高橋悠治、波多野睦美、栃尾克樹の顔合わせで2012年に結成された“風ぐるま”の2枚めのアルバムです。時里二郎の詩、高橋さんの作曲による作品集。《納戸の夢 あるいは 夢のもつれ》は、歌唱の部分と語る部分が、凝縮されたピアノとバリトンサックスの音と共に浮遊するように行き来し、その中に夢か現かの幻想的な詩の情景が広がる独特の魅力の作品。《鳥のカタコト 島のコトカタ》も語りと楽器が絶妙に絡み合い、それは高橋さんご自身の“揺らめく声と、楽器の線が交錯する、薄い織物”という表現がぴったり。波多野さんの日本語の美しさが際立ち、お三人の息のあった自在の表現が聴きどころです。