COLUMN

「JAPAN 1974-1984 光と影のバンド全史」 モダン・ミュージックの継承者、その全歴史

モダン・ミュージックの継承者、その全歴史

アンソニー・レイノルズ JAPAN 1974-1984 光と影のバンド全史 アンソニー・レイノルズ(2017)

 いまジャパンというバンドは、どのように評価されているのだろうか。本書でもデュラン・デュランからデモテープが渡されたエピソードが語られてもいるような、派手な化粧を施した、ニューロマンティックの先駆的バンド。あるいは、デヴィッド・ボウイやロキシー・ミュージックのようなモダン・ミュージックを継承し、それをさらに独自に展開したバンド。前者のようなある意味では表層的な、彼ら自身にとっては繊細な内面を覆い隠すための殻のような外見が評判となり、特に日本で他国ではなかったリアクションを得た活動初期には、いきなり武道館のような大きな会場でのコンサートを経験することになった。また、レーベルの移籍後は、よりバンドの外見ではなく、音楽そのものの芸術性によって高い評価を得ていくことになるが、それにつれてバンド内部には軋轢が生じ始める。それは、ありがちなバンドストーリーとも言えるが、10年間という、けして長くはないバンド史は、メンバーそれぞれの成長過程とも言える。

 著者のアンソニー・レイノルズは、メンバーおよび関係者へのインタヴューと過去の発言を中心に、多角的に構成することで、この希有なバンドの歴史を記述している。それは、当時のメンバーの思考の細部にわたって記述され、また、メンバーの解散後の活動までも細かくフォローしていく。初来日時のアンケートですでにデヴィッド・シルヴィアンが、好きなギタリストとしてロバート・フリップあげていたりするのも、そのルーツや指向性を再確認させられ、ジャパンというバンドが、いかにボウイ、イーノ、フリップなどを継承する音楽を追究するものだったのかがよくわかる。

 また、翻訳にあたり、坂本龍一とシルヴィアンの対談といった、当時のミュージック・ライフ誌面の再掲など、写真や資料も豊富に掲載され、さすがシンコーミュージックというべき充実したアーカイヴが本書のドキュメントとしての性質を強化している。

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