音楽の都〈ウィーン〉からやって来た、噂の二人組
ケルト/北欧を中心に伝統音楽の新しい魅力を日本に伝える人気レーベルTHE MUSIC PLANTが手掛ける初の中央ヨーロッパ組(今回はオーストリア)の第1弾である彼らは、ヴァイオリン&マンドラ奏者のクレメンス・ビットマンとチェロ奏者のマティアス・バルトロメイによるストリングス・デュオ。ジャズとフォークをミックスしたユニークなグループ等を発足させ、ソロでも実績を積んでいたクレメンスと、120年にわたりウィーン・フィルに仕えてきた名門、バルトロメイ家の御曹司なマティアスという、性格や出自の異なる二人が、とあるプロジェクトで偶然出会って意気投合。アカデミックな楽器による脱クラシックなレパートリーを追究した結果、自由でプログレッシヴなオリジナル音楽を生み出すに至ったのだった。
この度届けられた『Neubau(邦題:新構築)』は彼らの2ndアルバム。マンドラとピッチカートなチェロでパーカッシヴかつ深く語りかけるように演奏されるオープナーの“Lucca Est”から心を掴まれてしまう! ヴァイオリンとチェロで冬の嵐のように始まる“Ki”には、どこかミニマル音楽を思わせるパッセージも。そして歯切れのいいリズムでノリノリの“Les Pauli”は本盤の推し曲のひとつ。街の様々な場所で撮影された沢山の演奏風景が1~2秒毎にどんどん切り替わる楽しいプロモ映像も必見(開始1分のところで一瞬、マティアスの父上で39年間ウィーン・フィルの首席チェロ奏者を務めたフランツ・バルトロメイ御大も登場!)かも。以下4曲はマンドラと。先ずは疾走感に溢れ、途中でまったりしたかと思えば最後は二人の雄叫びでフィナーレという予想外な展開の“Ballercello”(こちらのPVも楽しい)。美しさと気品が漂うスローな“Harnoncourt”はその名の通り20世紀後半~活躍した偉大な指揮者・故ニコラウス・アーノンクールに捧げられた1曲(マティアスはマエストロ率いるウィーン・コンツェントゥス・ムジクスにもソロで参加)。〈ソイヤー〉というクレメンスの掛け声で幕開けする“Osten”と〈ダビデのダンス〉という意味深な“Davids Tanz”も耳に残る。ここから再びヴァイオリンとの3曲。タイトル曲である“Neubau”は既成の音楽概念を打ち壊して〈新構築〉を目指す二人の意思表明みたいな聴き応えあり。弓なしチェロのリズムに乗せてヴァイオリンで綴られる夜想曲のような“Samt”も素敵だが、ポップ曲のキャッチーなリフを繋ぎ合わせたみたいな“Parovskapproved”(彼らのPVを担当した監督のイメージ?)もカッコいい。ラストの“Wo Der Hund”を訳すと〈犬は何処〉って何だそれ。ライヴが楽しみだ!
LIVE INFORMATION
バルトロメイ・ビットマン来日公演
2018年2月11日(日)東京・武蔵境 武蔵野スイングホール
開演:15:00
2018年2月12日(月・祝)東京・吉祥寺 スターパインズカフェ
開演:17:00
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