〈最高の再構築〉をめざすギャンパレから待望のニュー・シングル“CAN'T STOP”が到着! この旅を続けられたら、その行き先はどこにある? 遠くにある続きに向かって、止まれない9人はいま何を歌う?

〈やっぱこの9人だよね〉って思ってもらいたい
カミヤサキ/月ノウサギ/ハルナ・バッ・チーン

 9人体制のお披露目となったZepp DiverCity TOKYOにおける4月17日のワンマン〈GANG 2〉からおよそ5か月……7月1日の沖縄公演を皮切りに現体制で初のツアー〈REBUILD TOUR〉で全国を回ってきたGANG PARADE。待望のニュー・シングル“CAN'T STOP”をリリースし、ツアー・ファイナルの大勝負も控える9人ですが、まずはオリジナル・メンバーのカミヤサキ、そして4月に加入した新メンバーながらも成長著しい月ノウサギとハルナ・バッ・チーン、この3名に現在の心境を訊いてみました。

 

左から、カミヤサキ、月ノウサギ、ハルナ・バッ・チーン

ツアーを通じての成長

——昨日はMVの撮影だったそうですね。

ハルナ・バッ・チーン「はい。凄い草がたくさんあるところで撮影してまして」

月ノウサギ「クソ?」

カミヤサキ「草(笑)」

ハルナ「大っきい音で“CAN'T STOP”が流れてるなかで撮影して、壮大でした。周りに崖とかもあって……」

サキ「採石場みたいな、特撮でも使われてるような場所で。野外にセットを用意していただいてたり、現場にスタッフさんも多くてビックリしましたね」

月ノ「今回はBiSHの“Life is beautiful”とか“プロミスザスター”のMVを手掛けた田辺秀伸さんが監督してくださっていて。広い草原みたいな場所で曲が流れてると、穏やかな気持ちになりました、〈わあ、凄い合うな〉と思って」

サキ「夕陽が沈む時とか、太陽と同じ目線ぐらいの高さの場所で」

——けっこう長時間いらしたんですね。

月ノ「朝から陽が暮れるぐらいまでいました。まだ撮影したばかりなので観られてないんですけど、凄い素敵なMVになるんじゃないかなと思ってます」

——そうやって忙しく過ごされていますが、加入から数か月経った現在の心境はいかがですか?

月ノ「だいぶ慣れてはきましたね。4月のお披露目の後も、しばらくは私がGANG PARADEにいることが非日常にしか感じられなくて。でも、周りから見たらそれが日常になっていくじゃないですか?」

——観てる側が先に慣れてきたりして。

月ノ「そうなんですよ。練習とかしててもフッと〈ああ、何かここにいるぞ、私〉みたいに感じる時もありました(笑)。最近はやっとGANG PARADEが良い意味で自分の中で日常になってきてるなと思います」

ハルナ「最近はGANG PARADEにいるのがもう普通になってきて、でも、普通になってくのはちょっと怖いなって思いながら生活してます」

——怖いというのは?

ハルナ「これは当たり前じゃないからです。でも、当たり前じゃないことをやってるのが、自分の自信になってるんです、はい」

——サキさんから見ててどうですか?

サキ「みんなで普通に喋ってても、最初は7人だけで話が盛り上がっちゃうこともあってしまったけど、最近はないかな? 2人から出てくる意見で気付かされることもあるし、本当の意味での〈9人〉が、ツアーも含めて作れるようになってきてますね」

——ツアーは大きいですね。初ワンマン後のハルナさんは〈ツアーではこれを何回もやるのか……〉って話をされてましたけど。

サキ「アハハハハ(笑)」

ハルナ「ツアーなので同じセトリを何回もやるんですけど、毎公演、毎公演、別の感情で曲ができていて、そう考えると数か月前とは変わったかなと思います」

月ノ「沖縄のツアー初日がお披露目ぶりのワンマンだったんですよ。間に男性限定/女性限定のライヴはあったけど、純粋なワンマンは4月以来だったので、やっぱり自分たちを観に来た人しかいない空間はこんなに違うんだと改めて思って。いまは〈ホントに全員に楽しんでもらえればいいな〉っていうことを意識しながらやれてるので、そこは成長できたかなって思います」

