INTERVIEW

気鋭の〈タイコニスト〉TAKUYA、ホッピー神山迎え鬼怒無月ら凄腕ゲストと共に和太鼓の可能性を追求した初ソロ作を語る

気鋭の〈タイコニスト〉TAKUYA、ホッピー神山迎え鬼怒無月ら凄腕ゲストと共に和太鼓の可能性を追求した初ソロ作を語る

太鼓奏者からTYCONISTへ

 和太鼓を純邦楽とは違う文脈で用いる演奏者はこれまでもたくさんいたわけだが、自ら作詞作曲し、更に歌までこなす者はいなかったのではなかろうか。“タイコニスト(Tyconist)”を自称するTAKUYAの場合は、ついでにイケメンというおまけまで付いている。

 ここ数年はドイツにも活動拠点を設け、ドイツ人前衛ジャズ・ピアニスト、ヴァルター・ラングとのコラボレイション・アルバムを発表したり、クラシックのオーケストラや弦楽四重奏団とも共演してきたTAKUYAが、このたび満を持して初ソロ・アルバム『タイコニスト』を発表する。「和太鼓のCDとして前例のないものを作りたかった」と語る彼が、プロデュース/アレンジを依頼したのはホッピー神山だ。まさに、最良の選択だったと言っていいだろう。なにしろホッピーほど、作・編曲家/キーボード奏者/プロデューサーとして、ありとあらゆる種類の音楽に精通し、実験と実践を重ねてきた日本人音楽家はほとんどいないのだから。もちろん純邦楽にも通じている。たとえば、日本舞踊協会が2011年に制作した創作舞踊『かぐや』で彼は音楽監督を務め、西洋楽器に三味線や尺八、太鼓、能管などの邦楽器を取り込んだ音楽を作っているし、千年以上の歴史を持つと言われる八丈太鼓に魅せられてCDまで制作している。

TAKUYA TYCONIST Columbia(2015)

 演奏でTAKUYAを支えるホッピー以外の面々は、ギターの鬼怒無月、ベースのナスノミツル、ヴァイオリンの壷井彰久、ギター/エレクトロニクスの菅原弘明、尺八の川村葵山など。これまでに様々な異種格闘技的コラボレイションを試みてきたTAKUYAの初ソロ・アルバムにふさわしい顔ぶれだ。TAKUYAはとりわけ「ロックな感じ」と「和太鼓の持つ重低音を聴かせること」をホッピーに期待したと振り返るが、一方のホッピーは、特に心がけた点について、こう語る。

 「TAKUYAの和太鼓奏者としてのスキルや持ち味を十分に活かすことは当然だが、とにかく枠を飛び越えないといけない。アルバムを重ねるごとに徐々にではなく、最初から差別化するために、思い切ったことが必要だと思った。つまり、彼が未経験の新たなものをぶつけていくということ。強引にでもそういう世界に持っていくのが、常に私の役目だと思っているので…とにかく、70年~80年代にジャズ/ロック界隈でやっていた邦楽器とのコラボ、みたいな感じにはしないというのが大前提だった」 

 パワフルな歌を全面に出したポップ・チューンがある一方、打ち込みやノイジーなエレクトロニク・サウンドも導入されるなど、確かに従来の“和太鼓ロック”などとは立ち位置からして全然異なる。今現在の音とニュアンスによって、和太鼓の魅力と新しい可能性を引き出した見事な成功例と言っていいだろう。全体のバランスをとりつつ和太鼓特有の重低音を活かしたサウンドになっているのはミキシングの近藤祥昭、マスタリングのオノセイゲンという二人の敏腕エンジニアの手腕によるところも大か。

 福井県吉田郡永平寺町(旧松岡町)に江戸時代から伝わる天龍太鼓を幼少期から叩き、19歳の時に林英哲が主宰する〈英哲風雲の会〉に入門したというTAKUYA。現在31才の、まさに和太鼓の申し子のような男だが、しかし少年時代からロックやジャズも大好きで、特にクイーンには大きな影響を受けたのだという。

 「中でも《ボヘミアン・ラプソディ》を初めて聴いた時の驚きは忘れられない。子供ながらにフレディ天才!と感動した。そして、いつかこんな曲を自分も作ってみたいとも思った。とにかく、和太鼓を使った新しい表現、オリジナルな世界を追求していきたい。まずは、このCDを携えて国内外のロック・フェスに出るのが目標です」

 もしかしたら、太鼓と多重録音一人コーラスによる壮大な組曲なんてのも将来的にはやってくれるのかもしれない。期待しよう。

 

LIVE INFORMATION

TYCONIST TAKUYA LIVE (タイコニスト タクヤ)
○8/8(土)16:30開場/17:00開演
会場:調布市文化会館たづくり2階 くすのきホール
出演:TAKUYA 
ゲスト:天龍太鼓(和太鼓)ホッピー神山(キーボード)ナスノミツル(エレクトリックベース)田野村 総(尺八)             
www.chofu-culture-community.org/

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