尾崎翠の詩の題名からその名を取ったこのバンドは、寺尾紗穂、伊賀航、あだち麗三郎によるトリオ。この編成ならではの信頼感溢れるコンビネーションを示しつつ、ノーザン・ソウル的な“月夜の晩に”やセカンドライン・ビートの“甘露日”など、渋くキメたりポップに寄ったりとさまざまなアイデアを採り込みながら各々が自由に手足を伸ばしている感じが凄く楽しそう。季節感溢れるイメージを喚起するふくよかな音楽集だ。