——サキさんもギャンパレでは1年以上ぶりのツアーになりましたね。

サキ「はい。Zepp DiverCityは私が戻って最初だし、9人体制のお披露目でもあって、みんな良い緊張感を持ちながら当日を迎えられたんですけど、そこから沖縄までの道程って自分はふわっとしてたとこがあって。まだ空気感を探り合ってたというか、突っ込んで〈9人でどうしていくか〉という点を深く詰めないままツアーに臨んでしまって、実際にいろいろ話し合えたのが沖縄以降だったので」

——初日を終えてから。

サキ「そうです。遅くはなったんですけど、そこで9人の状況がしっかりわかって、そこから一つ一つの問題をみんなで明確にしていけてると思うので、凄くツアーらしいツアーを回れてるなって思います」

——初日の後に話し合ったポイントってどういう部分だったんでしょう?

サキ「う~ん、それぞれが考えてることとか互いの何気ない部分も共有することと、あとはより多くの人をZepp Tokyoに連れていかなきゃいけないツアーだし、GANG PARADEのこの先を考えたら、どうやって多くの人に好きになってもらうかが大事だなと思って。渡辺(淳之介:WACK代表)さんから〈お客さんのことをもっと考えて〉みたいなアドヴァイスをいただいたので、自分たちのことだけじゃなくて、観てる人をどう意識するかが課題のひとつです。やっぱりその意識によってライヴの良し悪しも違ってくるし」

月ノ「違うと思います。後ろにいても前にいても変わらず楽しんでもらいたいから」

——いまのツアーだと月ノさんはコント面でも大活躍ですね。

サキ「ハハハハハ(笑)」

月ノ「最初は自分たちで内容を考えて、渡辺さんにヒントもいただきながら、最終的に私が〈顔面矯正装置〉として毎回パンストを被って歌っています(笑)。最初はアントニオ猪木さんの物真似をやる案もあったんですけど……」

サキ「月の顔を崩すっていうテーマは最初から決まってたんだよね」

——なぜ月ノさんだったんでしょう?

月ノ「自分でも見ないようにしてきた、自分の殻を破れってことだと思います。〈モデルさんのオーディションでも変顔をさせたりするし、可愛いからこそ、そういう幅があったほうがもっと可愛くなれる〉って渡辺さんに言われて。自分の殻を破ることと自分の幅を広げること、私の中でコントはそういうものになってます」

——自分は可愛いからこそ幅を出そうと。

月ノ「違います、違いますよ!!」

サキ「アハハハ(笑)。でも、マイカをメインにした時もやっぱりポテンシャルを引き出したかったんですよね。ビッチ扱いされたり、パンストをかぶったりした結果、いまのマイカは良い意味で崩れてきたので」

——確かに、マイカさんは加入時と印象がガラッと変わりました。

サキ「ですよね(笑)。だから、月のヴィジュアルもポテンシャルの高さ、半端ないじゃないですか? 9人もいるグループなので、そこでもっと目立ってほしいっていう期待が込められてるんだろうなって」

月ノ「でも、渡辺さんに言われてからはもう、日常的にコントの恐怖を考えすぎてて。沖縄のワンマン前日に地獄車さんとのツーマンがあったんですけど、その時も〈沖縄……来ちゃった〉みたいな、もう心の中に鉛を抱えてライヴをしているような感じで」

サキ「〈うう……〉ってなってたもんね。何が恐怖だったの?」

月ノ「わかんない。未知の恐怖。人前にそういう顔を晒すのもそうだし、コントで喋ることも緊張してて。まあ、いまは目の前のお客さんが笑ってくれてるのを観ると感謝の気持ちが抱けるようになって。何事もやってみなきゃわかんないなと思いました」

