ジャネル・モネイ主宰レーベルの秘蔵っ子として、満を持してデビュー作を放つナイジェリア出身のジデーナ。一昨年のヒット“Classic Man(Remix)”ではケンドリック・ラマーと対等に渡り合って名を上げたが、このファースト・アルバムからの先行曲“Long Live The Chief”でもハードコアな楽曲でコンシャスなラッパーとしての強度を証明する。かと思えばドゥワップ調の“Bambi”では鷹揚に歌い、“Helicopters/Beware”ではエイコンを思わせる大陸的スケール感も醸してシンガーとしての技量もアピール。しまいにはカリビアン~ダンスホール・テイストな“Little Bit More”を伸び伸びと披露し、アッパーなソカ“Some Kind Of Way”までノリノリで乗りこなしてみせる。一聴しただけでは味わいきれない幅広いチャームのすべてから才気が迸っており、そんな掴みどころのなさは曲者という言葉が相応しい。アンドレ3000と並び称されるのも納得の鬼才だ。