Are You Ready for BiS?
ここ数年のストイックな積み重ねが瓦解したような状況のなか……BiSは何度もそこから立ち上がる。もう全部めちゃくちゃにしたい感情を再構築して吐き出すニュー・シングルは新しい時代を拓く!

 ここ数年の閉塞した状況下でもストイックに前傾姿勢で駆け抜けてきたBiSですが、2022年はかつてない激動の年になりました。新加入のナノ3を迎えた5人組での初シングル“DA DA DA DANCE SONG”リリース直前にトギーが怪我の治療で休養に入り、4人で臨んだ7月のシングル“Hey boy hey girl”リリース直後にチャントモンキーが脱退。8月にトギーが復帰し、〈WACK合同オーディション2022 in SUMMER〉で合格したヒューガーを10月に加えて再度5人組になるも、年末にはイトー・ムセンシティ部とネオ・トゥリーズが脱退を発表……今年1月の日比谷野音ワンマン〈ESCAPE from BiSimulation〉で2人を送り出してからは、トリオ編成で雌伏の時を過ごしてきたわけです。

 そんな苦境を経て3月の〈WACK合同オーディション〉でイコ・ムゲンノカナタ、クレナイ・ワールズエンド、シオンエピックの3名が新加入。5月に6人組で初ステージを踏み、現在は全国ツアー〈3 balls and 2 strikes TOUR〉の真っ最中です。……という長い前置きを踏まえて、新体制で初のリリースとなる実に1年ぶりのニュー・シングル“イーアーティエイチスィーナーエイチキューカーエイチケームビーネーズィーウーオム”がこのたび完成しました。初顔合わせの中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)がサウンド・プロデュースを手掛け、中野と小林祐介(THE NOVEMBERS)のコンビ=THE SPELLBOUNDが書き下ろしたエッジーでパワフルな新曲は、フルカウントに追い込まれたBiSに新時代をもたらすのでしょうか?

BiS 『イーアーティエイチスィーナーエイチキューカーエイチケームビーネーズィーウーオム』 ULTRA STUPiD(2023)

 

背が高くなったよ~

――新メンバーの皆さんがWACKを志望したきっかけから教えてください。

クレナイ・ワールズエンド「はい。私は去年の合宿オーディションにも参加していたんですけど、その時は自分の恥ずかしがり屋な部分っていう殻を破るために参加していて。そこで落ちてしまったのが悔しかったので、2023年はその思いを晴らすために受けました」

シオンエピック「私は『水曜日のダウンタウン』で渡辺(淳之介)さんを知って、そのやり方とかが凄い好きで、一緒に働きたいと思ってWACKを受けました」

イコ・ムゲンノカナタ「ずっとWACKが大好きで、2年ぐらい前から毎回オーディションを受けてました。合宿じゃないオーディションも2回応募してましたし、その流れで今年も受けて、合格させていただけたって感じですね」

――皆さん何度もチャレンジして加入されたわけですね。ちなみにヒューガーさんも今回が初取材になるので、同様にお願いします。

ヒューガー「はい。私はもともとアイドルが好きやったんですけど、BiSHさんを好きになって〈どうなってもいいから一回挑戦してみようかな〉と思って応募したら合宿まで通してもらえて、それで諦められなくなってしまいました(笑)」

イコ・ムゲンノカナタ

――一昨年と昨年の合宿に参加されていましたけど、その間も何度も応募されていたそうですね。

ヒューガー「もともと負けず嫌いで、〈クソ~!〉って思ったら、ずっとやってしまうタイプなので(笑)。最初の合宿でチャントモンキーさんと一緒にやらせてもらった時にBiSがカッコイイなと思って。それからはBiSがどんどん好きになってずっとめざしてました」

トギー「ヒューガーが合格した夏のオーディションは、開催が決まった時点ではモンちゃんもいたので。だからホントに奇跡のタイミングでしたね(笑)」

ヒューガー「そう、BiSのオーディションじゃなかったから」

トギー「でも、ヒューガーは加入してからずっと誰かと比べられてきたと思うので、よくがんばったなって。イトーとネオが抜けて3人になった時には、もう後輩みたいな立場ではいられなくなって大変だったと思うんですけど、その経験が活きてる感じはあるので良かったんじゃないかな(笑)」

