ミミキキ・トレイニーズ・ダイアリー

しがない音楽好きを虜にする砂川七番の秘境とその番人


残念ながら足を運べなかったのですが、個人的には〈早すぎたフリー・フォーク・グループ〉と思っていた音楽家集団、Tsuki No Waの8年ぶりの復活ライヴが先週に行われました(こちらで記事にしています)。

その舞台となったのが、東京・立川は砂川七番にあるgallery SEPTIMAというスペース。都心とは違うゆったりとした時間が流れる郊外の住宅街のなかにぽつんと佇むセプチマは、もとはアトリエだった家屋を利用したという真っ白な壁が目印のギャラリー。ただしオフィシャルサイトを覗くと……音楽イヴェントを中心にワークショップや個展、フリマ、映画の上映会など、いずれも一筋縄ではいかないこだわりを感じさせる催しものがズラリ。そしてこの個性的なアート・スペースを運営しているのが、80年生まれの映画作家、波田野州平さんです。

波田野さんは、昨年に初の長編映画「TRAIL」が上映された映画監督である一方、M.A.G.O.吉野寿eastern youth)、シャロン・ヴァン・エッテンジュリー・ドワロンテニスコーツAmephone's Attcといった国内外のアーティストのライヴ・パフォーマンスを収めた映像シリーズ〈Night People〉や、ハーフ・ジャパニーズジャド・フェアーとテニスコーツの日本ツアーを記録した2012年作のドキュメンタリー「Enjoy Your Life」でインディー音楽好きにも一目置かれる存在。つい先日には、そんな波田野さんの最新作「断層紀」をセプチマで鑑賞してきましたが、〈カメラ=万年筆〉的な技法で綴られたエッセイのような映画においても、撮影地である秋田・大館の小さな村に残るお祭りで奏でられる囃子が強烈な印象で、監督にとって音や音楽は重要かつ特別なファクターなんだろうな、と勝手ながら納得した次第です。ちなみに前述の「TRAIL」には、竹村延和さんのChildiscSweet Dreams Pressからの作品で知られるギタリスト、三富栄治さんが役者として主演のひとりに名を連ねています。

僕が初めてセプチマを訪れたのは、名古屋が誇るハードコア・パンク・バンド、NICE VIEWテライショウタさん率いるGofish Trioのライヴだったのですが(〈Night People〉にそのときのツアーの模様アリ)、それ以来この秘境の虜となって隙を見ては遊びに行くことに。なかでも一番の思い出は、アクロン/ファミリーマイルス・クーパー・シートンがソロでセプチマに襲来した日のこと。ファースト・アルバムから熱烈なファンだったマイルスと肩を並べて一緒に唄い(!)、写真撮ったり長々話せたのは、セプチマのようなリラクシンな環境だったからこそと思っています。アーリントン・デ・ディオニソのプラスチックの排水パイプ(?)を改造した自作楽器によるフリー・インプロヴィゼーションも鬼ヤバだったこの日のイヴェント、〈Night People〉にアーカイヴされないかなぁ……

【プロフィール】
船越 太郎

船越 太郎 (ふなこし たろう)

Mikiki編集部員。タワーレコード入社後、店舗バイヤーを経てオンラインのニュース担当となり、このたび〈耳利き〉への第1歩として編集部で勉強することに。ラーメンより蕎麦派。ジャズが流れているシャレオツ蕎麦屋より断然老舗派です。

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