クジラ夜の街、ねぐせ。、 ヤングスキニー、Conton Candy……。現在のライヴハウスには20歳前後の魅力的なロック・バンドがひしめき合い、互いを刺激し合っている。これから数年後には間違いなく、この世代がシーンの中心になるはずだ。東京出身、平均年齢19歳のケプラも、そうしたバンドのひとつ。活動開始は2020年9月。同じ高校の軽音楽部に所属していた柳澤律希、けんた、かず、ハヤトによって結成され、コロナ禍のなか、都内でライヴ活動をスタートさせた。

 ソングライターの柳澤が〈バンド〉に興味を持ったきっかけはback number。けんたは幼少期に両親とライヴを観たMr.Children、かずはゲスの極み乙女。、SEKAI NO OWARIなどがルーツ。そして小学~中学時代に吹奏楽部でトランペットを担当していたハヤトは、高校入学後に先輩バンドのライヴを観てドラムに惹かれたのだとか。共通しているのは日本のメインストリームのバンドであり、彼らはそこで受けた影響を親しみやすい楽曲と多彩なバンド・アレンジへと結び付けている。軸にあるのは柳澤のメロディーと歌詞だ。

 「律希の曲は、メロディーがスッと入ってきて、耳に残るんですよね」(けんた)。

 「高校の頃の曲は日常会話がそのまま歌詞になってることも多い」(ハヤト)。

 「すごく身近な内容で自分にも刺さる部分があります」(かず)。

 「自分が思っていることや経験したことが、歌詞の根本にはありますね」(柳澤)。

ケプラ 『This is 未来』 TOWER RECORDS(2023)

 思春期特有の葛藤や希望、仲間との大切な時間、好きな人に対する想い。そうした10代にしか表現できない楽曲によってリスナーからの支持を広げてきた彼らの新作『This is 未来』は、そのタイトル通り、自らの未来を切り開く強い意志と無限の可能性に満ち溢れたミニ・アルバムだ。

 「高校を卒業して1年経って、〈ケプラをどうしたい?〉という話をするようになり、〈俺たちがやりたい音楽って何だろう?〉と考えながら作ったのが今回の作品。〈将来が見えた〉と思えた作品だし、タイトルもストレートに〈『This is 未来』でどう?〉と提案しました」(ハヤト)。

 「音作りやアレンジの幅もかなり広がりましたね」(けんた)という本作。1曲目の“OUR-AWA-HOUR!!”は、場面ごとにテンポが変化するバンド・サウンドに、〈風呂〉と〈失恋〉を合わせたユニークで切ない歌が広がる楽曲だ。

 「お風呂に入ってるときに歌詞が浮かんできて、曲にしました。最初はもっとシンプルだったんですけど、メンバーと一緒にアレンジを進めているうちにワチャワチャした曲になりましたね」(柳澤)。

 さらに、カントリーのテイストを反映させた遊び心溢れるロックンロール“プランB”、アコギ主体の素朴なアレンジによる失恋バラード“かさねる”、ライヴでのシンガロング必至のグルーヴィーなロック・ナンバー“噂のツインズ”とカラフルな楽曲が並ぶ。そして本作の核と言えるのが、最終曲の“未来で逢いたい”。オルタナの匂いが感じられるサウンド、みずからの弱さや不安を見つめながら、それでも前を向いて進んでいこうとする決意を込めた歌を芯にしているこの曲は、明らかにケプラの新機軸だ。

 「〈僕らを新しいステージに運んでくれる作品にしたい〉っていう気持ちがあって。それをすべて背負えるような曲に仕上げるにはどうしたらいいだろう?と葛藤しながら作った一曲です」(柳澤)。

 「僕らの現状も表しているし、感情が爆発している感じや、未来に対する気持ちも入っていて。これはライヴで育てていきたい曲ですね」(ハヤト)。

 今年の夏は数多くのフェスやイヴェントに出演。「新曲を演奏するのもすごく嬉しいし、しっかり芯のあるライヴを続けていきたい」(かず)というケプラはここから、こちらの想像を超えた飛躍を遂げていくはず。ぜひ注目してほしい。

 


ケプラ
柳澤律希(ヴォーカル/ギター)、けんた(ギター)、かず(ベース)、ハヤト(ドラムス)から成る4人組バンド。2020年9月に結成され、2021年7月にファースト・ミニ・アルバム『デイズオブユース』をリリース。その後も2022年5月の“うわごと”、2023年3月の“ルーシー”など精力的に配信シングルを発表。2023年5~6月に開催した東名阪ワンマンツアーを全公演ソールドアウトで終え、セカンド・ミニ・アルバム『This is 未来』(TOWER RECORDS)を9月1日にリリースする。