――環境に育てられたわけですね。

トギー「良くない話題がいろいろあったとしても、それをどう自分の力に変えていくのかが大事なことなので。私も葛藤はあったけど、みんなでそれを強みに変えてきた感じはあります。それで言うと、ナノも3人体制になる前まではホントにお子ちゃまだったので(笑)」

ナノ3「ンフフ」

トギー「新メンバーだった頃は自由にやってたと思うんですけど、やっぱり責任が生まれてきて凄くしっかりしたな~って思いますね」

――今年の合宿にはトギーさんも参加されていましたね。

トギー「はい、加入した3人はいままでBiSにいなかったタイプの子で、私の中でもBiSに欲しいなって思った3人だったので。みんなが最後まで残ってくれたことも嬉しかったし、そのなかで入ってきてくれたことも凄く嬉しかったですね」

――ナノさんとヒューガーさんは選考の過程で3人をどう見てましたか?

ナノ「私とヒューガーで〈この子、どうだろうね?〉って話をいっぱいしながらニコ生を一緒に観てたんですけど、トギーが言った通り、私たちも凄く気になる存在だった3人が入ってきてくれたなっていう感じでした。クレは前の年にもいたので、まず〈お~! またいるぞ!〉って。でも去年はすっごいふわふわしてて可愛い感じだったのが、今年はしっかりした印象でしたね。イコはスタイルも声も良くて最初から目を惹かれました。で、シオンはどんな子なのか最後の最後まで全然読めなかった(笑)。いまでも新しい発見が毎日あるんですけど、合宿中の1週間だけでは魅力が伝わらないのがシオンだなと思います」

クレナイ・ワールズエンド

――そんな6人での初ライヴとなった5月14日の〈BiS the REPRODUCTiON LiVE〉は振り返ってみていかがでした?

シオン「お披露目ですか? う~ん、何か見たことない景色を見せてもらってるな~っていう感じがしました。思ってたよりも凄い楽しかった」

クレナイ「もともと緊張するタイプだから、ガッチガチになるかなと思ってたんですけど、ステージに出てったら〈こんなに楽しいことあるんだ!〉って思うぐらい楽しすぎました。練習してるときは不安だったんですけど、本番はもう不安とか1ミリもなくて、もう楽しいだけでできたのが凄い良かったです」

イコ「私はクレと真逆でお披露目の日はずっと緊張してて、いろいろ飛んだ部分もあったんですけど、ツアーが始まって何か所か終わってみたら不安も緊張もなくなって。やっとやりたいことができてるなって思って、毎回ホントに楽しく幸せにライヴやってますね」

ヒューガー「6人での初ライヴから1週間後ぐらいでもう大阪に行かせてもらって、勢いのままツアーでいろんなところを回らせてもらえて凄くありがたいですね」

――比較するわけではないんですが、トギーさんから見て新しいBiSは前とどこが変わりましたか?

トギー「背が高くなったよ~」

ヒューガー「イコのおかげで」

――それはそうです。

トギー「えっと、前までのBiSはみんな全力でみんな元気で、一人一人の全力パワーが物凄く強かったんですけど、いまはそこに焦点を置いてないと思っていて。このメンバーならみんなバラバラの強みがあるなっていうイメージですね。それぞれ持ってる強みがあると思うので、そこを伸ばしていけたら凄く良くなるなって思ってます」

ナノ「それこそ私が入った時は、4人についていけるように必死にがんばらなきゃって思ってやってきたんですけど、BiSも新しく変わったので、私自身も同じ考えのままじゃいけないし、私も成長しないといけない場面だなって思っています。前までのメンバーならそのやり方が良かったのかもしれないけど、トギーが言ったように、個々が違った面で目立てるようなグループになっていくことがBiSの良さになるんじゃないかなって思ってます」