ミミキキ・トレイニーズ・ダイアリー

LUCKY TAPES 、never young beach 、D.A.N.競演でチケット完売の〈NEWWW vol.6〉に見たニューなシーンの話


渋谷のライヴ・スペース、WWWが2014年8月にスタートさせたレギュラー・イヴェント、NEWWW(ニュー)は、その名の通りフレッシュな表現者や今後活躍が期待されるアーティストを、平日の夜に1,000円という破格のプライスでチェックできるナイスな企画。これまで、Awesome City ClubYogee New Waves吉田ヨウヘイgroupSANABAGUNSuchmos思い出野郎Aチームといった、いまシーンにバリバリ名前を轟かせているアクトを絶妙なタイミングで紹介してきた、ブッキングの妙と先見性が光るイヴェントです。……と一通りの説明はしてみたものの、平和島であくせく働くMikiki編集部員にとっては、これまでやや参加へのハードルが高いイヴェントだったのも事実。ところが、そのvol.6にMikikiでもお馴染みLUCKY TAPESが出演するという噂を聞きつけ、〈いい機会だな〉と遊びに行ってみたのです。

ここで告白すると実はこのレポ、最初から書くための準備をしていたものではなくて、文字通り何かが決定的にニューなNEWWWに衝撃を受け、途中から〈書いて伝えなきゃ〉という衝動に駆られ作成したものです(そのわりに公開遅れてしまった……)。これまでも、Mikikiで取り上げるインディー系アーティストのライヴを中心にちょくちょく現場には足を運んでいた編集部員ですが、この日は始まりから雰囲気が違った。開演時間ぴったりに会場に到着するや、目に入ってきたのはPARCO前にあるWWWのエントランスからスペイン坂を下ったあたりまで続く長蛇の列で、そこに並んでいたのはこの日の出演者と同世代(20代前半)くらいのフレッシュなシティーボーイ/ガールたち。このあたりで、今日が特別な日になるのでは?という予感をビンビンに感じ始めていました。

LUCKY TAPES(photo by yosuke torii)

 

人波をかき分けてやっとの思いでフロアに入ると、トップバッターのLUCKY TAPESが約400人のパンパンのオーディエンスを前に演奏中。この日の彼らは、コーラスと管楽器隊3人を加えた計8人の豪華な編成で、ステージから放たれるいつも以上にキラキラしたフィーリングがまぁ眩しいこと。隣りにいた女の子2人組が「海くんのTシャツ見てよ、ダフト・パンクの。かわいくない?」と嬉しそうに話してたり。でも、そんなルックス抜群の彼らの真骨頂は、音楽的なアンテナの鋭さと、そこから生まれるアイディアを咀嚼しながら、あくまで〈いまのポップ・ミュージック〉としてエンターテインする実力とセンスにこそあるわけで。メンバーが本当に音楽好きで掘ってる感じが音から伝わってくることも、同じような音楽好きのファンから確かな信頼を得ている理由なんだろうなぁ。

もはやライヴではアンセム化しつつあるLUCKY TAPESのキラー曲“Touch!”。
個人的には、田口恵人くん(ベース)のチョッパーのグルーヴがどんどんエグく深化してるのがツボです。

 

 次に現れたD.A.N.(ダン)が、個人的にはこの日最大の衝撃。LUCKY TAPESと、トリを務めたnever young beachの音楽は普段からよく聴いていたけど、その2組と比べるとD.A.N.のことはよく知らないまま観れたのがむしろよかったのかもしれない。Yogee New Wavesとネバヤン所属のRoman擁するBAYON PRODUCTION絡みのアーティスト、という前情報が手元にあったくらいでしたが、この日のライヴの反応を見るかぎり多くのオーディエンスも同じ程度の認識だったのではないでしょうか。

D.A.N.の初EP『EP』収録曲“Ghana”……なんじゃこのグルーヴ感!

