SixTONESの4作目となるアルバム『THE VIBES』が2024年1月10日にリリースされた。Billboard JAPANの総合アルバムチャート〈Hot Albums〉で総合首位を獲得オリコン週間合算アルバムランキングでも1位を記録と、圧倒的な強さを見せつけている。セールスはハーフミリオン(50万枚)を早くも突破しており、タワーレコードのチャート〈全店総合アルバム〉でも1月8~14日の週で、当然ながら1位に輝いている。

そんな2024年のJ-POPシーンの幕開けを怒涛の勢いで牽引しているSixTONESの新作について、音楽的な面に着目して書いてみたい。というのも、SixTONESの魅力の一つは、その音楽性にあると以前から思っているからだ(もちろん、ダンスやビジュアル表現、6人のキャラクターが最大の魅力であることはまちがいないものの)。

そんなわけで、『THE VIBES』の中で個人的に〈GOOD VIBES〉を感じたり、驚かされたりした曲をピックアップしつつ、作曲やアレンジ、ボーカルパフォーマンスなどの音楽性、サウンドの言語化を試みよう。なお執筆にあたっては、寺島咲菜によるナタリーの全曲レビュー記事を参考にさせてもらった。

SixTONES 『THE VIBES』 ソニー(2024)

 

こっから

6人がマイクリレーを繰り広げるアグレッシブなラップナンバーとして注目を集め大ヒット、先日〈THE FIRST TAKE〉で披露されたことも話題になった10thシングル。作詞と作編曲は佐伯youthK(SAEKI youthK)による。

とはいえ、音楽的にはヒップホップというよりも、がっつりとしたファンクである。石井裕太によるバリトンサックスが印象的かつクセになるフレーズを繰り返し、艶めかしいワウギターが寄り添い、カセットテープのようにアナログでくぐもった音質に一瞬なったかと思えば、ドラムがロールインし、開始わずか8秒で田中樹の声が〈Yo!〉と斬り込んでくる。イントロから持っていかれる曲だ。

その後、ベースラインが冒頭のサックスのフレーズをなぞっていくのが気持ちよく、オルガンのファンキーなプレイも効いており、強力なグルーヴを生んでいる。また、速いテンポの中で6人それぞれが交互に担当するバースが8小節ほどと短いがゆえにめまぐるしく、その後、勢いよくコーラス(サビ)に雪崩れ込んだあとの清々しくメロディアスなユニゾンの歌唱による対比、ギャップの爆発力が非常に高い。

2分1秒から入る〈1, 2, 3, 4〉というカウントや〈アッ!〉〈ウッ!〉というパーカッシブな唸り声は、ファンクのゴッドファーザー、ジェームズ・ブラウンへのオマージュだろう。

このあと、オルガンとギターが盛り上げて、田中が〈Take it to the bridge!!〉というフレーズを挿し込み、全員でラップする部分では、生ドラムの音が影を潜め、トラップ風のドラムマシーンがうっすらと入れられているあたりに編曲の妙を感じた。曲中でアクセントになっているこの〈「俺、悪くない。なんも間違ってない」〉から始まるラップは、2010年代にアメリカ南部から世界を席巻したトラップでよく聴ける3連符系のフロウなので、トラップに特徴的なTR-808風のドラムマシーンが挿入されているのだろう。