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スティーヴ・ガッドがオルガン・ジャズ・トリオでBllboard Liveに登場! 初の来日公演をおこなう3人の経歴は?

スティーヴ・ガッドがオルガン・ジャズ・トリオでBllboard Liveに登場! 初の来日公演をおこなう3人の経歴は?

スティーヴ・ガッドがサックス奏者のミカエル・ブリッチャーとハモンドオルガン奏者のダン・ヘマーからなるトリオ、スティーヴ・ガッド・オン・ザ・ブリッチャー・ヘマー・ガッド・プロジェクトとしてBillboard Liveで来日公演をおこなう。チック・コリアのバックや自身のバンドで度々来日しているガッドだが、このトリオでの公演は本邦初。ジャズ/フュージョン界きってのスター・ドラマーがでデンマークの若手ミュージシャン2人との3人組でどのような演奏を聴かせるのか。本稿では3人の経歴を振り返ることでライヴに備えたい。

 

まずはスティーヴ・ガッド。45年、NY州ロチェスター生まれの彼がジャズ・ドラマーとして活躍し始めるのは、60年代末から70年代初頭にかけてのこと。ラテン音楽やブラジル音楽のリズムにも長けていた活動当初からドラマーとしての評価はおそらく高かったのだろう、ガッドの共演歴は非常にゴージャスだ。前述のチック・コリアを初めとして、チャールズ・ミンガス、アル・ディ・メオラ、ジョージ・ベンソン、アート・ファーマー、ハービー・マン、ジム・ホール、チャック・マンジョーネ……ジャズ/フュージョンの巨人たちとの共演は数多く、枚挙に暇がない。

ガッドの著名なプロジェクトとしては、フュージョン/ジャズ・ファンク・バンドのスタッフが挙げられる。スタッフは、NYのスタジオ・ミュージシャンだったゴードン・エドワーズ(ベース)、コーネル・デュプリー(ギター)、エリック・ゲイル(ギター)、リチャード・ティー(キーボード)、クリストファー・パーカー(ドラムス)、そしてガッドの6人によって76年に結成され、80年まで活動。特に日本国内での評価や人気が高かったことも知られている(ちなみに、パーカーは大貫妙子の77年作『SUNSHOWER』の録音に参加している)。

スタッフの76年のライヴ映像。9分37秒からスティーヴ・ガッドのソロがはじまる。カウベルを使用した特徴的な演奏
 

とはいえ、スティーヴ・ガッドといえばやはり、ポップ/ロック・シーンにおけるセッション・マンとしての活躍だろう。エリック・クラプトン、サイモン&ガーファンクル、ジェームス・テイラー、ケイト・ブッシュなど、レコーディングやツアーにおいて共演したミュージシャンは数知れない。

とりわけ名演として知られているのは、スティーリー・ダンの“Aja”(77年)におけるドラム・ソロだ。吹き荒ぶ風のような激しくダイナミックなソロは語り草となっている。また、ポール・サイモンのヒット・ソング、“50 Ways To Leave Your Lover(恋人と別れる50の方法)”(75年)での演奏もよく知られている。“Aja”とは打って変わって繊細なタッチのマーチング・ドラムは、元軍楽隊員でもあるガッドの面目躍如たる名演だろう。

スティーリー・ダンの77年作『Aja』収録曲“Aja”。4分41秒からウェイン・ショーター(テナー・サックス)のソロと同時にドラム・ソロが始まり、その後6分56秒から再びドラム・ソロが聴ける
 
ポール・サイモンの75年作『Still Crazy After All These Years(時の流れに)』収録曲“50 Ways To Leave Your Lover”
 

そんなスティーヴ・ガッドが近年、力を入れて活動しているのが、この度来日する〈ブリッチャー・ヘマー・ガッド〉だ。バンドの最初のツアーは2014年。デンマーク、ノルウェー、スウェーデンの3国を回り、16の公演をソールド・アウトさせたという。同年の公演はライヴ盤としてレコード/CDで販売されている。また、その続編として、2016年のドイツやイギリスでのライヴ録音をコンパイルした『Omara』がつい先日、2月15日にリリースされた。

