INTERVIEW

チャイコフスキー・コンクール最高位の俊英ユーチン・ツェン デビュー盤は豊かな音楽性を感じさせるヴァイオリン小品集

©Universal Music

チャイコフスキー・コンクール最高位の俊英、ユーチン・ツェン

 複数の国際コンクールで優勝および入賞を果たし、2015年チャイコフスキー国際コンクールで第1位なしの第2位を獲得した台湾出身のユーチン・ツェンは、温かく情感豊かな音色の持ち主。デビューCD『REVERIE』はタルティーニ“悪魔のトリル”、ショパン“夜想曲第8番”(ヴィルヘルミ編)、モーツァルト“ソナタ第40番”、エルンスト“「夏の名残のばら」の主題による変奏曲”、チャイコフスキー“なつかしい土地の思い出”、ヴィエニャフスキ“創作主題による華麗なる変奏曲”という多彩な奏法が楽しめる作品だ。

YU-CHIEN TSENG REVERIE~ヴァイオリン小品集 DG/ユニバーサル(2019)

 「デビュー・アルバムですから自分がもっとも好きで、長年愛奏している曲を選びました、絶対に収録したかったのはショパン。カーティス音楽院で師事したアーロン・ローザンド先生に薦められ、その美しさに魅了されました。ただし、この曲はヴァイオリンで弾くと非常に難しく、自分の音楽にするまで時間を要しました。いろんなピアニストの録音を聴きましたが、クラウディオ・アラウの演奏がとても心に響きましたね」

 共演のピアニスト、ロハン・デ・シルヴァとはニューヨークでリハーサルを何度も行い、論争となった。

 「特にモーツァルトのテンポで意見が食い違いましたが、ベルリンでの録音では互いに歩み寄って最高の演奏ができました。シルヴァはとても経験豊かなピアニストで、いろんな面で学ぶことが多かったです」

 ユーチン・ツェンは幼稚園のときにみんなと一緒に歌う“ハッピーバースデイ”がどうしても歌えず、両親はピアノを習わせたりさまざまなことを試して音感を養おうとした。それでもダメで、いとこが習っていたヴァイオリンを5歳から始めることになる。すると翌年は台北市立交響楽団と共演するまでになった。

 「以来、ずっとヴァイオリンと一緒です。僕はピアノやヴァイオリンを弾きながら自然に音楽のなかに入って行った感じ。特にプロになりたいと意識したことはありません。でも、コンクールは若い音楽家にとって必要だと思っていました。集中して練習でき、レパートリーを極めることもでき、自分の演奏を客観的に判断できるようになりますから。チャイコフスキー・コンクール後は偉大なゲルギエフやプレトニョフと共演でき、入賞者の名に恥じない演奏をしなければならないと自分を律しています。プレトニョフとの録音では、彼がじっくりリハーサルをしてくれたため新たなチャイコフスキーを発見することができました」

 使用楽器は台湾の奇美文化財団から貸与されているジュゼッペ・グアルネリ・デル・ジェズ―の1732年製カステルバルコ=タリーシオ。「温かく多彩な音色が特徴、弾けば弾くほど要求に応えてくれる」と語る。

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