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ソフト・マシーン、Billboard Liveにて〈最後の〉来日ツアー! 英国ジャズ・ロックの大ヴェテランを観逃すな

ソフト・マシーン、Billboard Liveにて〈最後の〉来日ツアー! 英国ジャズ・ロックの大ヴェテランを観逃すな

英国ジャズ・ロックの雄、ソフト・マシーンが2015年に続き、Billboard Liveに再登場する。

7月28日(土)、29(日)にBillboard Live TOKYOで、7月31日(火)にBillboard Live OSAKAにて開催される今回の来日公演は、残念ながらメンバーのロイ・バビントン、ジョン・マーシャルにとっては最後の来日公演であることが発表されている。事実上、ソフト・マシーン最後の来日ツアーとなる今回の公演は、絶対に観逃せない。本稿では、彼らの歩みや現在のモードを紹介しつつ、ソフツの最後の来日に備えたい。

 

ソフト・マシーンといえば、キャラヴァンやハットフィールド・アンド・ザ・ノースなどが活躍し、60年代から70年代に隆盛を誇ったカンタベリー・シーンの代名詞的バンドとして知られている。あるいは、同時期に英国各地でジャズとロックとの融合が試みられた、いわゆるジャズ・ロックというジャンルの草分けにして代表として、コロシアムやブランドXらと並び立つ存在だ。

彼らにとっては、もちろんどちらの側面も重要だが、後者に関して言えば、初期のメンバーであるデヴィッド・アレン(ギター)は、フリー・ジャズ・シーンで活動していたプレイヤーだった。ちなみに、アレンは後にパリでゴングを結成することでも知られているが、親交のあったウィリアム・バロウズの同名著書から〈ソフト・マシーン〉というバンド名を付けたことでも有名だ。

69年のライヴ映像。演奏しているのは『Third』収録曲“Moon In June”
 

ケヴィン・エアーズらを擁した初期のソフト・マシーン。後にカンタベリー・シーンを担うミュージシャンとなるロバート・ワイアット(ドラムス)は、もともとジャズ・ドラマーに師事していたし、鍵盤奏者のマイク・ラトリッジもジャズを演奏していた。こういった英国内のジャズ・シーンとロック・シーンの近さ、あるいは区分のなさについては、村井康司の著書「あなたの聴き方を変えるジャズ史」や野田努×小川充によるUKジャズ対談でも語られていたところ。ソフト・マシーンの偉大な歩みを振り返ることは、現在のUKジャズとも繋がることなのだ。

閑話休題。68年のファースト・アルバム『The Soft Machine』こそサイケデリック・ロック的だったが(彼らは、実際にジミ・ヘンドリックスやシド・バレット在籍時代のピンク・フロイドと交流があった)、ロバート・ワイアットの色が強まった次の『Volume Two』(69年)ではジャズ・ロック・サウンドへシフト。同路線を追求して70年に発表された、20分近い4つの大曲からなるLP2枚組『Third』は、いまもソフト・マシーンの代表的作品として聴き継がれている。

70年のライヴ映像。演奏しているのは『Third』収録曲“Facelift”
 

サックスやエレクトリック・ギターのフリーキーな演奏が緊張感をもってぶつかり合い、その一方でフランク・ザッパからの影響が顕著な、奇妙かつ美しい独特のアンサンブルがテーマを奏でる。ベースやオルガンにファズをかけ、エレクトリック・ピアノを駆使し、ドラムスはバタバタとせわしなくビートを刻む――『Third』で確立されたソフト・マシーンのスタイルやサウンドは、その後も『Fourth』(71年)、そしてワイアット脱退後(その後、彼はマッチング・モールを結成する)の『Fifth』(72年)、『Six』(73年)と深化をしながら受け継がれていく。

