クラリネットのスーパースター・フレストは、指揮者としても驚異的な実力を聴かせる。交響曲“プラハ”“ジュピター”の演奏は生き生きと活気が漲るサウンドで超のつく名演。メロディの抑揚の付け方が大変個性的で興味深い。再々録音の“クラリネット協奏曲”は〈吹き振り〉でバセットクラリネットを吹き、堂に入った演奏。ピアノ協奏曲第25番は、自然な感興に微笑みが浮かぶようなリュカ・ドゥバルグが素晴らしい。クラリネットとメゾソプラノの競演を楽しめる“ティートの慈悲”のアリアなども含め、晩年のモーツァルトをテーマにした画期的なアルバムとなった。