INTERVIEW

DÉ DÉ MOUSE『be yourself』 衝動とエモーションを素直に反映した、過去最高にキャッチーなダンス・アルバムを語る!

DÉ DÉ MOUSE『be yourself』 衝動とエモーションを素直に反映した、過去最高にキャッチーなダンス・アルバムを語る!

原点回帰を経てさらに開かれた感覚は、エモーションを素直に反映した過去最高にキャッチーなダンス・アルバム『be yourself』を生み出した。弾ける青春を浴びて、自分自身の衝動と踊れ!

自分自身が開いてる感覚

 「これまでの僕はイヴェント出演を中心に活動してたんですけど、最近はひとつのジャンルに特化したイヴェントが増えて、大きいフェスでも出演者やお客さんの層が変わらないような状況を見てると、自分の活動スタイルを変えなきゃと思うようになって。それと同時に、これまでは自分自身の作品に集中するために断ってきた制作の仕事も、最近はできる限り引き受けることにしてるんです。そうすると、いままで知らなかった自分の一面が見えるようになっておもしろくなってきたんですよね。いまは自分自身が〈開いてる〉感覚があるし、やっと制作が楽しめるようになってきたんです。僕は曲を作るのも、人生の進み方も本当に遅いから(笑)」。

 ダンス・ミュージックへの原点回帰を図ったアルバム『dream you up』を昨年4月にリリースし、同時に名前の表記も改めて心機一転したDÉ DÉ MOUSE。その後も、9月にデジタル限定のEP『via alpha centauri』、年末には同じく配信にて『thanks track』を発表し、並行して吉田凜音、西恵利香、9nineらへの楽曲提供やMiliとのコラボ、THE BEATNIKSやONEPIXCELのリミックス、さらにはNHK「おかあさんといっしょ」の楽曲制作や、アプリゲーム「モンスト」楽曲の公式リミックス、桜井玲香(乃木坂46)×藤間爽子のW主演による舞台「半神」の音楽を担当するなど、この一年はかつてないほど外仕事にも精力的だ。このたび登場したニュー・アルバム『be yourself』は、その開放的なムードが反映されたかのようなダンス・トラック集になっているが、実は前作『dream you up』とは正反対のアプローチで制作されたものだという。

DÉ DÉ MOUSE be yourself not(2018)

 「『dream you up』は外側から見た自分というか、少し引いて〈DÉ DÉ MOUSEってこういうものだろう〉という視点も持ちながら作ってたんですよ。今回はその真逆で、自分が感銘を受けたことを衝動的に反映して作ったものなんです。きっかけは去年、夕暮れ時に多摩川のほとりを散歩してたんですけど、その時にダフト・パンクのトーマ(・バンガルテル)がやっていたスターダストのような、2010年代以降のフィルター・ハウスみたいな曲を聴いてたんですね。空が乳白色になってるシチュエーションで歩きながらそういう曲を聴いてたら、物凄くエモくなって泣けてきたんですよ。それで〈夕暮れ時のディスコ〉みたいなイメージがバッと出てきて、自分がキュンとなるものを作りたいと思ったんです」。

 

もっとたくさん楽しいことをしたい

 そうした気持ちを足掛かりに曲のモチーフを作りはじめ、実際に手応えを感じたのは年明けのこと。どこか切なげなヴォイス・サンプルのカットアップがリードを取りつつ、マッシヴな4つ打ちがグイグイと牽引する“back to love”が完成したことで、従来のDÉ DÉ MOUSE像にこだわる必要はないことに気付いて吹っ切れたのだという。実はDÉ DÉ史上初となるアルバムと同名のリード曲ではPWL風のユーロビートを練り込み(MVには吉田凜音が出演!)、〈テイラー・スウィフトの曲をファレルが歌ったら?〉がテーマだという“charmed”ではトラップなどUSメインストリームのポップスを意識した意匠にも取り組んでいるほか、あえて〈Kawaii〉系ではないシックなフューチャー・ベースに挑戦したという“next to you”など、彼の原風景である80s~90sの洋楽のギラギラ感と、現行の音楽の要素がミックスされた全10曲は、どれも新しさと懐かしさと過剰なまでのキャッチーさに溢れている。

 「最近は音楽をプレイリストで聴く人が増えてるから、自分もそういう人にも向けた作品を作ろうと思って。いままではアルバムとしてのトータル感を意識してたけど、今回は〈シングルが10曲入った架空のベスト盤〉というテーマで、全曲シングルにできるポップさを持たせようとしたんです」。

 そこに〈普通の女子高生が学校帰りに見つけた見知らぬダイナーで、マスターからもらった店内BGMのプレイリスト。翌日、彼女はふたたびその場所を訪れるがお店は見当たらず、この世にひとつしかないプレイリストだけが手元に残る〉——という、TOKIYA SAKBA(7ZEL)によるジャケットのイラストと連動したSFなコンセプトが合わさり、作品の備えた何とも不思議な甘酸っぱさを強調している。

 「これも表向きのテーマは〈青春〉で、自分の中では『耳をすませば』のオマージュみたいなところがあるんですけど、実は〈希望を託す〉という裏テーマもあって、この女の子はパラレルワールドの自分なんです。僕は昔はTMネットワークが好きで小室哲哉さんみたいになりたかったのに、エイフェックス・ツインを聴いてから道を踏み外して、自分のいる世界線が大きく変わっちゃったんですよ(笑)。それとアイドル・ブームの頃に〈もしDÉ DÉ MOUSEが可愛い女の子だったら今の100倍は売れてたかもな〉と思ったことがあったので、パラレルワールドの自分にこの音源を託して、もし彼女が曲を作りはじめたら世界は変るんじゃないかと思って。僕は女の子じゃないし、もうおじさんだけど、もっとたくさん楽しいことをしたいし、まだ希望は捨ててないから。それで原石だった頃の自分に会いに行った僕の姿が、このジャケットにいるネズミなんです」。   

 

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