 

つい最近出たジェイミーXXのソロ・アルバム『In Colour』は凄まじい傑作でしたが、そこに流れていたUKガラージ/ハウスの一番エッジーな〈いま〉とリンクするエッセンスを、まさかまだキャリアの浅い21歳くらいの日本人の若者たちが見事にロック・バンドのフォーマットに落とし込んでいるとは……。もちろん彼らがフェイヴァリットに挙げる本隊のエックス・エックスポーティスベッドマッシヴ・アタック譲りのダウンテンポブックスマウント・キンビーに通じるエレクトロニクスのエディット・センスも光りつつ、どこか坂本慎太郎さんの世界観にも通じるユーモアと毒を併せ持った日本語の歌詞がすんなりとマッチしていて、まさにNEWWWな感覚。はじめは〈お手並み拝見〉的な感じでステージを凝視していたオーディエンスの反応も、曲が終わるにたびに熱を帯びてきて、最後は熱狂的な歓声が上がっていました。彼らの番が終わった後に、ネバヤンの阿南智史(ギター)くんが「とにかくヤバい。これじゃ負けちゃう(笑)」と興奮気味に話してくれたのが、D.A.N.のインパクトを象徴していた気がする。
(追記:ダラダラ書いている間にネバヤンと一緒に〈FUJI ROCK FESTIVAL '15〉出演が決まりましたね!) 

音源だとちょいチルウェイヴィーな名曲“夏がそうさせた”、ライヴだとロケンローでチョー盛り上がります。

 

トリを飾ったネバヤンは、さすがにファースト・アルバム『YASHINOKI HOUSE』がスマッシュ・ヒットを記録しているだけあって、お客さんへの楽曲の浸透度がすごく高くて、いい意味での緊張感を聴衆に強いるD.A.N.とは対照的なキャラクターやパフォーマンスも含めて、めちゃくちゃ愛されてるバンドなんだなぁと感じました。はっぴいえんどティン・パン・アレー周りの音楽性を引き合いに出されることも多い彼らだけど、サイケでエキゾな成分も加味した音源の印象とは若干違って、ステージで鳴らされる音は日本人の感性にアジャストしたストレートなロックンロールだからなのか、スッと耳に入ってくる。メンバーが本当に仲良くて心から演奏を楽しんでる感じも観ている側に自然と伝わってきて、どうしたってハッピーな空間になるんですよね。これは人気が出るのも分かるわぁ~。

ここ数年の日本のインディー・ポップのトレンドのひとつに、先鋭的なブラック・ミュージックのグルーヴやシティー・ポップのエッセンスをうまく昇華した新しい〈アーバン感〉のようなフィーリングがあると思うけど、それだけだとこぼれ落ちるものも多いというか、そうしたトレンドとは無縁のいたるところからいろんな形の新しくてカッコいいポップ・ミュージックが同時多発的にポコポコと生まれていて、それを受け入れる若いファンもすでにたくさんいるんだな、と。まったく違う個性を確立している若き3組のバンドのライヴを観てよ~く実感できたNEWWWでした。こういったイヴェントの場合、自分のお目当てのバンドを見たらそそくさと帰っちゃって、アーティストによって集客がまちまちというパターンもありがちだけど、初めから最後までギチギチだったうえに、バンドへのリアクションもしっかりあったのが輪をかけて好印象でした。

なお、次回のNEWWW は8月20日(木)に開催が決定済み。DYGLPunPunCircle余命百年というこれまたまったくカラーの違う注目株3組が出演します。現場の最前線の熱をドキュメントするNEWWW、今後もチェックしていきたいと思います!

 

〈NEWWW vol.7〉
日時/会場:8月20日(木) 東京・渋谷WWW
開場/開演:18:30/19:30
出演:DYGL、PunPunCircle、余命百年
チケット代:1,000円(税込/ドリンク代別/オールスタンディング)
チケット販売:
WWW店頭、シネマライズ店頭、イープラス、WWWメール予約
※メール予約方法はオフィシャルページにてご確認ください。
http://www-shibuya.jp/schedule/1508/006287.html
問い合わせ:渋谷WWW(03-5458-7685)

【プロフィール】
船越 太郎

船越 太郎 (ふなこし たろう)

Mikiki編集部員。タワーレコード入社後、店舗バイヤーを経てオンラインのニュース担当となり、このたび〈耳利き〉への第1歩として編集部で勉強することに。ラーメンより蕎麦派。ジャズが流れているシャレオツ蕎麦屋より断然老舗派です。

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