サンフランシスコで結成されたエレクトロニック・ミュージック・デュオのニュー・アルバムは、スミソニアン博物館の非営利レーベル、フォークウェイズのアーカイヴ音源を使用して作られた作品。サンプリング主体の音作りによって、過去の音に新たな息吹が与えられており、新鮮さと郷愁の交雑という稀な聴体験を聴き手にもたらしてくれる。本作のような制作方法はアヴァランチーズなども得意とするものだが、それらのユニットと比べると、マトモスのアプローチにはブラックユーモアに近いセンスが目立つ。特に“Music Or Noise?”は、曲名も含めて挑発的なデュオの姿勢が窺える。