バンドにとって初となる全国流通盤は、〈デジタルに侵食された近未来〉を描いたコンセプチュアルな作品。国内外問わず気鋭のアーティストを招聘し、エモ・ラップ、ポップ・パンク、ダンス・ポップ、ハイパーポップ、ポスト・ハードコアなど、さまざまな音楽スタイルを縦横無尽に飲み込んでいくボーダレスな感覚はなんとも彼ららしいが、その音像はただひたすらにダウナーで、ディストピア的。ときに獰猛な牙を剥き出し、ときに繊細な感情を吐露するように繰り広げられていく。ここで描かれた世界は来るべき現実か、耽美な悪夢か。圧倒的な没入感と余韻に何度も深く溺れたくなる。