Eternaレーベルでのケーゲルの代表盤と言っても良い『モーゼとアロン』が最新でSACD化された。曲としてはオペラでありマイナーな部類であることは間違いないが、未完ながらもシェーンベルクが行き着いた十二音技法の最終形のひとつであり、演奏困難な曲の最右翼でもあるこの作品が、当時の旧東独の優秀な合唱陣を含む最高の布陣により高音質で再現されたことをまずは喜びたい。ケーゲルの指揮も壮絶を極めており、各歌手やオケの咆哮など、聴いていて背筋が寒くなるほどの演奏。シュトリューベンの録音は各楽器の音色や厚みが十分伝わってくるもので、演奏の凄さを引き立てた名録音であることもこの盤の凄いところ。