきれなかったネタを紹介したいと思います。

まずは、SoundCloudのプロフィールで自らを〈オタク・プロデューサー〉と名乗るUSはペンシルヴェニアの16歳(本当かな……)、ジョーダン・ローラによるトーキョーゴーストの“Pine Forest”。


トラップ
的なビートを使ったトリルウェイヴチルウェイヴの近接ジャンル)の変種……なのかな?(サンクラのタグには〈2TRILL〉とある)、現行のヒップホップで言われるトラップとは出口が全く違う、鬱屈とした閉塞感を促すシンセなどの音響処理がいかにもナードな感じ。彼はNOFVCE名義で『Virus』『Paradise』といった作品をリリースしてきていますが、イルドローンとトラップという組み合わせの大枠は維持しながら、この近辺でうろうろ創作している感じが面白いです。


次は、HELLA GOODNESSなどでも活躍する青森・平川(HILLACAWA)のプロデューサー/トラックメイカー、G*LMYGLMが雨の日にポロッと発表したチルな新曲“Rainy Day”。遠くJ・ディラから流れるノン・クォンタイズ風なビート使いに風通しのいいアコギのアルペジオ&シンセが絡む、これからの梅雨を乗り切るのにはぴったりな一曲。個人的に、彼と同郷のシューゲイザーガレージ・ポップ・バンド、THE EARTH EARTHAyako Haradaをポエトリー・リーディングに迎えた“Further”(作詞はG*LMYGLM)という激ダウナーな楽曲をヘビロテしていた時期があったのですが……それとは対照的なサウンドだったので思わず唸りました。


ラストは、シンセサイザーの先駆け的な楽器〈エレクトロニック・サックバット〉を開発したことでも知られるカナダの科学者/電子音楽家、ヒュー・ルケインの関連音源。これは、77年に亡くなった彼の生誕100年記念として同地のカナディアン・ミュージック・センターが発表したもので、コーネリアスこと小山田圭吾さんも自身のラジオ番組でかけていた電子音楽のクラシック“Dripsody”を、ニンジャ・チューンチョコレート・インダストリーズからのリリースでも知られるジスラン・ポワリエによるバウンダリー、ビートメイカーのエラクエント、電子音楽作品を発表してきたシンガー・ソングライターサンドロ・ペリーという地元の現役アクトが三者三様にリミックスしています。受け継がれる、電子の音。


といことで今週はこのあたりで。

【プロフィール】
船越 太郎

船越 太郎 (ふなこし たろう)

Mikiki編集部員。タワーレコード入社後、店舗バイヤーを経てオンラインのニュース担当となり、このたび〈耳利き〉への第1歩として編集部で勉強することに。ラーメンより蕎麦派。ジャズが流れているシャレオツ蕎麦屋より断然老舗派です。

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