INTERVIEW

told 『Early Morning』

2000年前後のオルタナ/ハードコア、90年代のUSパンクを愛する人ならたまらない! 録音方法にもこだわった充実の初フル作

told 『Early Morning』

 前身のDr. Fat's futureからヴォーカルが脱退したことを受け、残ったメンバーによって2009年に結成したtoldが初のフル作『Early Morning』を完成させた。一聴して連想するのは、札幌福岡から続々と刺客が現れた2000年前後の日本のオルタナハードコア・シーン、もしくはそういったバンドのルーツである90年代USパンク・シーン。あの時代を愛したリスナーにとって、たまらない音が鳴っている。

told Early Morning ARAYAJAPAN(2014)

 「僕らはもともと高校の軽音部の先輩/後輩だったんですけど、当時の共通言語がNUMBER GIRLだったんです。それから2004年とか2005年ぐらいの下北沢SHELTERに通いまくって、bloodthirsty butcherskiwirollsloth love chunksとかを、親に金借りて週2で見に行ってました(笑)」(鈴木歩積)。

 とはいえ、彼らは〈シーンの住人〉だったわけではない。仲がいいのはWiennersSEBASTIAN Xといった中央線沿いを拠点とする雑多なバンドたちで、リスナーとしてもアニソンからクラブ・ミュージックまでを楽しむという柔軟な姿勢は、当時のオルタナ界隈のバンドとは異なるものかもしれない。2012年にタワーレコード限定で発表したシングルも、親交の深い快速東京と同じレーベルからのリリースだったが、それから今回のアルバムが完成するまでには、さらに2年弱の時間を要した。

「高校生からの知り合いなんで、結構遊びでやってる感覚が強くて、これまではのんびりやってたんです。〈世に認められたい〉とかはいまもないんですけど、ただ俺としてはアルバムというものをちゃんと作りたい欲が出てきて。それは遊びをより楽しくするための一手というか、いままでレゴで小っちゃいものを作ってきたけど、〈1回お城を作ってみない?〉っていう、そういうノリでしたね」(有島コレスケ)。

 こうして去年の2月に曲作りの合宿に入り、そこで作った曲と、結成当初からのレパートリーをまとめて、全13曲のフルレングス作が完成。ソリッドなギター・サウンドとタイトなリズム、抜けの良いポップなメロディー、心象風景を浮かび上がらせる歌詞を兼ね備えた楽曲がズラリと並んでいるが、エンジニアとしても活躍する鈴木が何よりこだわったのは録音方法。本作は八王子市南大沢文化会館交流ホールでベーシックの録音が行われている。

エンジニア上條(雄次)さんと打ち合わせをしたときに、〈広い音で録りたい〉って話をしたんです。いまの日本って、もっと狭くて、音圧があってっていうのが多いけど、そういうのはやめようって話をするなかで、上條さんがジミー・イート・ワールドの傘のジャケのやつ(2013年作『Damage』)を聴かせてくれて、ドラムの音がすげえ良くて、こういうのをめざそうと。それで場所を考えたときに、昔envyとかTHERE IS A LIGHT THAT NEVER GOES OUTとかが、同じ場所でイヴェントをやってたのを思い出して、実際行ってみたらやっぱり良くて」(鈴木)。

 ホールの自然な鳴りを活かした広がりのある音像が作品に統一感を与える一方、上條が強烈なダブ処理を施した“スライド”や、土岐麻子をゲストに迎えた“まど”などが、アルバムの流れに抑揚を与えているのも見逃せない。『Early Morning』というタイトルに関しては、鈴木いわく「あまり意味は限定せず、アルバムをフワッと包み込むようなタイトルにしたかった」とのことだが、新たな局面を迎えたバンドの現在ともシンクロした表題だと言えよう。

「“まど”とかは自分が知らなかったtoldを知れたし、今回でバンドの懐がさらに広がった気がするので、次もおもしろいことをやりたいなって思ってます」(赤羽進互)。

「僕、長く見てるバンドの(状況が)上がっていく感じが好きなんです。最近だとSEBASTIAN Xとかのああいう感覚って、バンドマンじゃなくても昂揚すると思うし、ワンマン・ライヴの特別な感じとか、toldを好きでいてくれてるお客さんにも味あわせてあげられたら、すごい幸せだなって思います」(山崎裕太)。

 

PROFILE/told

赤羽進互(ドラムス)、鈴木歩積(ギター/ヴォーカル)、山崎裕太(ギター/コーラス)、有島コレスケ(ベース/コーラス)から成る4人組。前身バンドを経て、2009年に東京で結成。2012年に2か月連続で2曲入りシングル『FLAG』『TAG』を発表。ライヴ活動を行いながら、鈴木は快速東京“ふゆかん”“ライムのうた”などのレコーディング・エンジニアとして、有島は0.8秒と衝撃。のドラマーとして携わり、後者は2013年に届けられたBuffalo Daughterのベスト盤『ReDiscoVer. Best, Re-recordings and Remixes of Buffalo Daughter』へ日暮愛葉と共に参加。多方面でその名を広めるなか、このたびファースト・アルバム『Early Morning』(ARAYAJAPAN)をリリースしたばかり。

pagetop