Bandcampのページで〈僕はオルガン・バンドの音楽が大好きで、それを聴いて育ったんだ〉とガッド自身がコメントを寄せている通り、いずれもシンプルな編成での演奏を心から楽しんでいる様子が伝わってくる、アツくてご機嫌な音源だ。

ブリッチャー・ヘマー・ガッドの2014年のライヴ映像。演奏曲は“Treme”
 

 

ブリッチャー・ヘマー・ガッドのリーダーで、レパートリーの多くを作曲するのは、デンマークで活動するサックス奏者のミカエル・ブリッチャー。イヴ、カスターニエ(Kastanie)、レイディオスター、アストロ・ブッダ・アゴーゴー(Astro Buddha Agogo)など、デンマーク・ジャズ界において数多くのプロジェクトで活躍している。

なかでも、クティマンゴーズ(The KutiMangoes)はブリッチャーの最も著名なバンドだろう。フェラ・クティに由来するバンド名からも伝わる通りのアフロビート・バンドで、そこにジャズやラテン音楽、アラブ音楽などの要素が持ち込れているエクレクティックな音楽性が彼らの魅力だ。チャールズ・ミンガスの楽曲をアフロビートへと昇華してみせている“Moanin’”などは、彼らの音楽性を象徴している。

クティマンゴーズの2014年作『Afro-Fire』収録曲“Song For Fela”
 
クティマンゴーズの2014年作『Afro-Fire』収録曲“Moanin'”
 

 

そして、ブリッチャー・ヘマー・ガッドでジミー・スミスばりのアツい演奏を聴かせるダン・ヘマーは、ブリッチャーと同じくデンマーク人のオルガン/鍵盤奏者。90年代からジャズ、ロックやポップス、フォークなどの作品で手広く裏方として活躍しており、前述のレイディオスターとアストロ・ブッダ・アゴーゴーにも参加しているので、ブリッチャーとの繋がりはおそらくそこだろう。

セッション・マンではなくバンド・メンバーとしてヘマーが参加しているのは、リンドバーグ・ハマー・ファウンデーションやボサノヴァ・プロジェクトのブラジリアン・ブーツなど。特に面白いのは前者で、『Scandinavian Supermarket-Music At Its Very Best』(96年)や『Brazilian Architecture』(2001年)といった作品に収録されている楽曲を聴いてみると、タイトル通りのスーパーマーケットで流れているようなイージー・リスニングなので、思わず脱力してしまう(実際にスーパーマーケットのBGMとして発注され、制作されたものなのでは……?と勘繰ってしまう)。一方で、クロスオーヴァー系のコンピレーションに収録された“Little Things”はスモーキーでクールなクラブ・ジャズ。ヘマーの才能の豊かさを感じさせる、実に不思議なバンドである。

リンドバーグ・ハマー・ファウンデーションの96年作『Scandinavian Supermarket-Music At Its Very Best』収録曲“Golf” 
 
2003年のコンピレーション『Raw Fusion Recordings Presents Inside Scandinavia』収録曲、マーク・マーフィーをフィーチャーした“Little Things”
 

 

御年72歳にして現役のスター・プレイヤー、スティーヴ・ガッドと個性的な音楽家2人よるブリッチャー・ヘマー・ガッド。彼らの初来日公演は、このパワフルでソウルフルなオルガン・ジャズが聴ける、またとない機会だ。ここまでご紹介した三者三様のバックグラウンドに裏打ちされた圧倒的な説得力を持ったトリオの演奏に、あなたのハートは感動で打ち震えるはず!

 


Live Information
〈Steve Gadd on the Blicher Hemmer Gadd project〉

2018年3月6日(火) Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場 17:30/開演 18:30
2ndステージ 開場 20:30/開演 21:30
サービスエリア 7,900円/カジュアルエリア 6,900円
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2018年3月7日(水) Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場 17:30/開演 19:00
2ndステージ 開場 20:45/開演 21:30
サービスエリア 7,900円/カジュアルエリア 6,400円
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