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ウズベキスタン出身の指揮者、ストラスブール・フィルとの今後のプランを語る

 中央アジアの国ウズベキスタン共和国の首都タシケントで1988年に生まれた指揮者、アジス・ショハキモフが2021年から音楽監督を務めるフランスのストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団とともにワーナー・ミュージックへの録音を開始。2022年9月に東京交響楽団へ客演した際、話を聞いた。

AZIZ SHOKHAKIMOV, STRASBOURG PHILHARMONIC ORCHESTRA 『チャイコフスキー:交響曲第5番、ロメオとジュリエット』 Warner Classics(2023)

 

――指揮者になったきっかけは?

 「6歳でヴァイオリンを始め、10歳を過ぎた頃に“サンタ・ルチア”を歌って褒められ、一時は声楽家を夢見ましたが、声変わりで断念。先生に音の感じ方、耳の機能が指揮者に向いていると言われ、レッスンを始めたのです。両手の違う動きが楽しくて仕方なく、すごい勢いで上達、13歳で国立交響楽団を指揮してデビューしました。2010年にバンベルク交響楽団のマーラー国際指揮者コンクールで2位、さらに2016年のザルツブルク音楽祭〈ネスレ青年指揮者アワード〉で1位を得て、ドイツ語圏から国際キャリアが展開しました」

――ストラスブールはフランス、ドイツの間で領有権が揺れ動いてきたアルザスの中心地ですね。

 「ストラスブール・フィルとは2014年初共演。メンバーがとても親切で、最初から特別なケミストリー(化学反応)を感じました。2017年に音楽監督の打診があり、2021年9月に就任。年に6~7回の定期演奏会、4~5回の巡回公演、1回のオペラ・プロダクション、教育プログラム、ニューイヤー・コンサートを指揮し、楽員採用のオーディションにも責任を持ちます。最大の特長はフランス、ドイツの2つの文化の融合により、とても豊かな音楽性を備えている点です。フランス音楽はもちろん、ブラームスやマーラー、R・シュトラウスなどのドイツ音楽も得意です。私の最初の先生は厳格なロシア楽派の流れを汲んでいましたから、ロシア音楽も積極的に取り上げています」

――ワーナーとの契約は、どのような内容ですか?

 「私は1シーズンに1タイトルを録音します。最初は2021年にプロコフィエフの“ロミオとジュリエット”の2つの組曲と“古典交響曲”でした。(未発売)2022年にチャイコフスキーの“交響曲第5番”と幻想序曲“ロミオとジュリエット”を入れ、3作目にフランス物の予定です」

――大変な日本贔屓とか。

 「2013年以来何度も客演したほか、デュッセルドルフでオペラのカペルマイスターと交響楽団の指揮者を兼務した時代、日本食のファンになりました」