童貞(ではないものの)キャラっぽかったのに彼女ができ、ニート(でもないけど)っぽい雰囲気だったけど正社員になったことで、ビルディングスロマン的な成長ストーリーに一旦終止符が打たれ、燃え尽き症候群だったのか表舞台から姿を消したように見えた徳利が、いつのまにか音楽活動を再開。そんな彼の第2章を彩る楽曲を簡単に紹介!

 

まずは、復活の狼煙となった2か月前の楽曲“acid pain”。チャンス・ザ・ラッパーの“Acid Rain”をジャックしたこの曲では、職場の倉庫に迷い込んだ猫が気になって夜な夜な見に行ったという日常のエピソードも交えつつ、〈何かが終わって何かが始まるって言うけど、終わったまんまで何も始まんなかったら、どうする?〉といった、徳利活動を再開/継続させることへのシリアスな自己省察もラップした内容となっている。

 

その約1か月後にアップされた“MONEY”は、徳利が「NHKのど自慢」の予選で浜田省吾の“MONEY”を歌った際の(おそらく本物の)音声から始まる一曲。落選後、ウトウトと眠りにつき目を覚ましたところ、なぜかハマショーのライヴのステージ袖にワープし、急遽生じたコーラスの人員不足を補うために舞台に上がり“MONEY”を熱唱してしまう、という寸劇のようなカヴァー(?)だ。

 

つい9日前に公開された“てめえさ”は、ピクシーズの名曲“Debaser”と〈てめえさ〉を空耳アワー的にひっかけたナンバー。彼女ができて正社員になっても抱えてしまうモヤモヤを前に、〈徳利って何なんだ〉という根源的な問いを魂のシャウトで繰り返す、笑えるけどアツい一曲。

 

そして最新曲が徳利合唱団名義による“Sunday Candy (Cover) ”。またもやチャンス・ザ・ラッパー絡みで、彼を擁するドニー・トランペット&ザ・ソーシャル・エクスペリメントの大傑作アルバム『Surf』からの一曲を、徳利ひとりによる多重録音で〈glee〉スタイルのアカペラに仕立てている。ネタ一発勝負かと思いきや、『Surf』に通底するゴスペルのエッセンスを掬い取った批評眼が鋭い……かも。

と、なんだかんだで新曲をポストし続けてくれている徳利さん。また何かカマしてくれそうな気配プンプンなので、引き続きウォッチします!