鋭さと深みを兼ね備え、聴くほどに引きずり込まれる傑作である。デビュー40周年の節目に出た12枚目のアルバムは、前作に続いてグレッグ・フィデルマンとジェイムズ&ラーズの共同プロデュース作。第1弾シングル“Lux Aterna”はNWOBHMを彷彿とさせる疾走曲で原点回帰を匂わせたが、全体像はそう単純ではない。瑞々しいパワーと円熟の演奏力を融合させ、絶妙なバランス感覚で鮮烈なメタリカ像を構築。重心の低いグルーヴィーな曲調を随所に挟みつつも、メンバー4人の溢れんばかりの熱量が大きな推進力となり、ラストまで緊張感をキープし続けている。恐るべきヴァイタリティーに脱帽の一枚。