2019年4月、タワーレコードのサブミッション・メディア〈TOWER DOORS〉がローンチしました。YouTubeをプラットフォームにした音楽チャンネルのTOWER DOORSは、ストリーミング・サーヴィスの普及などで音楽の楽しみ方が多様化するなか、タワレコらしい〈新しい音楽との出会い〉をリスナーに提供することを目指しています。

このTOWER DOORSブログでは、YouTubeチャンネルでご紹介したアーティストと楽曲をまとめて掲載。さらに、注目のニューカマーにはメール・インタヴューでその実像に迫る〈6つの質問〉企画も行う予定です。

……と、その前に、TOWER DOORSについてもう少しご説明させていただきます。

TOWER DOORSは〈Indie/Alternative〉〈Electro/Pop〉〈R&B/Soul〉〈Hip-Hop〉という4つのジャンルに対応したチャンネルに分かれており、レコード・ショップのフロアや棚を見るような感覚でそれぞれの〈DOOR〉にアクセスしていただければ、ジャンルごとに音楽をディグることができるようになっています。

また総合チャンネルでは、再生リストからさまざまなジャンルの音楽に触れられるような仕掛けをご用意しており、チャンネル登録をしていただくと、日々公開される新曲をいち早くチェックできます。

★TOWER DOORSチャンネル登録はこちら

TOWER DOORSで出会ったアーティストや楽曲をさらに知るには、動画の詳細部分をご覧ください。そこからTOWER RECORDS ONLINEでCDを購入したり、Mikikiのインタヴューやコラムが読めたり、アーティストのSNSや公式サイト、ストリーミング・サーヴィスなどにアクセスしたりできるようになっています。まさに〈扉〉を開けるように新たな音楽と出会うことができるのが、TOWER DOORSというメディアです。

前置きはこのくらいにして、いよいよTOWER DOORSが5月にお届けした14のアーティストと楽曲をご紹介します。

 

Michael Kaneko “Cracks In The Ceiling”

東京都生まれの日本人シンガー・ソングライター/ギタリストのMichael Kanekoは、湘南と南カリフォルニアで育ちました。歌と楽器の演奏をこなすマルチ・プレイヤーで、作詞作曲編曲も自身で担当。現在はorigami PRODUCTIONSに所属しています。

“Cracks In The Ceiling”はデビュー作『WESTBOUND EP』の収録曲。オーセンティックでオーガニック、でもブルージーな、西海岸的ムードを感じる一曲です。

 

TOMC “Bake the House”

TOMCはプロデューサー/ビートメイカー/DJ。 即興演奏者およびディスコDJとしてキャリアをスタートさせ、その後ビートメイカーとして海外レーベルからアルバムやEPをリリースしています。近年はアルバム『Yesternow Once Now』(2017年)を田中晴久が主宰する東京のレーベル、PURRE GOOHNより発表しています。

この“Bake the House”はPURRE GOOHNから2018年にリリースしたシングル。水の音のような非音楽的なサウンドもコラージュされた、実験的なハウス・ナンバーです。

 

mabanua “Blurred”

mabanuaはOvallのメンバーとしても知られる日本のドラマー/プロデューサー/シンガー。ブラック・ミュージックのフィルターを通しながらもジャンルに捉われないアプローチですべての楽器をみずから演奏し、国内外のアーティストとコラボして作り上げたアルバムが世界各国で話題になりました。2018年には3枚目となる『Blurred』をorigami PRODUCTIONSよりリリースしています。

そんなアルバムのタイトル・トラック“Blurred”は、ミドルテンポでポップなシンセ・サウンドと、mabanuaのファルセット・ヴォイスが入り混じった浮遊感漂う楽曲に仕上がっています。

 

揺らぎ “Bedside

揺らぎは滋賀出身の4人組バンドです。シューゲイザー、ドリーム・ポップ、ノイズ・ミュージックから影響を受けたサウンド、透き通るようなヴォーカル、そして轟音と繊細さを武器に、さまざまな音楽背景をもったメンバーが集まっており、関西を中心に活動中です。

“Bedside”は、初の全国リリース作となったFLAKE SOUNDSからのアルバム『Still Dreaming, Still Deafening』に収録。アップテンポで轟音全開のイントロ、仄かなドリーム・ポップを感じるギター・リフがたまらない一曲です。

 

Still Dreams “Best Dream”

Still Dreamsは、大阪を拠点に活動する男女デュオのドリーム・ポップ・バンドです。Bandcampでもリリースしたファースト・アルバム『Theories』が、海外でも話題となりました。その後、同作は全国流通盤としてFLAKE SOUNDSよりフィジカル・リリース。

そのアルバム収録曲”Best Dreams”は、80年代のニューウェイヴを感じるレトロなシンセ・ポップ。とても聴きやすいポップ・ナンバーに仕上がっています。

 

釈迦坊主 “Red Pyramid”