ちなみに、今回来日する(そして最後の来日となる)とロイ・バビントン(ベース)は『Fourth』から、ジョン・マーシャル(ドラムス)は『Fifth』からバンドに参加している来日メンバー一番の古株である。ソフト・マシーンの歴史を知る彼ら二人の演奏を聴くためだけにでも、今回のライヴにはぜひ足を運びたい。

73年のライヴ映像。演奏しているのは『Six』収録曲“Fanfare”“All White”“Gesolreut”
 

その後の『Seven』(73年)ではシンセサイザーの音色が作品を特徴づけ、『Bundles』(75年)では新加入のギタリスト、アラン・ホールズワース(ジャズ~プログレ出身の凄腕で、後にU.K.を結成)のプレイがフュージョン・サウンドへの傾倒を促す。

来日メンバーのジョン・エサリッジが加入したのは、ホールズワース脱退後の75年。翌76年の『Softs』では、実にテクニカルな速弾きを披露している。度重なるメンバー交代などにより崩壊状態に陥っていたバンドは、78年には実質的に終わりを迎える。81年には(現在のフュージョンやニュー・エイジ・リヴァイヴァルに呼応しそうな)『The Land Of Cockayne』をリリースしたものの、制作に携わったバンド・メンバーはマーシャルとカール・ジェンキンスの2人だけだったとか。

ソフト・マシーン・レガシーの2015年のライヴ映像。演奏しているのは『Bundles』収録曲“Hazard Profile”
 

ファンには知られていることだが、メンバー・チェンジの多いソフト・マシーンは一時的に関わったミュージシャンも全員数え上げると総勢30名超もおり、関連バンドも多数ある。例えば、かつてのメンバーが78年に結成したソフト・ヒープ(後にソフト・ヘッドに改名)というバンドがあるし、99年にはマーシャルらがジャズ・ピアニストのキース・ティペットと結成したソフト・ウェアなんてバンドもある。

他にはソフト・ウェアのティペットがホールズワースに交代したソフト・ワークス(2003年)、さらにホールズワースがエサリッジに交代したソフト・マシーン・レガシー(2004~2015年)……と、70年代のソフツの歴史を繰り返すような目まぐるしさ。

〈レガシー〉が〈ソフト・マシーン〉というバンド名へと約30年ぶりに立ち返ったのが、2015年。ジョン・エサリッジ、セオ・トラヴィス、ロイ・バビントン、ジョン・マーシャルという現在のメンバーが揃ったのも同年である。70年代前半のパワフルさと70年代後半のフュージョン路線とを見事に折衷させたジャズ・ロックを演奏している。

ソフト・マシーン・レガシーの2015年のライヴ映像。演奏しているのは『Six』収録曲“Gesolreut”
 

今回の来日がバビントンとマーシャルにとって最後の来日となるのは先に述べた通りだが、ゲイリー・ハズバンド(ドラマーだがピアニストでもある)が鍵盤奏者としてのゲスト参加を予定している点でも観逃せない。ジョン・マクラフリン、アラン・ホールズワース、ジャック・ブルース、ジェフ・ベックといったレジェンドたちと共演を重ねてきたハズバンドも加わったソフト・マシーンの来日に、いやがうえにも期待が高まる。

 


Live Information
ソフト・マシーン ~Farewell JAPAN Tour~〉

2018年7月28日(土)、29日(日) Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場 15:30/開演 16:30
2ndステージ 開場 18:30/開演 19:30
サービスエリア 9,000円/カジュアルエリア 8,000円
★詳細はこちら

2018年7月31日(火) Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場 17:30/開演 18:30
2ndステージ 開場 20:30/開演 21:30
サービスエリア 9,500円/カジュアルエリア 8,500円
★詳細はこちら

●来日予定メンバー
ジョン・エサリッジ(ギター)
セオ・トラヴィス(サックス/フルート/フェンダー・ローズ)
ロイ・バビントン(ベース)
ジョン・マーシャル(ドラムス)

〈スペシャル・ゲスト〉
ゲイリー・ハズバンド(ピアノ/キーボード)

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