サキ「ヒビが入りつつありますね、殻に(笑)」

——そのコントでは、ハルナさんが先輩をブス扱いするという役回りをされてます。

サキ「ハルナだからイイ味出てますよね」

ハルナ「メインは月なんですけど、私がけっこう喋る役割だからどうしようかと思いまして、毎回ホテルで月と集まったりして、2人で〈ああじゃない、こうじゃない〉って練習してます。いまでもコントになる前の曲“走る!!”とかは凄い緊張して」

——その後のことばかり考えて(笑)。

月ノ「コントコントコントって思いながら」

ハルナ「曲調は落ち着くのに、頭の中はフワ~みたいな。“走る!!”を踊ってるけど、このへん(頭上)に何かある感じ」

——でも、内容は踏み込んでておもしろいというか。〈自撮りがいつも同じ顔じゃん〉って、もはや自撮りしてる世間の全員をディスってますよね(笑)。

サキ「そうなんです。みんなで〈これは月だけの話じゃない〉って言ってます(笑)」

 

チームというものを感じる曲

GANG PARADE CAN'T STOP T-Palette(2018)

——そのなかでニュー・シングル“CAN'T STOP”が完成しました。今回も松隈ケンタさんのプロデュースですけど、いつもとは雰囲気が違う曲になっていますね。

月ノ「前のシングル“GANG 2”とはまた違う涙を流せる、優しい曲かなと思ってます。“GANG 2”は、こっちの感情をワッて出したら聴く人が圧倒されて泣いちゃうような曲で、実際にライヴでやると泣いてくださってる方も多いんですよ。でも“CAN'T STOP”はそういう涙じゃなく、優しい気持ちになってホロッて泣いちゃうような」

サキ「うん、歌ってる内容も新しいというか、いままでは自分たちの感情や願望を届ける言葉が多かったんですけど、今回は一人でも多くの人と一緒に進んでいきたいとか、優しい気持ちが随所に出ていて、誰かに向けてちゃんと歌ってる曲だなと思いましたね」

ハルナ「大きい、広い会場で歌いたい、大勢の人に観てほしい曲だなと思いました」

サキ「歌い出しの感じがハルナの声に凄い合ってるなって思いましたね」

——いまこういう曲がシングルに選ばれたのはなぜだと思いますか?

サキ「“CAN'T STOP”って曲名も力強いし疾走感のある曲かと思いきや、こういう優しい曲調ですからね。でも、さっき言ったツアーの課題にも通じることで、いまのギャンパレはこういうターンで、作詞した渡辺さんの〈今後はこういう部分を見ていけたらいいね〉っていう気持ちが込められてるのかもって思いました」

——いいことを歌ってる感じで。

サキ「そうですよね。何か……〈人に優しくしてかなきゃね〉とか、けっこう予想外で。まあ、実際の渡辺さんは優しいんですけど(笑)」

——それが珍しくストレートに出てるから。

サキ「そうなんです。でも凄くチームというものも感じる歌詞で、〈誰か転んだ すぐ助けなきゃね〉とかも〈9人で進んでいくんだよ〉ってところが表れてるし、周りのメンバーも大切にしながら、お客さんみんなを見て歩いてこうねってところを伝えたかったのかなって」

——いまのグループの雰囲気がこの曲に相応しい状態なのかなとも思いました。

サキ「この曲を作ってく段階でも、メンバー同士の雰囲気が良くなってく感じがしてて。この曲がそうさせてくれるというか。デモをいただいてからいろいろ曲のことを考えるなかで、個々に気付いたところがあったのかもしれないです」

——めちゃくちゃ良い話じゃないですか。

サキ「アハハハハ(笑)。今回は私が振付けしたんですけど、それもみんなの意見に助けてもらってて。〈どういうテーマで作ろう?〉って訊いた時に〈青春〉とか〈お客さんを感じながらやりたい〉っていう意見が多かったので、そこをポイントにして、事前にいただいてたMVの絵コンテで〈手を繋いでみんなで歩く〉っていうカットが多かったのもあって、サビではもう手を繋ぎっぱなしにしました」

