過去の偉業が本当に伝説化しつつある男の約3年ぶりの新作。生まれたての愛娘に捧げた曲などで私的な思いを綴りつつ、切なげに弾むような混迷の時代におけるラヴソング“Love Me Now”で普遍的な愛を歌うソロ5作目は、ここにきて制作陣が一新された。全曲にプロデュースで関与したのはブレイク・ミルズ。ブルージーで官能的な表題曲ではブレイクが手掛けたアラバマ・シェイクスブリタニー・ハワードと絡み合うような歌を聴かせ、クリス・デイヴピノ・パラディーノらが生楽器によるオーガニックでアーシーなグルーヴを醸成。ジョンの教会ルーツを改めて伝える“I Know Better”や骨太でリズミックな“Marching In The Dark”などでソウルの根源的なスタイルを追求して原点回帰しつつ、チャンス・ザ・ラッパーを招いて高層階に住む特権階級層を皮肉ったミディアム“Penthouse Floor”、カマシ・ワシントンがテナー・サックスを添えたミゲル客演のバラード“Overload”では新たな側面も見せていく。いつにも増して力強いアルバムだ。