INTERVIEW

サザン・ロックの未来託されたアラバマ・シェイクス、懐古趣味に終わらない強靭なアンサンブル/グルーヴ堪能できる新作完成

アラバマ・シェイクス 『Sound & Color』 Pt.1

ソウルフルなロックを聴きたいなら、ダイナマイト歌唱にぶっ飛ばされたいなら、激しく腰をシェイクしたいなら、この4人を訪ねるといい。3年前に彗星の如く現れた彼らが、ふたたび興奮の坩堝へと導いてくれるはずだから

 

 

時間をかけて大正解だったわ

 見た目もサウンドもすっかり洗練され、アメリカを代表するグループとなったキングス・オブ・レオンが、活動初期は〈南部のストロークス〉なんて形容されていたことを思い出すリスナーもいるだろうか。ブラック・クロウズが解散したいま、サザン・ロックの未来はアラバマ・シェイクスに託されたといっても過言ではない。

 2009年にアラバマ州はアセンズで結成された4人組。初作『Boys & Girls』が100万枚を超えるヒットを記録し、グラミーで新人賞など3部門にノミネートされた彼女たちから、3年ぶりのニュー・アルバム『Sound & Color』が到着した。

ALABAMA SHAKES Sound & Color Rough Trade/HOSTESS(2015)

 「今回のレコードは時間をかけて作った。結果、大正解だったわ。自分たちにとって何が一番エキサイティングな音かをじっくり考え、前作でやり切れなかったことを突き詰めようって決めたの。既存のジャンルなんて関係ない、いろいろな影響が詰まったレコードが出来た。〈どんなタイプの音楽をやっているの?〉って訊かれたら、答えるのが難しいくらいね」(ブリタニー・ハワード、ヴォーカル/ギター)。

 この3年間はバンドにとって激動の日々だった。『Boys & Girls』の成功を受けて〈ボナルー〉や〈グラストンベリー〉といった大型フェスを含むワールド・ツアーを敢行し、映画「世界にひとつのプレイブック」や「それでも夜は明ける」に楽曲を提供。また、2013年にジャック・ホワイト主宰のサード・マンからブリタニーがソロとして初の7インチを発表したほか、サポート・メンバーのベン・ターナーも同郷のセイント・ポール&ザ・ブロークン・ボーンズをプロデュースするなど、バンドを取り巻く環境は目まぐるしく変わっていった。

 「成功した後のプレッシャーも確実に感じていた」とヒース・フォッグ(ギター)は振り返っているが、共同プロデュースを手掛けたブレイク・ミルズの後押しもあり、4人はアルバム制作を本格化させることに。

 「ブレイクのおかげで自分たちに自信が持てたし、これでいいんだって思えるようになったんだ」(ヒース)。

 

別次元のレヴェルへ

 ナッシュヴィルのサウンド・エンポリウムでレコーディングした今作は、ライヴ・バンドとしても高く評価されるアラバマ・シェイクスの、強靭なアンサンブル/グルーヴが堪能できる一枚に仕上がった。アルバムのインスピレーション源について、ブリタニーはこうコメントしている。

 「カーティス・メイフィールドの『Superfly』に、デヴィッド・アクセルロッドギル・スコット・ヘロン――彼らの細部に至るまでの、徹底したこだわりに影響を受けたわ。例えば“Gemini”なんかは、テンプテーションズがどうやって“Cloud Nine”や“Psychedelic Shack”といった時代の先を行く曲を生み出すに至ったのか、想像しながら作ったの。別の表現をすると、シンセが登場したばかりでムーディーな使われ方をしていた、70年代のアフリカ系アメリカ人グループの一員になったつもりで、このアルバムを作ったのよ」。

 〈もう二度と戦いはごめんだわ〉と繰り返す先行カット“Don't Wanna Fight”、切ない旋律と爆発的なリフのダイナミズムに息を呑む“Gimme All Your Love”、カウ・パンクばりに性急な“The Greatest”など、よりキャッチーに、よりエモーショナルに進化した楽曲が、ブリタニーの圧倒的な歌に導かれ、瞬時に聴き手の心を鷲掴みするだろう。その鬼気迫るシャウトは、ジャニス・ジョプリンアレサ・フランクリンと肩を並べてしまいそうな凄まじさだ。

 「“Gimme All Your Love”は比較的早い時期に書かれていたね。いろいろなコードが入り混じったナンバーで、これをきっかけに他の曲がどんどん派生していったんだ。ハードで強烈なリズム&ブルースだけど、途中でガラリと変貌する。ブリタニーの声にかけたエフェクト然り、まさに僕らがめざした別次元のレヴェルになったよ」(ヒース)。

 『Sound & Color』が単なる懐古趣味に終わらないのは、メンバー全員の音楽的ルーツがバラバラなことに起因しているのかもしれない。ザック・コックレル(ベース)はデヴィッド・ボウイプログレに精通、スティーヴ・ジョンソン(ドラムス)はパンク/メタル育ちで、ブリタニーもブラック・サバスのファンであることを公言している。前身バンドのシェイクス時代にはジェイムズ・ブラウンオーティス・レディングレッド・ツェッペリンAC/DCもカヴァーしていたそうだし、その飾らない音楽ラヴァーっぷりとグループとしての絆の強さもまた、アラバマ・シェイクスの魅力だと思う。

 「人間としても成長して、音楽についてもたくさん学んで、いろいろなものを聴いて考えた。ミニマルでありながら味わい深く、品格のある音楽を作るのにはどうしたらいいのか……とかね。方向性が決まったら、後はまっさらなカンヴァスに色を塗るだけ。いたってスムースだったわ。自分たちが純粋にやりたいことをやる、それだけだもの」(ブリタニー)。

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