変わっていくから気にするな! 理不尽を突破して這い上がる圧倒的な6人はこの先の物語を書き替えていく!?

 「お披露目の日に1stのライヴを観たんですよ。2つに分かれることはちゃんと頭にあったのに、ステージに私がいないで、パンとゴ・ジーラがあっちに立ってるのが……辛いとか寂しいとかいう段階はとっくに卒業しているんですけど、一緒にやってないのが不思議で、やっぱり変な感覚でしたね。でも、学ぶことも多かったです。初めて観たので、BiSのライヴを」(ペリ・ウブ)。

 ってことで、こちらはBiS2nd。アヤ・エイトプリンス、キカ・フロント・フロンタール、ペリ・ウブに加え、EMPiREから完全移籍したYUiNA EMPiRE、オーディション合格者のミュークラブにムロパナコという6人組です。2ndとはつまり〈2軍〉にあたるわけですが、今回はまだ投票結果による選別ではなく、まずは暫定的にバランスを取った初期設定といった格好。こちらのシングルも1stと同じ“Don't miss it!!”と“TiME OVER”を自分たちなりの表現で披露しています。

 

悔しいけど自信はある

——では、ミュークラブさん。不思議の国担当ということですが。

ミュークラブ「はい。『不思議の国のアリス』に〈自分で道を切り拓いていく〉っていう裏テーマみたいなのがあって、私も合宿で脱落しても(敗者復活で)乗り越えてきたから、これからもそうしていきたいのと、まだ自分を出せてなくてみんなに〈不思議〉って言われたので、その2つの意味を掛けてます」

キカ・フロント・フロンタール「ミューは合宿を観てた時から大人しい子なんだなって思ってました。練習してても〈ここわかんないから教えてください〉って言ってきたりするのは苦手そうなんですけど、そのぶん、ひとりで動画を観返したりしてめっちゃ練習してるんだろうなって。その努力が凄い見えます。影でがんばるタイプですね」

アヤ・エイトプリンス「ムロとかとはよくふざけたりしてるよね」

キカ「新メンバー同士だともっと騒がしいんですけど、こうして全員いるときは人見知りで。うるさいミューを早く引き出したいです」

——一方で、ムロさんは合宿の時点からかなり目立ってましたね。

アヤ「ですよね。ヤバイ子がいるなと思って観てたんですけど、実際に会って話したら、こいつはイッちゃってるな、発想とか行動とか発言とか全部が天才だなって。でも、ブッ飛んでるけど、考え方とか凄く筋が通ってるし、しっかりしてんな、オイ!と思って、そのギャップが凄く良いところで」

ペリ・ウブ「でも、誰よりも努力してるよね。天才だけじゃない」

アヤ「わかんないことがあったら、自分から凄い喰いついてくるタイプ。〈どうやってやるんですか?〉とか」

キカ「頭良いよね」

ムロパナコ「うん」

キカ「〈うん〉って(笑)。こういうふうに自分が褒められたこととか、ちゃんと自分で肯定するんです。〈はい、私ちゃんと練習、努力しました〉みたいなのとか」

——いいですね。そういう人は学校とかでは生きにくいかもしれないけど。

ムロ「ああ、凄い生きにくかったです」

左から、アヤ・エイトプリンス/美人担当、キカ・フロント・フロンタール/担当なし、ペリ・ウブ/じんせいらくしょう担当

——〈そして でんせつが はじまった!〉っていう担当は、「ドラゴンクエストIII」のエンディングからですね?

ムロ「そうなんです。ご存知の通りかもしれませんが、〈ドラクエIII〉でシリーズが終わりかと思いきや〈そして でんせつが はじまった!〉って1にストーリーが続くじゃないですか? BiSが分裂して〈何か乗れないな〉って人もいると思うんですけど、BiSは終わりじゃなくて、ここからが始まりだぞという思いを込めたのと、〈ドラクエ〉はそこから30年続いてホントに伝説になったから、私もそう宣言して、伝説を作りたいって思いました。どうですか、グッときましたか?」

——はい(笑)。で、名前は変わらず移籍になったYUiNAさんですが、バク担当っていうのはEMPiREの“アカルイミライ”から?

