(左から)オオイナオユキ、アサノケンジ、ヨシダタカマサ、モリタナオヒコ

千葉・松戸出身、中学の同級生と後輩だったアサノケンジ(ヴォーカル/ギター)、モリタナオヒコ(ヴォーカル/ギター)、ヨシダタカマサ(ベース)、オオイナオユキ(ドラムス)によって2015年に結成。当時、彼らは20代後半で、しかもメンバー全員がほぼ演奏未経験だったという。

アラサーの素人集団だった4人だが、その〈隣のお兄ちゃん感〉に溢れたキャラクターと90年代のオルタナやパンク、インディー・ポップへの愛情が染み出たサウンドで、一躍インディー・シーンの人気者に。メンバーの憧れであったティーンエイジ・ファンクラブの来日公演のサポート・アクトを務め、〈フジロック〉への出演もはたすなど着実なステップアップを遂げてきた。

そんなTENDOUJIがニュー・アルバム『MONSTER』を完成。これは〈TENDOUJIのポップ〉をとことん追求したアルバムだ。ここ数年、タッグを組んできた片寄明人(GREAT3)をプロデューサーに迎え、堀江博久が鍵盤、skillkillsのスグルスキルがアレンジとプログラミングで参加。バンド特有のエナジーは弱まることなく、遊び心に溢れたアレンジ、低音を重視した現代的なプロダクションが、これまでとは異なるフレッシュさをもたらしている。なかでも、THE BAWDIESのROYをフィーチャーした“CRAZY”は出色。ロックンロール特有の熱さや泥臭さを活かしながら、シンセ・ベースを効果的に使った音作りで、スマートかつキャッチーにまとめあげている。

実はTENDOUJIは、〈パンク・アルバムの金字塔では?〉とすでに関係者の間で噂されているアルバム『Smoke!!』も本作と同時に制作しており、そちらは『MONSTER』のリリース後に発表される。〈パンクなTENDOUJI〉にフォーカスした『Smoke!!』があるからこそ、この『MONSTER』では、どこまでもポップに振り切れたのだろう。

さて、カラフルに彩色された『MONSTER』は、いったいどんな〈怪獣〉なのか。メンバー4人に訊いた。

 

もっと行ける、もっとポップにできる

――2017年のファースト・アルバム『MAD CITY』から約4年ぶりの新作です。時間がかかった理由は?

アサノケンジ「『MAD CITY』のときはバンドを始めてあまり経ってない頃で、まだバンドのルーティンとかがわかっていなかったし、曲作りやレコーディングにも慣れていなかったんです。なので、ぜんぶ〈やりきり〉というか。

ほかのバンドだったら、もっとスケジュールを立ててレコーディングや諸々を同時進行で進められると思うんですけど、俺らは1曲を完成させたあとに、またほかの1曲を作りはじめるという流れ。そういう作り方だと、アルバムになるくらいのまとまった曲数を揃えるのは難しくて」

モリタナオヒコ「〈アルバムもそのうち作るんだろうな〉と頭にはありつつ。〈もっとこうしたい〉みたいな理想形はあったから、それが出来るようになるまで4年間で勉強していったというか、少しずつ掴んでいった期間だったのかな」

――モリタさんが描いていた理想像はどんなものだったのでしょう?

モリタ「『MAD CITY』を作ったとき、曲もすごく良かったし、作品自体には満足したんですけど、もっと行けるなという感覚があったんです。作品もサウンドももっとポップにできるなと思った。ただ、それを実現するには、自分たちの見聞や経験が足りないのもあって」