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MINAKEKKE、孤独まとった稀代の歌声&世界観で魅了! 縁深い面々と初作『TINGLES』再現した大充実のリリパをレポ

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  • 2017.06.20
MINAKEKKE、孤独まとった稀代の歌声&世界観で魅了! 縁深い面々と初作『TINGLES』再現した大充実のリリパをレポ

今年4月にファースト・アルバム『TINGLES』をリリースした、ユイミナコによるソロ・ユニット=MINAKEKKEが、6月11日に東京・新宿MARZでリリース・パーティーを行った。オープニング・アクトを飾るのは、彼女の朋友であり、これまでに何度も共演してきた〈高井息吹と眠る星座〉。繊細かつダイナミックな鍵盤さばきと、キュートな中にも凛とした強さを感じさせる高井の歌声、そしてピースフルで高揚感溢れるバンド・サウンドにより、集まったオーディエンスに鮮烈な印象を残した。

定刻の20時30分が過ぎ、いよいよMINAKEKKEの登場である。脇を固めるのは、『TINGLES』のプロデューサー・橋本竜樹(ギター/ベース/パーカッション)と、本作のレコーディングにも参加したSCAM CIRCLEの堀正輝(ドラムスなど)、そして、トリオ・バンドのIKILLUやモデルとしても活躍する神田愛実(キーボード/コーラス)。さらにシャムキャッツの菅原慎一によるsamoedoやluminous orangeなどをサポートする内藤彩(ファゴット)が、アルバムと同様“KIDS”と“yoru nante kirai da”の2曲に参加した。

幕が上がり、ハモンド・オルガンの荘厳な響きに導かれて“The Illusion's Peak”からスタート。アルバムでも冒頭を飾り、メジャー・コードとマイナー・コードを行き来しながら徐々に高みへと登っていく、スリリングかつ開放的な楽曲だ。ステージ中央に立つMINAKEKKEはフェンダーのストラトキャスターをかき鳴らしながら、ふり絞るようなハイトーン・ヴォイスであっという間にオーディエンスのハートを掴んでゆく。かと思えば続くアシッド・フォークな“KIDS”では、地を這うような地声と、宙を舞うようなファルセットを1曲の中で巧みに使い分け、われわれの目の前にさまざまな風景を想起させる。まるで人間の声のような、ファゴットのあたたかい音色が彼女の声と有機的に絡み合うさまも印象的で、バック・スクリーンに映し出されたサイケデリックな映像と相まって、60〜70年代のヘイト・アシュベリーへとタイムスリップしたような錯覚さえ覚えた。

〈みなさんこんばんは、MINAKEKKEです。ようこそ!〉と短く挨拶した後、舞台は一転して暗闇の森へ。映画「ペット・セメタリー」が世界観のきっかけになったという、“Grateful Dead”の硬質な80sビートが耳に突き刺さり、こちらの心拍数も一気に跳ね上がる。パープルを基調とした禍々しい照明は、アルバムのアートワークをそのままステージに再現したかのようだ。後奏ではさらに、シンセ・ノイズと機関銃のようなドラム・フィルが乱れ飛び、阿鼻叫喚のサウンドスケープを展開。この日の最初のピークを迎えた。

ケルト民謡を思わせるアコギのストロークから、切なくノスタルジックなサビへ、さらにMINAKEKKEのトリッキーなフェイクへと目まぐるしく変化していく曲構成が、タイトル通りメリーゴーランドのような楽曲“Underground Merry-Go-Round”は、そのつかみどころのなさがかえって病みつきになる。また、宇宙の果てにひとり取り残されてしまったような、“Bitter Sweet Memories”の寂寥感と疎外感、引きずるようなビートと変調したコーラスの不穏な響きが、初期ポーティスヘッドを彷彿とさせる“GIRL LIKE GHOST”と、ダークで内省的な演奏が続き、フロアにいながらにして記憶の井戸へと誘われるようだ。

そして、アルバムのハイライトでもある“yoru nante kirai da”が、やはりこの日のクライマックスとなった。リズム隊がステージを降り、アコギの弾き語りを基調としながら、オルガンとファゴットが最小限の音数でアンサンブルを支える。夜のとばりの向こう側から聴こえてくるが如き、孤独をまとった彼女の歌声が、癒えかけた記憶のかさぶたをそっと撫でるよう。ヒリヒリ、チクチク、ゾクゾクといった意味を持つ、アルバム・タイトルの〈TINGLES〉を象徴するような繊細かつソウルフルなヴォーカルに、ただただ圧倒された。

ここからラスト・スパート。パーカッシヴなアコギのカッティングと、鳥のさえずりのようなファルセット・ヴォイスが清々しい“Marian”を経て、映画「ヴァージン・スーサイズ」の主人公がモチーフだという“L.u.x.”へ。静謐なアコギのアルペジオから、徐々に楽器がレイヤーされ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの“Sometimes”を思わせる、橋本のトレモロアーム奏法がビリビリと空気を引き裂いていく。分厚い音の壁が、洪水のようにフロアを埋め尽くし、MINAKEKKEのオルガン弾き語りによる“Haunted Song”で本編は終了。アンコールはタイトル曲“Tingles”を披露した。

レコーディング参加メンバーとともに、アルバムとまったく同じ曲順で演奏し、驚くほど高い再現力によりみずからの世界観を見せつけたMINAKEKKE。ダークなのにカラフルで、デーモニッシュかつキュートな楽曲はもちろん、その類い稀なるヴォーカルが今後どのように進化していくのか。そんな期待を大いに抱かせてくれる素晴らしいライヴだった。

【SET LIST】
1. The Illusion’s Peak
2. KIDS
3. Grateful Dead
4. Underground Merry-Go-Round
5. Bitter Sweet Memories
6. GIRL LIKE GHOST
7. yoru nante kirai da
8. Marian (Youth Mix)
9. L.u.x.
10. Haunted Song
~Encore~
11. Tingles

 


LIVE INFORMATION

〈マノ presents Who is MY HERO ? vol.3〉
日時:2017年6月28日(水)
開場/開演:18:30/19:00
会場:東京・新宿JAM
共演:ポップしなないで、HOME IS A FIRE、あけみ、サーティーン

〈めめ&みわ presents“ファンタスティック・プラネット”〉
日時:2017年7月11日(火)
開場/開演:18:00/18:30
会場:東京・吉祥寺WARP
共演:UlulU、あしからズ、フルー、ゆうれいのいのち

〈Beat Happening!『夏に生ける歌と仲間達』〉
日時:2017年7月20日(木)
開場/開演:18:00/18:30
会場:東京・渋谷7th FLOOR
共演:高井息吹、中野ミホ(Drop’s)、清水加奈(指先ノハク)、NATSUKO POLARIS(絶景クジラ)、sonesolo(ATLANTIS AIRPORT)

〈君と私と音楽と~貴女の声を聞かせてよ~〉
日時:2017年8月3日(木)
開場/開演:18:30/19:00
会場:東京・下北沢CLUB Que
共演:FELiQROOM、Language ほか

〈Thank you, summertime.〉
日時:2017年8月31日(木)
開場/開演:18:30/19:00
会場:東京・Zher the ZOO YOYOGI
共演:S.F-cage、トリコンドル(札幌)

 

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