YUiNA EMPiRE「そうです。BiSHのアイナさんに振付けしていただいたときに、〈私だけ歌割が1個しかないんですよ~〉みたいに軽く話してたら〈じゃあ、間奏の部分で目立たせてあげるね〉って愛が詰まった振りを付けていただいて、それが夢を食べるバクの振付けで。BiSでも夢を食べ続けるってことでバク担当になりました」

——移籍が決まってからEMPiREのリリースと5月1日のワンマンがあって大変でしたね。

YUiNA「ワンマンまでほとんどEMPiREの活動で、気持ちの切り替えが凄い難しかったですね。でも、EMPiREを悔いなく終わらせないと先に進めないと思ってたので、やりきってBiSに来ました」

ペリ「移籍が決まりつつEMPiREをやるのって、ただならぬ思いだったと思うんですよ。私たちもそれはわかってたので、EMPiREでの最初で最後のワンマンをやりきってほしいなって気持ちで見てました」

——EMPiREとBiSを比べてどうですか?

YUiNA「雰囲気は違いますね。EMPiREはみんな同時にスタートして先輩がいなかったし、いまは練習でも学ぶところが多いです。まあ、BiSもEMPiREも一人一人尊敬できるところがあるんですけど。うん、EMPiREはみんな仲が良かったし……いや、BiSも仲良い、仲良い、仲良いですよ(笑)」

——まあ、全員の雰囲気が近い印象はあったかもしれませんね、EMPiREさんは。

YUiNA「はい。BiSは一人一人の個性が強いので、私はどうやって目立っていこうかなって思っちゃいました(笑)」

——じゃあ、2ndも全員揃っての練習とかは本当に最近のことなんですね。

キカ「3月から新メンバーにはひたすら個人練習をやってもらってて、たまに私が顔を出して練習を見たりとか。去年パンとももが入ったときはプーちゃんとサキさんがいてくれたので、今回は自分が引っ張らなきゃみたいな意識が強かったんだなって、お披露目ライヴ後に思いました。〈ちゃんと教えなきゃ!〉みたいな思いがありすぎたというか、お披露目で個人的に凄く悔しい思いがあったんですよ、何か。でも、次の日のライヴ中に3人が凄い成長してるのをより感じて、〈引っ張らなきゃ〉ってより〈一緒にがんばってこう〉みたいな気持ちになりました。なったというか、気付いたというか」

——はい、ではそのお披露目のステージを終えてみて、どうでしたか?

ムロ「どうでしたかな~。一歩BiSに近付けたかなって思います。パンさんが〈初めの頃はBiSっていうよりBiSにいさせてもらってる存在だった〉って言ってたんですよ。でも、〈6人で“WHOLE LOTTA LOVE”を出したくらいから自分がBiSだって思えるようになった〉って言ってて、私もそんな感じです。まだBiSにいさせてもらってるって感じです」

ミュー「緊張はしたんですけど、自分たちのライヴでお客さんが笑顔になってくれるのを見て嬉しかったです。私はアイドルが好きでずっと客席から観てたんですけど、いまは自分がステージにいて。もっと良いパフォーマンスができるようにがんばろうと思いました」

YUiNA「EMPiREとは雰囲気が違って、みんな前のめりというか、圧が熱くって。EMPiREのワンマンも前半の11曲に出たんですけど、最初から最後まで21曲もライヴをしたのが初めてで、〈こんな楽しいんだ!〉と思って。やっぱ観せ方も前と同じじゃダメだし、BiSとしてカッコ付けてやりました」

アヤ「初めてステージに立ったミューとムロが緊張しながらもキラキラした目をしてて、私が忘れかけていたものを思い出させてくれた感じがしました(笑)。前の5人体制も明るかったけど、3人が入ってきて2ndはもっと明るくなった。楽しい」

