ZA FEEDOのフロントに立ち、作詞作曲も担うヴォーカリストの沖メイ。ソロ・アーティストとしての活動を活発化させている彼女が、〈音楽と生き物〉をテーマに執筆する連載〈沖メイのサウンズ・オブ・クリーチャー〉をスタートさせます!

自作のアートワークも手掛けるなど、多彩な才能を持つ沖は大の動物好き。〈動物〉と一口に言っても、恐竜から動かない標本まで(あるいは〈ヒト〉も?)、あらゆる〈生き物〉が包含される沖のユニークな動物観。その一端がこの連載では披露されていくはず。写真は、沖の親友にしてMikikiがいつもお世話になっている写真家・Kana Tarumiが担当します。 *Mikiki編集部

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初めまして
こんにちは

わたくし、沖メイと申します。
ZA FEEDOというバンドで曲や歌詞を書いたり、ソロでは一人で機械をいじって演奏したりしています。

この度、ここで音楽と生き物について書かせていただくことになりました。

音楽や生き物という我らの生活に欠かせない(であろう)ものや、それを取り巻く色々について書きたい&楽しい読み物になればいいなあ、と思っています。

第1回目は、私と音楽と生き物の関わりについて書きますネ!

 

生き物たちとの日常

私のこれまでの人生は、常に生き物とともにありました。

始まりは6歳の時に一緒に暮らし始めたレトリバー犬。
その後、数々の金魚や数々のザリガニ、オタマジャクシ、などの小さいやつが入れ替わり立ち替わり。
猫を拾ったり、ドブネズミを餌付けしたり、ガマガエルを捕まえたり……。
昼間、犬と近所に出かけては道ゆくオジサンオバサンに〈学校は?〉と訊かれて〈えへへ〉と笑ってごまかしたり(私は小学校に行ってなかったので!)。

ある日、ハムスターを飼育し始めた友達に強烈な嫉妬を覚えて、私は母におねだりしました。
そして誕生日、セキセイインコのヒナが私の家にやってきたことは今でも忘れません(ハムじゃなくインコ)。
そのインコは学校に行っていなかった私の大親友になり、どこにいくにも一緒でした。

その親友インコが出世してしばらくすると、もう1羽セキセイインコを迎えました。
そのインコとも仲良くなって、これまた毎日一緒にいたのですが、ある日レトリバー犬の尻が鳥カゴにぶつかってカゴは倒れ、開いていた玄関のドアから彼は空へ羽ばたいて行きました。

※生き物たちが死ぬこと。〈どんどん大きくなって今頃はオオワシになっているね〉と当時の母の彼氏が私に言ってくれたことが始まり。出世魚的思考。
その後ずっと使っている用語。

人生初の出来事にテンパった私は、近所の大木でピチュピチュ歌っている彼を見つけることができました。
彼は、私の頭や肩に飛んできましたが、ふと目を離した隙にどこにもいなくなってしまいました。

鬼のように泣きました。一生分泣いたと思いくらい泣きました。
〈この子探してますポスター〉を作り、ばら撒きました。
空っぽの鳥かごを持ってさまよっている女児を20数年前の浦和で見かけた人。それは私です。
1か月くらいインコの名前を呼びながら歩き回っていました。

彼に二度と会えないと知った私は、迷いインコを拾って育てた人の話を調べて、自分を安心させました。
更に! 飼っていた猫もその後いなくなったんですよ。
近所で違う名前で呼ばれたりしているのを見かけたので、幸せな猫生を送ったことを願うばかりです。

なんだか寂しい話になってしまった。
とにかく、6歳から今日まで私の家に生き物がいなかったことはありません。

 

不登校と音楽

学校に行かなかったのは、私の人生において最良の選択でした。
もちろんそれは母の理解があってこそ(学校つまらないから行きたくないのだ。と告げたら、母は大喜びした)。
音楽との出会いもそのおかげだったと思います。

小学校での義務教育を放棄したおかげで、時間がありすぎた私はテレビをたくさん観ました。
「ビバリーヒルズ高校白書」「メルローズ・プレイス」といった大人のドロドロ恋愛海外ドラマ……そして何よりもMTV。
MTVはずーっとチャンネルをつけてました。マイケル・ジャクソンのMVをVHS(!)に撮りためて繰り返し観たり。

プリンスを初めて聴いたのもその頃。
母の彼氏が持ってきた、面白くも艶かしい全裸姿のCDジャケット(『Lovesexy』)に〈うわァアアア……なにこれ……〉と思ったものです。
王子というネーミング、高い声。なかなか理解しがたい世界に少しづつハマっていく私……。

サン=サーンスの「動物の謝肉祭」もすごく好きでした。
像やライオン、熱帯魚に至るまで、色々な生き物をイメージした曲群に心を鷲掴みにされました。
特に好きだったのは、化石の曲です。木琴が軽快に刻むリズムは古い生き物の骨が洞窟で密かに踊って音を奏でているようで、死んでも尚楽しそうな雰囲気がとてもロマンチックで。
この曲は、今でも私のクラシック部門アンセムです。

※編集部注:フランスの作曲家、シャルル・カミーユ・サン=サーンが作曲した組曲。〈化石の曲〉は第12曲「化石」のこと

今思えば、〈音楽って楽しいな!〉という気持ちの純粋培養がそこで行われていました。
その経験が私の音楽人生に99%の影響を及ぼしているのは言うまでもありません。

こうやって私の生活の中には、音楽と生き物が同居していきました。

 

音楽と生き物たちが深く関わっていることって、世の中にたくさんあると思っています。
古くから人間が生き物を食べて生きてきたように、音楽も有史以前に遡れるくらい深く人間に根付いたもの。

五穀豊穣や生活の祈りを音に託して捧げた時代も、誰かの思いを乗せて日々更新されていく今日も何処かで鳴っている音楽も、日々を豊かにしたいという思いは最古のものも最新のものもきっと同じだと私は感じます。

いいことがあった日になんとなく歌っちゃう鼻歌や、夏の夕方に聞こえるヒグラシ。
なぜか耳に残ってる懐かしい曲。
自然とそこにあって、進化していくもの。

そういうものがずっと聴こえ続けるような時代にいたいから、そのために生き物を幸せにして、音楽を続けていきたい!
というのが私の熱源です。

そんなことを考えながら作った曲があるので、次回紹介させてください。
ここまで読んでくれた方、ありがとう!

 


PROFILE: 沖メイ
東京生まれ。
日本のバンド・ZA FEEDOのヴォーカル、作詞、作曲、アートワークを担当。
小学校がつまらなかったので、幼少期は東京シューレで過ごした後、自由の森学園に通い、大学時代はテナー・サックスを吹きながらジャズやモータウンなどをたくさん聴いて過ごす。
ソロ活動では、エレクトロニカ、民族音楽、クラシック、ジャズ、ロック、猫、インコなどから影響を受けて制作をしている。
2017年、初めての単身ツアーとしてヨーロッパへ。ベルギー、フランスを廻る。
動物の絵を描くのが好き。山野楽器 ロックイン新宿にてドラムヘッドに動物ペイントする企画を開催&受注中。

 


LIVE INFORMATION

YABITO 2019
2019年9月7日(土)山梨・小菅 平山キャンプ場
前売り(~7月31日/8月1日~):4,500円/7,500円
当日:9,000円
http://yabitofes.mystrikingly.com/

ZA FEEDO ワンマンライブ 〜last camp fire〜
2019年10月25日(金)東京・青山 月見ル君想フ
開場/開演:18:30/19:30
前売り/当日:3,000円/3,500円
予約(ライヴポケット):https://t.livepocket.jp/e/zafeedo