COLUMN

スフィアン・スティーヴンスがブライス・デスナーらと作った『Planetarium』――アメリカの荒野を経由して、ついに彼は宇宙へ?

【特集:KNOCK ON THE DOOR】Pt.4

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  • 2017.07.12

KNOCK ON THE DOOR
[特集 ]理想の〈アメリカ〉を求めて
アメリカがどこへ向かおうとも、アメリカーナはいつだってここにある。先行きの見えない時代だからこそ、ルーツに根差した音楽と旅に出ないかい?

★Pt.1 FLEET FOXES『Crack-Up』
★Pt.2 JEFF TWEEDY『Together At Last』
★Pt.3 DAN AUERBACH『Waiting On A Song』
★Pt.5 「American Epic」と巡る1920年代の米国/ジョン・フェイヒーに愛を込めて
★Pt.6 ディスクガイド

 


SUFJAN STEVENS/BRYCE DESSNER/NICO MUHLY/JAMES McALISTER

 アメリカーナは、歴史の掘り下げと再検証という縦軸の方向性に重きを置いているが、スフィアン・スティーヴンスの作り出す音楽には同時代性という横軸への志向も強く働いている。例えば2010年作『The Age Of Adz』では、賛美歌やサイモン&ガーファンクルなどを思わせる美しく伝統的なハーモニーと、IDM的なプロダクションが見事に融合していた。つまり、ルーツに根差しながらもそこから横ズレ気味に逸脱してしまう面白味がこの男にはあるのだ。

SUFJAN STEVENS,BRYCE DESSNER,NICO MUHLY,JAMES McALISTER Planetarium 4AD/BEAT(2017)

 そんな彼の最新ワークが、ナショナルのブライス・デスナー、現代音楽家のニコ・ミューリー、そしてスフィアン・バンドでドラムスを担当するジェイムズ・マクアリスターとの連名ユニットで発表したファースト・アルバム『Planetarium』。それぞれ出自の異なるメンツの集合体ではあるが、スフィアンの特異な個性は存分すぎるほど発揮されているので、ソロ作の延長線上にある一枚として聴いても違和感なし。〈宇宙〉や〈星〉といったキーワードのもと、電子音を大胆に取り込んだサウンドは、一聴してエレクトロニカやアンビエント風でもある。しかし、随所に配されたストリングスやホーンが醸し出すクラシカルな響きの向こうには、スティーヴン・フォスターやジョージ・ガーシュウィンの幻影が見え隠れ。過去から繋がる縦軸が現代という横軸を越え、宇宙の先にある未来へ伸びていく――そんな図が脳裏に浮かぶ。