釈迦坊主は和歌山・御坊出身のラッパー/トラックメイカー/ミキシング・エンジニア。ミュージシャンとして活躍する一方で、映像作家としても活動する東京在住のマルチ・アーティストです。

この“Red Pyramid”は、2018年にセルフ・プロデュースでリリースしたアルバム『HEISEI』の収録曲。切なく淡い曲調のピアノに乗せて、センチメンタルに歌い上げるナンバーとなっています。

 

んoon “Tragedy”

んoon(ふーん)は2014年結成されたバンド。バンド名は、感嘆(あるいは無関心)を表す日本語の擬態語〈ふーん〉から拝借したそうです。〈直観と思いやり〉をコア・コンセプトに、ジャンルを無駄にクロスオーヴァーさせるよりもその境界面に揺蕩うことを重視しているとのこと。

この“Tragedy”はデビューEP『Freeway』に収録。洗練され、研ぎ澄まされたジャジーなサウンドと、蕩けるような甘美な歌声に魅了される楽曲に仕上がっています。

 

gato “luvsick”

gatoは2017年4月に結成されたバンド。ポスト・ダブステップ、フューチャー・ベース、ヒップホップを基調にしつつも、2000年代のドイツ・エレクトロ・シーンや北欧エレクトロニカからの流れも感じさせるバンド・サウンドが特徴的です。

2018年にリリースしたファーストEPのタイトル・トラック“luvsick”は、エレクトロ的なサウンドのアプローチや、中盤のうねるようなシンセ・サウンドが癖になる楽曲です。

 

Ayako “Open Door”

Ayakoは現在コロンビア・カレッジ・シカゴに在学中のSSW。人々の心に残る音楽を届けたいという強い思いから、卓越した英語力で作詞作曲も手掛け、天性の美しい歌声で聴き手を魅了するアーティストです。

この“Open Door”は2018年のデビューEPの表題曲。儚げに歌い上げるイントロからに対して、鳥肌が立つほどの力強い歌声を聴かせるサビに圧倒されます。

 

EASTOKLAB “Passage”

EASTOKLABは、名古屋を拠点に活動する4人組。さまざまなアレンジ手法でジャンルを飛び越えたサウンドを鳴らす期待のニューカマーです。6月5日にはDAIZAWA RECORDS/UK.PROJECTよりデビュー・アルバム『EASTOKLAB』をリリースしました。

そのアルバムに収録されている“Passage”は、ミニマルなサウンドで始まりつつも、コーラスで訪れる壮大で煌びやかな展開が特徴的な楽曲です。

 

There is a fox “Blind

There is a foxはカナダ育ちアメリカ出身、京都在住のギタリスト・牧野博高によるソロ・プロジェクト。2018年にPURRE GOOHNよりアルバム『After Image』をリリースしました。

同作の1曲目を飾る“Blind”は、切なさや淡さを含んだギターのアルペジオが鳴り響き、忘れかけていた懐かしい風景を思い起こさせてくれるような、アンビエントでエモーショナルな一曲です。

 

rice water Groove “好好旅遊”

rice water Groove は、東京を拠点に活動する3人組のヒップホップ・グループ。メンバーはRex Recordings、TBS'93、chancy lemonの3MCで、90sヒップホップの再解釈と東洋文化の逆発信を目論むことを目的に掲げています。

この“好好旅遊”は2018年に自主リリースしたシングル。アジアン・テイストのサウンドに緩いグルーヴが特徴的で、90年代のヒップホップが回帰したかのようなラップがたまらない楽曲です。

 

Ucca-Laugh “My Sunday”

Ucca-Laughは2010年に女性ヒップホップ・ユニット〈@djtomoko n Ucca-Laugh〉で活動を始め、2019年よりソロ活動を開始。〈働きながら恋愛や結婚、自己実現を目指すすべてのオトナ女子達へのアンセム・ソング集〉として、月に1回各曜日をテーマに楽曲を届ける〈#7daysPlaylist〉プロジェクトが進行中。

同プロジェクトで5月に発表されたファースト・シングル“My Sunday”は、トラップ・ビートを基調としながら明るくポップに歌い上げたメロディーが強く耳に残るナンバーとなっています。

 

Sugar.C.A.P. “City Light”

ミニマルなチル・アコースティックを奏でるSugar.C.A.P.は、福岡を中心に活動するSSW。2017年から活動を開始し、作曲はGarageBandで行っているとか。ローファイ、ヒップホップ、シティ・ポップ、アコースティックをシンプルに程よく融合させたサウンドが特徴です。現在は〈ちょうどいいRecords〉所属。

この“City Light”は2018年にリリースした最新シングル。スロウなテンポとメロウなギターのコード・ストロークが心地良く、夕暮れの海辺で潮風を感じながら聴きたい一曲となっています。

 

いかがでしょうか? 〈新しい音楽との出会い〉はありましたでしょうか?

TOWER DOORSは音楽ファンの皆様にとっての〈扉〉となり、そこから様々な音楽と出会えるような楽曲の紹介をしていけたらと思っています。次回もお楽しみにお待ちください。