テレビ番組で〈ラヴソングを作っていないアーティスト1位〉に認定されたこともあるが、大澤会長の言うとおり打首獄門同好会の楽曲は愛に溢れている。美味しいものへの愛。自分や他人が健康でいられることへの愛。何気ない日常への愛。そして日本という国への愛。3.11の日本武道館公演は、そんな愛にあふれたライヴだった。その武道館公演に向けて、各地でのライヴ・フェスの出演や夏盤・秋盤・冬盤のリリースを行ってきた彼らの1年を総括する武道館限定(および後日通販もされる)シングルが今作だ。

かの名曲“天国への階段”のごとく静かに、しかしマグマのように熱くバンドの1年間のあゆみを追った“はじまりのうた”に始まり、ゴリゴリのハード・ロック・サウンドに乗って都道府県名をひたすら連呼する“47”(ここにも日本への愛が)、バンドで初めて作られた楽曲のリメイクながら今と方向性がまったくブレてないことに安心させられる、朝食の重要性を説いた“Breakfast”など5曲を収録。とはいえ、歌詞やテーマの面でもただのコミック・ソングに収まることは決してなく、サウンド面でも常に実験的で驚きに満ち、ただのラウド・ロックの枠には収まらない。そんな彼らの今後への期待が一層高まる作品に仕上がっている。