Twitter越しに芽生えた〈伝えたいこと〉の数々――個々のキャラクターを活かし、徹底的にリスナーに寄り添う音楽をめざす3人組

 作詞/作曲/アレンジ/レコーディングのすべてを自分たちで行い、ライヴでのみ素顔を明かす3人組、キャラメルペッパーズ。結婚、失恋、遠距離恋愛から、既読なのに返事が来ない〈LINEあるある〉まで、日常を切り取った楽曲群は現在、動画サイトの総再生数が2,300万回を突破し、幅広い年齢層に〈きゃらふぁみ(=彼らのファンの総称)〉を生み出している。

「もともとはサウンドに耳が行っちゃう派だったんですけど、逆に、自分が苦手としていた〈歌詞を聴かせる音楽〉をやってみたらどうだろうと思って。ケツメイシさんを聴いていてグッと来る瞬間があったんですけど、そうやって自分も誰かを救えたり、元気を与えられるような音楽がやりたいって思ったんです。あと、これは常に3人で話しているんですけど、例えば(SMAPの)“夜空ノムコウ”みたいな普遍的な曲、ずっと聴いても色褪せない曲を作りたくて。でもそれと同時に、〈それな〉とか〈最高かよ〉みたいに、いまだからこそのタイムリーな言葉を使った音楽もやりたいんですよね」(PASSER)。

キャラメルペッパーズ 『こっち恋よ、ぎゅーしてやるから。』 HILLS(2014)

 今回リリースされる『こっち恋よ、ぎゅーしてやるから。』は、PASSERがTwitterでつぶやいた歌詞を元に作り上げたというユニット初のコンセプト作品。サウンドからではなく、あくまでも歌詞から楽曲を構築していったそうだ。

「“青春 SONG~YELL~”だったら、そのテーマに沿ったつぶやきがPASSERから10個ぐらい届くんですよ。そこから、この言葉は好きだからそのまま使いたいなっていうのをピックして、それを繋ぐ言葉を自分で書いていく感じで。そこは新しい試みだったし、やっていて楽しかったです」(YUICHI)。

「PASSERの言葉と、自分のなかから出てきた言葉をすり合わせていくというか。結果、そうすることでブラッシュアップされたものが出せたから、そこはすごく良かったなと思います」(RYO)。

 多くの言葉を届けるべく聴感はとても耳馴染みが良いが、そこに雑食性を注入するトラックも彼らの特徴だ。

「もともと、いろんな音楽をミックスするのが好きなんですよ。“青春 SONG”は、きゃりー(ぱみゅぱみゅ)ちゃんとかSEKAI NO OWARIさんとか、ああいうファンタジーな感じがすごく好きなんで、それを自分たちなりに昇華してみました。アルバムにはポップなラヴソングもあれば、パンクなところだったり、EDMが混ざっていたりしている曲もあるし、自分たちがやったことのない音に常に挑戦したい気持ちはありますね」(PASSER)。

 また、制作にあたって「絞り切れないぐらい伝えたいことがとにかくあった」と話すPASSER。その思いが芽生えたのもTwitterだった。

「病んでる子が多いんですよね。人生に絶望してるとか、〈あたしなんて生きている価値がない〉とか、よくリプライが来ていて。俺も引きこもって一歩も外に出ない時期があったし、音楽辞めようと思ったことなんて何度もあるから、その気持ちはよくわかるんだけど。でも、生きていれば良いことはあるんだっていうことは伝えたかった。それはどの曲にも共通しているかもしれないです。希望だけは絶対に持っていてほしいっていうことは」(PASSER)。

 本作のクロージング・ナンバーは、きゃらふぁみをフィーチャーした“皆で行こうぜ●●● SONG”。伏せ字になっている部分には彼らが目標としている〈とある舞台〉が書かれているのだが、それがどこかは聴いてみてのお楽しみ。徹底的にリスナーに寄り添う音楽を生み出しながら、キャラメルペッパーズは●●●をめざし、ファンと共に駆け続ける。

 

▼キャラメルペッパーズの作品

左から、2010年のミニ・アルバム『LOVE LOVE LOVE SONGS』、2011年のミニ・アルバム『LOVE LOVE LOVE SONGS 2』、2012年のミニ・アルバム『LOVE LOVE LOVE SONGS 3』、2013年作『LOVE LOVE LOVE SONGS 4 & BEST!』(すべてHILLS)
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▼文中に登場したアーティストの作品

左から、ケツメイシの2014年作『KETSUNOPOLIS 9』(avex trax)、きゃりーぱみゅぱみゅの2014年作『ピカピカふぁんたじん』(unBORDE)、SEKAI NO OWARIの2014年のシングル“炎と森のカーニバル”(トイズファクトリー)
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