(左から)吉田美奈子『FLAPPER』オリジナル盤、再発盤

タワーレコード新宿店10階で営業中のアナログ専門店〈TOWER VINYL SHINJUKU〉。先日、〈PIED PIPER HOUSE〉と〈「MURO presents KING OF DIGGIN’」POP UP SHOP〉がオープンしたことで、これまで以上に音楽ファンから注目される場所になっています。

そんなTOWER VINYLによる月刊連載がこちら。毎月TOWER VINYLがおすすめする〈太鼓盤〉をご紹介しています。先月の松田聖子『Bible』特集は大好評で、ロング・ヒット記事として今月も読まれ続けていました。

当連載が今回取り上げるのは、シティ・ポップ・ブームによって国内外で再評価著しい吉田美奈子さんのレコードです! 『MINAKO』『MINAKO II』『FLAPPER』『TWILIGHT ZONE』という初期4作品がアナログ盤とSACD(スーパー・オーディオCD)ハイブリッド盤でリイシューされたことを記念し、新宿店のスタッフと名盤『FLAPPER』の試聴会を開催。その模様をお届けします。

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吉田美奈子 『FLAPPER(完全生産限定アナログ盤)』 ソニー(2020)

 

再評価著しい吉田美奈子のレコード

吉田美奈子さんは、73年にアルバム『扉の冬』でデビューしたシンガー。70~80年代において、細野晴臣、松本隆、山下達郎、角松敏生、大瀧詠一などなど、偉大な音楽家たちとコラボレーションや共作をしたことで知られています。

その一方で吉田さんは、もちろんソロ・アーティストとしても素晴らしい作品を発表してきた現役のミュージシャンです。特に、濃密なソウル/ファンクを志向したアルファレコード時代の『愛は思うまま LET’S DO IT』(78年)、『MONOCHROME』(80年)、『MONSTERS IN TOWN』(81年)、『LIGHT’N UP』(82年)などは、折からのシティ・ポップ・ブームのなかで、国内外の若い聴き手や音楽家、DJたちから注目を集めているLP。中古盤の市場価格も、以前とは比べものにならないくらい高くなっています。

 

吉田美奈子の初期4作品がアナログとSACDハイブリッドでリイシュー

そんな〈吉田美奈子旋風〉が巻き起こっているいま、最良のタイミングでソニー・ミュージックダイレクト/GREAT TRACKSが初期4作品をリイシュー。『MINAKO』(75年)『MINAKO II』(75年)『FLAPPER』(76年)『TWILIGHT ZONE』(77年)というRCA/RVC時代のアルバムが、アナログ盤とSACDハイブリッド盤で手に入るようになりました。いずれも名匠バーニー・グランドマンによるリマスタリングとカッティングが施されており、フレッシュな音像とサウンド・デザインへのこだわりが詰まった逸品です。

というわけで今回は、閉店後のTOWER VINYLにてスタッフと吉田美奈子作品の試聴会を特別開催! 大瀧詠一の楽曲“夢で逢えたら”が収録された特に人気の高い一枚『FLAPPER』をピックアップして、再発盤とオリジナル盤、SACDハイブリッドとを聴き比べてみました(オリジナル盤は、松田聖子の記事でご協力いただいた田中学さんの私物)。

試聴会に参加してもらったのは、田中さんの他に2人。まだ20代の若手スタッフである松本創太さんと、新宿店副店長の村越辰哉さんです。