YUiNA「うん、ホントに毎日楽しいです」

——そんななかでニュー・シングル“Don't miss it!!”が出ますけど、音源もPVも対照的な出来ですよね。

BiS2nd Don't miss it!! CROWN STONES(2018)

キカ「同じ曲なのに歌も振り付けもそれぞれ違って、1曲で2度楽しいっていう」

ペリ「ただ、わかってるけど1stが優遇される。PVだってさあ、1stは香港で撮ったのに、うちら神奈川のスクラップ工場ですよ。全員パスポートも取ったのに」

アヤ「〈急いで作って〉って言われたのに、ふわっと〈2ndは国内なんで〉って」

ペリ「だから悔しいんですけど、PVは凄くカッコ良かったし、自信はあります」

YUiNA「ホントに自信を持ってる」

キカ「私たちは私たちの音源もライヴもカッコイイと思ってるんで。“Don't miss it!!”はペリがめちゃくちゃ良い振りを付けてくれたしね」

ペリ「ありがとう。でも、ホントにこの振付けがいろんな人に褒めてもらえて、嬉しくて。いま凄い天狗です(笑)」

 

寂しくないわけない

——はい、その“Don't miss it!!”、歌ってみていかがでしたか?

ミュー「曲を聴いた時に何か凄く好きな感じだなって思いました。レコーディングも初めてなので歌は難しかったですけど、落ちサビのムロと歌うところが楽しい。ライヴでは手を繋いで歌うところなんです」

キカ「2人の見せ場だね」

ムロ「私は1人で歌うところがいちばん少なくって、落ちサビの〈中身は何ですの?? 開けて食べてお楽しみです!〉だけなんですよ。だからホントに大切に歌ってます。たぶん私は合宿からポンコツって思われてて、でも、〈それだけじゃねえんだぞ〉って、開けて食べてお楽しみな自分を出していきたいって気持ちで歌ってます」

YUiNA「初めてBiSのレコーディングをやったんですけど、凄い速くて、プロデューサーの松隈(ケンタ)さんに〈テンポが全然ついていけとらんね〉って言われたんですよ。〈EMPiREはチンタラ歌っとったもんね~〉って、ふざけてですけど(笑)」

——いやな冗談だ(笑)。

YUiNA「だから、カッコ良く歌いました」

アヤ「YUiNAのめっちゃ可愛い声が凄いBiSの曲に合うんですよ。なかなかない声」

キカ「YUiNAが参加した去年の合宿の時からずっと思ってたよ、この声好きって」

YUiNA「それはめっちゃ嬉しい。そうだ、去年“BiSBiS”歌ってたんですよね~、私」

——まさか、そんな伏線が(笑)。

YUiNA「まさかまさか(笑)。でも確かにBiSに入ってから、〈声良いね〉って言われることが多くなった気がします」

ペリ「良い味になってるよね」

——キカさんとアヤさんの強い声が軸にあるのでYUiNAさんの声も映えるというか、良いバランスになってますね。

キカ「確かに。2ndは声のバランスが良いなって私も思ってます。私はわりと声質が太いというか低めなので、だからこそYUiNAとかペリのスコンと抜ける声がより目立つし、私のその声質をうまいとこに使ってくださってるなって思いました(笑)」

YUiNA「キカさんの〈中身は何ですの??〉の落ちサビがめっちゃ良い」

キカ「ああ、〈葉巻を吸ってるダンディーなおじさん風に歌って〉みたいに松隈さんに言われて歌ったところ。うまく引き出していただいてありがたいです(笑)」

——曲調は“WHOLE LOTTA LOVE”をパワーアップしたような感じだし、歌詞は全体的にここ最近のBiSを取り巻く状況とか、皆さんの気持ちが詰め込まれたように読める部分もありますよね。

