グルーヴィーな演奏とメロウネス溢れる歌声で〈ツマミになるグッドミュージック〉を奏でる4人組、YONA YONA WEEKENDERS(YYW)。先日、メジャー・デビュー後のセカンド・シングル“Good bye”を発表した彼らのフロントマン、磯野くんによる連載が〈ラーメンから歌が聴こえる〉です。

“R.M.T.T”(ラーメン食べたい、の意)という曲があったり、最新シングル“Good bye”は“R.M.T.T”のモティーフになったラーメン屋の店主への鎮魂歌でもあったりと、自他ともに認めるラーメン好きの磯野くん。この連載では、そんな彼が愛してやまないラーメンを、音楽にたとえながら紹介してくれます。

今回は、東京・渋谷の麵屋 大和田に入店。定番の〈家系〉なのにどこか新しい、そんな大和田のラーメンから聴こえる歌とは? *Mikiki編集部

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2021年のシングル“Good bye”

 


YYWメンバー、ビーソルがバイトしていた渋谷の名店

YYWのドラムス、小原“Beatsoldier”壮史(ビーソル)と出会ったのは、僕がその昔組んでいたバンドでシャウトしていたときまで遡る。オリジナルのハードコア・ナンバー“YOGA FIRE“は、今思い出しても鳥肌が立つほどの黒歴史だ。その漆黒は、富山ブラックのスープの黒も凌駕するほどである。

当時、池袋MANHOLEというライブハウスで同世代のメロコア・バンドと凌ぎを削っていた我々。殆どのバンドがお決まりの超高速ツービートでガツガツ攻める中、彼は変拍子なども取り入れたテクニカルなドラムさばきで、界隈でも群を抜く腕前だった。

〈みちのくの山田孝之〉の異名を持つほどのイケメンで、一見弱点はないかに見えたが、残念ながら彼は〈下戸〉としても界隈で群を抜いていた。打ち上げでは年下ということも手伝ってか先輩バンドの一気コールの餌食となり、明け方には池袋駅西口の路上と一体化しているのがお約束だった。

小原“Beatsoldier”壮史
Photo by ホンマ イサム
 

今回はそんな愛すべきビーソルがその昔アルバイトとして働いていた、渋谷にある〈麵屋 大和田〉にお邪魔した。実は我々の楽曲“R.M.T.T”にも〈SOC making ヤーシブ大和田〉という歌詞が出てくるのだ(SOC=そうしが、ヤーシブ=渋谷の大和田でラーメン作ってるの意)。

2020年のシングル“R.M.T.T”のリリック・ビデオ
 

いささかふざけた歌詞ではあるが、大和田のラーメンは家系の名店〈横横家〉出身の店主が作る本格派とのことで、期待を胸に渋谷へと向かった。

 

〈直系〉が見え隠れしつつも、どこか感じる新しい風

木製のカウンターが8席のみの小ぢんまりとした店内は、女性客でも入りやすい落ち着いた雰囲気。周りを気にせずしっかりとラーメンを味わえそうだ。今回僕はスタンダードな醤油豚骨の大和田ラーメン(750円)に味玉(100円)、濃厚スープにはかかせないライス(100円)をチョイス。お好みコールは〈カタめ〉のみでオーダーした。

程なくして着丼。大判の海苔にほうれん草、チャーシューといった定番のトッピングに加え、家系には珍しい穂先メンマが目を引く。スープを一口啜ると、キリリと主張する醤油にまろやかな甘みの豚骨が相まって、〈直系〉が見え隠れしつつもどこか新しい風を感じた。

麺はコシが強くもちもちとした食感で、スープの存在感に負けていない。穂先メンマは柔らかく煮てあるが、しっかりとたけのこのサクサク感も残る絶妙なバランスで味付けも良し。所謂〈資本系〉が多い渋谷の家系シーンにおいて、このクォリティーは流石〈直系〉と言ったところだ。豆板醤とニンニク、ブラックペッパーをライスに乗せ、スープに浸した海苔で巻いて食べる〈アレ〉も堪能しつつ、あっという間に完食した。