月ノ「そう、これはお客さんにもやってもらえたら嬉しいです」

サキ「うん。あんまりない振付けだと思うんですけど、素敵な曲だから振付けによっては逆に味気なくなるし、普通じゃダメだなと思ったんですよ。もともとBメロで手を繋いで、そこから手を離してサビに行くつもりだったんですけど、〈あ、これはもう手を離さないのがいいな、それがこの曲の観どころになるな〉って、思い切って作ってみました。今回は変に作り込みすぎたくなかったし、カウントとかも気にしたくないなって思って」

——揃えるのを重視しないのもそうですし、いままでと違う考え方で作ったんですね。

サキ「はい。でもギャンパレなんで、知らない間に勝手に揃ってたんですけど(笑)」

 

ファイナルで爆誕する

——流石です(笑)。そしてもう1曲、カップリングで“RATESHOW”。

サキ「これは松隈さんから“CAN'T STOP”より早く送っていただいてて、しかも松隈さんみずから〈出来た〉って送ってくださって、松隈さんは毎回ギャンパレのカップリングを凄く楽しみに作ってくださってて、遊び心が出たおもしろい曲になってます」

——作詞はユアさんですけど、皆さんも提出はされたんですね。

ハルナ「私は、ただの私からGANG PARADEになるまでっていう歌詞を書きました。最初はずっと家にいて、夜中に飛び出して遊んで、ちょっと反省して(笑)」

——反省するんですね(笑)。

ハルナ「はい、ちょっと。そこから真面目にがんばって、最後はGANG PARADEになるっていう物語を書きました。でもアレなんですよね、私の頭の中にある言葉の数が少なくて、たぶん、ちょっとアホな歌詞になってしまって」

月ノ「見てみたい(笑)」

——レコーディングはいかがでしたか?

月ノ「楽しかったです。〈音程とかも気にせず自由にやって〉みたいな感じだったので。私には松隈さんから1つだけ注文があって、Bメロを〈“来了”みたいに中国語っぽくして〉って言われて歌ったので、そこは聴いていただきたいです」

サキ「あ、このパートはもう絶対に月だな~と思って聴いてました(笑)」

月ノ「みんな自由に歌えたんで、他の人のパートも聴いてて凄い楽しかったです」

——ハルナさんもキーになる歌割というか、ミュージカルっぽいパートで。

ハルナ「私はコウモリのいるお屋敷を想像しながら歌いました。鉄の柵があるお家で」

月ノ「ホーンテッドマンションみたいな」

ハルナ「そう。私がその柵を乗り越えて夜中に飛び出してどっか行っちゃうイメージで」

——こちらの振付けも楽しみですね。

サキ「これからマイカと作ろうかって言ってます。人数が多いからこそできる感じの、何かホントのショウみたいにしたいなって思ってますね」

——はい。では、9月20日のツアー・ファイナルにどう向かっていきましょう。

月ノ「私にとって初めてのツアーで、やっぱ成長を見られると思ってるから、完全に建て直った私とGANG PARADEをZepp Tokyoで見せたいなと思ってます」

サキ「個人としては絶対に過去を超えたい、1年間の魔法がかかってた自分を超えたいのがまずあります。グループとしてはいい状態を作りつつツアーを回ってきたので、Zepp Tokyoに来てくれたお客さんやスタッフさん全員に〈ギャンパレはやっぱこの9人だよね〉って思ってもらいたいし、自分たちでもそう感じれるようにしたいです」

ハルナ「はい。私はファイナルで〈赤ちゃんスーパーマン〉になるんです」

月ノ「いまのハルナは〈夏の赤ん坊〉なので」

ハルナ「GANG PARADEになってから〈赤ちゃんみたい〉って言われることが多くて、それはイヤなので〈秋のお姉さん〉になろうという努力もしたんですけど、そうなる必要はないかなって思って、赤ちゃんの特性を守ったまま前代未聞のスーパーマンになります。だから9月20日は新しい枠が生まれる、誕生日でもあります。爆誕、爆誕する」

月ノ「……大丈夫でしょうか?」