アヤ「そうなんですよ。ペリが歌う〈噛みきれないの私たちです〉とかもプーちゃんに向けて歌ってる感じになるのかな、とか考えたりしました」

ペリ「なるほどね~」

キカ「繋がるワードがけっこうあるよね」

アヤ「うん。ちょくちょくそういう、〈お味が〉とかも“BiSBiS”っぽいと思ったり。表題曲のほうは意味がこもってるなって」

左から、YUiNA EMPiRE/バク担当、ミュークラブ/不思議の国担当、ムロパナコ/そしてでんせつがはじまった!担当

——はい。一方でカップリングの“TiME OVER”はペリさんの作詞で。

YUiNA「ペリさんらしいなって思いました。凄い元気が出る曲」

キカ「ペリにしか書けない歌詞だよね。だって、あの、〈カーテンを \早起きして/〉のスラッシュもそうだし、あと、〈笑って 笑って 僕の笑顔は太陽〉ってワードも凄い」

ペリ「これは心が落ち込んじゃった自分を元気付けたいなっていう内容です。だって、寂しくないわけないんですよ。だから自分に〈笑って〉って言い聞かせてるんです」

——書いたのはいつ頃ですか?

キカ「4月の頭ぐらいかな?」

ペリ「そうですね。いろんな人に向けてて、何だろうな、もう会わなくなっちゃった人とか、ガミヤサキ(仮)っていたじゃないですか? 私が凄く恋してたんですけど、もう会えなくなってしまって、それも思って書きましたね、ラヴソング」

キカ「叶わなかったラヴソングだね」

ペリ「そう。〈もう次に進むよね〉っていう。それが、いろんな人に向けて……ももらんどもそうだし、理由はともあれ、元気がない人に向けたエールになってほしいなって」

ムロ「“ロミオの心臓”が、プー・ルイさんが元気ないペリさんに向けて書いた曲って聞いたんですよ。それで元気づけられたペリさんが、今度は元気ない人に向けて書いたっていうのが……何か、何か凄いなって」

キカ「いいね」

——成長ですね。1年前は“ぎぶみあちょこれいと”で〈ちょこちょうだい〉とか書いてた人が(笑)。

ペリ「はい。何の意味もないような(笑)」

——心の痛みを乗り越えて。これは“TiME OVER”のほうが好きになるという人も多そうです。

キカ「わかります、私も。普通に何かUKロックみたいな感じで、バンドがやってそう」

ペリ「ロックだけどこういう曲調のBiSは初めて歌った感じでした、私も」

アヤ「何か洋楽みたいなカッコ良さ」

ペリ「いまで良かった。だって、大人はみんな1st、1stって言ってるしさ。そこで2ndの私の詞が採用になって良かったです」

——現時点では暫定的なチーム分けですけど、ここからの〈BiS.LEAGUE〉についてはどんな気持ちで構えていますか?

ペリ「BiSは10人だって意識でいますね。みんなはどうなのか、一人一人に確認取ってないからわからないんですけど」

キカ「確認って(笑)」

ペリ「でも、これからBiSが良くなっていくためにやってることだし、2ndは圧倒的にズバ抜けて1stより上に行かないといけないんですよ。同じくらい良いものを出しても並んだままだし、それだと意味がないので」

アヤ「いまは10人って気持ちよりも2ndっていう意識を強く持ってて、〈全員で1stに上がるぞ〉くらいの勢いでいかないと、この制度も意味ないなって私は見てます。この6人をどこまでカッコ良くできるかが、たぶんBiSの今後に繋がってくるんだろうなって」

——そうですね。では、次回は投票後の1stの皆さんにお話を伺えればと思います。

キカ「そういう差が付いちゃうんですね」

ペリ「はあ? 1stも2ndも最強だったらさあ、どっちも取材してくれるっしょ?」

アヤ「アハハハ、タメ語かよ(笑)」

キカ「だとしても、2ndをそういう存在にしていくのがいまの私たちの役目だからね」

ペリ「……ん? 次は私はどっちにいるかわからないのか」