1981年、日本のジャズ・シーンの片隅で、こんなアルバムがリリースされていた。ジャズ・シンガーとして活躍し、後進の育成にもただならぬ情熱を注いできたマーサ三宅とピアニストとしてはもちろん作編曲家として数々の名曲を残した前田憲男によるデュオ・アルバム。録音は1977年夏、今回が初CD化。寄稿エッセイを写真家の淺井愼平、ライナーノーツをジャズ評論の重鎮である瀬川昌久がそれぞれ手掛けた、さりげなく豪華なスタンダード・アルバム。本アルバムの発売日の2019年11月25日は前田憲男さんの一周忌。シンプルな編成での演奏の中、2人のジャズへの愛が伝わってくる。