Photo by Joseph Connor

 

〈女性歌手を男性がプロデュース〉は過去のもの、いまはオタクな女性が活躍する時代

グライムスのおかげで、〈女性ポップ・シンガーをプロデュースする男性〉みたいな構図もすっかりクリシェになった。女性アーティストが自作のソングライターだけでなく、プロデューサーであることももう普通。女性プロデューサーそのものも増え、特にグライムスが技術方面を含めた〈オタク〉っぷりを披露したことで、女性が音楽に関わるイメージは随分広がったと思う。

グライムスの2012年作『Visions』収録曲“Oblivion”

ロンドンの音楽シーンから出てきたジョージアも、シンガーというより本質的にはミュージシャンでプロデューサー。最初はドラマーとして活動していたが、大学では音楽民族学を学び、子どもの頃からレコードを聴くと「どうやって作られてるのか分解して、理解したかった」と最近出演したBBCラジオで語っていた。

と同時に、ジョージアの父がUKエレクトロニック・デュオ=レフトフィールドの一人、ニーク・バーンズであることももちろん大きかったはず。彼女が作るポップ・ミュージックには、豊富な知識や見識に裏打ちされた独創性があるのだ。1月にリリースされたセカンド・アルバム『Seeking Thrills』を語る彼女の発言とともに、ジョージアの魅力をちょっと〈分解〉してみよう。

GEORGIA Seeking Thrills Domino/BEAT(2020)

本名はジョージア・バーンズ。幼い頃から音楽が好きで、ただ一時期はフットボール選手としてロンドンのクラブ、QPRとアーセナルに所属していたという。最初にロンドンのシーンに出入りしはじめたのはセッション・ドラマーとして。ミカチューやクウェズ、ケイト・テンペストのライブに参加していた。ちなみにケイト・テンペストは幼い頃からの友人。そうした経験を積み、知己を増やしたのち、満を持してドミノ・レコーズから出した最初のアルバムが2015年の『Georgia』だ。

「いま振り返るとファーストを作ったときには、アルバムが丸ごと実験、みたいな感じで、自分でもどんな作品を作ってるのかわかってなかったし、方向性とか全然なくて。とりあえず自分の持ってるものを全部出し尽してやれ!みたいな感じだったんだよね」。

2015年作『Georgia』収録曲“Move Systems”