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【Pop Style Now】第46回 新作『i,i』を発表するボン・イヴェール、ビヨンセ × ライオン・キングなど、今週の洋楽ベスト・ソング5

【Pop Style Now】第46回 新作『i,i』を発表するボン・イヴェール、ビヨンセ × ライオン・キングなど、今週の洋楽ベスト・ソング5

天野龍太郎「Mikiki編集部の田中と天野が、海外シーンで発表された楽曲から必聴の5曲を紹介する週刊連載〈Pop Style Now〉。先週の洋楽シーンの話題は……ジョアン・ジルベルトが亡くなったことですよね」

田中亮太「そうですね。〈ボサノヴァの父〉と呼ばれ、そのスタイルを作り上げたのがジョアンでした。ボサノヴァはいまやユニヴァーサルな音楽的共通言語ですし、それを生み出した、というのは本当にすごいことですよね」

天野「ブラジル音楽ファンのみならず、ジャズからインディー・ロックまで、ミュージシャン/リスナー問わず本当に幅広い影響力を持った大音楽家でした。僕もずっと“Chega De Saudade”を聴いていましたよ。ああ、想いあふれて……」

田中「2003年に開催された奇跡の東京公演を懐かしむファンも多かったですね。それでは、今週のプレイリストと〈Song Of The Week〉から! なお今週からは、〈ベスト・ソング5〉という形式でお送りします」

 

1. Bon Iver “Faith”
Song Of The Week

田中「〈SOTW〉はボン・イヴェールの“Faith”! 8月30日(金)にリリースされることが発表された新作『i,i』からのリード・シングルですね」

天野「“Jelmore”も同時公開されましたが、今週の一曲は、やっぱりこのパワフルな“Faith”でしょう! ギターと変調したヴォーカル、宗教的なムードのコーラス、そして力強いビートが、壮大なサウンドスケープを描き出しているものすごい一曲です」

田中「腐りきった僕の心も洗われるような楽曲……。浄化されます。先に発表された“U (Man Like Me)”にも参加していたワイ・オークのジェン・ワズナーやナショナルのブライス・デスナー、さらにはブルックリン青年合唱団など、この曲にも多くの音楽家が貢献しているようです」

天野「アルバムにもジェイムズ・ブレイクら多彩な才能が集まっているとか。タイトルの『i,i』が示唆しているように、個人と個人の関係から生まれるコミュニティーの形を音楽で探った作品になっているんでしょうか。ちなみに『i,i』の日本盤CDは、8月28日(水)に先行リリース!」

 

2. Jenny Hval “Ashes To Ashes”

天野「2位はジェニー・ヴァルの“Ashes To Ashes”。これは結構ぶっ飛ばされた一曲です」

田中「彼女は、ノルウェー出身のシンガー・ソングライターですね。アヴァンギャルドな音楽性が特徴で、ノイズやドローン、ミニマルなど、さまざまな実験的手法による作品を作っています」

天野「僕はアルバム『Apocalypse, girl』(2015年)で初めて知りました。2010年代前半は、ジュリア・ホルタ―やホーリー・ハーンダンといったエクスペリメンタルな女性作家たちがいたので、〈また新しい才能が現れた!〉と思って。でも、新曲はなんだか聴きやすくて、ビートがダンサブルになったのが驚きです」

田中「ピュアな歌声はそのままに、これまでの楽曲と比べるとグッとエレクトリックなサウンドに変化していますね。新作『The Practice Of Love』は、セイクリッド・ボーンズから9月13日(金)にリリース。ヴァルのポップな一面が聴けるのでしょうか?」

 

3. Salami Rose Joe Louis “Octagonal Room”

天野「3位はサラミ・ローズ・ジョー・ルイスの“Octagonal Room”です。ちょっとマイナーな音楽家ですが、橋本徹さんのアプレミディがCDをリリースしているので、日本では意外と有名かも。僕の知っているところでは、tamao ninomiyaが彼女から多大な影響を受けているとか……」

田中「確かに、ウィスパー・ヴォイスとローファイでドリーミーな音作りには通じるものがありますね。3月にリリースされた“Nostalgic Montage”に続く新曲は、独特の〈ささやかさ〉にさらに磨きがかかった超ミニマルなサウンドです」

天野「パーソナルでタイニーな質感が、他にはない感じなんですよね。その一方で、SF風のビデオに表れている世界観も特徴です。閉じているのに開かれている、この不思議な感じに惹かれます。また、フライング・ロータスのブレインフィーダーと契約したことには、本当に驚かされました」

田中「ブレインフィーダーには女性作家が少ないんですが、それ以上に、このベッドルームなサウンドがレーベル的に異色ですからね。アルバム『Zdenka 2080』は8月30日(金)リリースです」

 

4. Blood Orange “Benzo”

田中「4曲目はブラッド・オレンジの“Benzo”。7月12日にリリースされた話題作『Angel's Pulse』からの楽曲です」

天野「『Angel's Pulse』は、昨年のアルバム『Negro Swan』のエピローグだとか。もともとは友だちに聴かせたり、ストリートで売る(!)ためのミックステープとして制作されたとのことで、ブラッド・オレンジことデヴ・ハインズ一人で録音されています」

田中「きわめてメランコリックだった『Negro Swan』と比較して、いくぶんか晴れやかな表情を見せている作品という印象でした。この曲も、硬質なビートとシンセサイザーやサックスなどのアーバンなウワモノはブラッド・オレンジ印ですが、どこか風通しの良さを感じさせます」

天野「ロココ調の美術が印象的なミュージック・ビデオも、なんだかユーモラスですしね。とはいえ、黒人たちが白人文化を象徴するような衣装に身を包んでいることや、クィアな表現からは、〈黒人の鬱を探索する〉という前作のテーマに通じるものを感じますね」

 

5. Beyoncé “Spirit”

天野「今週最後の一曲です。第5位は、ディズニー映画『ライオン・キング』実写版のために書き下ろされたビヨンセの“Spirit”」

田中「ビヨンセはヒロインのナラ役で、主人公シンバ役はあのドナルド・グローヴァー=チャイルディッシュ・ガンビーノ。しかも監督は、〈アイアンマン〉や〈スパイダーマン〉シリーズでハッピー・ホーガンを演じるジョン・ファヴロー。マーベル・ファンも観逃せない映画ですね!」

天野「ファヴロー、監督の才能もありますからね。豪華キャストが歌う主題歌“Can You Feel The Love Tonight”も話題ですが、注目したいのは、やっぱりビヨンセの新曲です。アリアナ・グランデ“Problem”(2014年)の作者の一人として知られるイリア・サルマンザデとプロデューサーのラビリンスとの共作となっています」

田中「勇壮なメロディーと、いつもどおりコブシを効かせた歌が超パワフルです。この曲も収録されるビヨンセのインスパイアード・アルバム『The Lion King: The Gift』は、7月19日(金)リリース。また、サウンドトラックは先週末に出ています。映画の日本公開は8月9日(金)ですから、それまでサントラを聴いて待ちましょう!」

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