食品まつり a.k.a foodman氏を迎えたD.J.Fulltono連載初の対談、後編です。前編では、食品まつり氏がDOMMUNE〈JUKE解体新書〉を通じて出会ったジュークによって、その後の音楽に対するモチヴェーションが大きく変わったという熱い話や、ジュークの行く末は〈ピー〉になるんじゃないか、などなどジューク/フットワークが日本で知られるようになった頃のエピソードからいろいろお話いただきましたが、後編はジュークがもたらすさまざまな妄想話(!?)や今後の展望などについてワイワイお話してくれました。では、お楽しみください!

※前編はこちら

 

 

コロッケのモノマネとジュークの進化の相似性

――食品まつりさんを迎えての対談なのに、私が訊きたいことをひたすらうかがう感じになってしまったので、そろそろ軌道修正しましょうか(笑)。

D.J.Fulltono「いろんな話が聞けて良かったです。普段、食品さんと会った時に話してることはすごく楽しくて」

食品まつり「いつも〈俺が思ってるジュークはこうだ〉みたいなことを、やっぱりFulltonoさんを通してジュークを知ったこともあって、一方的に……やたらと話しすぎちゃう感じで申し訳ないなと(笑)」

D.J.Fulltono「いや、それがおもしろいなと思って。僕もジュークを聴いて身体で感じるものはこうや、っていうのを伝えたりするんですけど、そういう伝え合いがおもしろいんです。この間もコロッケの動きは完全にジューク/フットワークやっていう話をね……」

――コロッケの何のマネですか?

D.J.Fulltono「コロッケの動き全般が(笑)。コロッケはジュークを知らないんだけど、同じ感覚じゃないかなとか」

食品まつり「僕もそれを聞いて、なるほどなと。ヘンなところでカチャッとスイッチ入る時とかあるじゃないですか、コロッケ」

D.J.Fulltono「着地せずにふわっと……あるはずのものがない、みたいなのを感じるんですよ。進化の仕方とかも似てるんですよね」

――コロッケとジュークの進化の仕方が?

D.J.Fulltono「そうそうそう。原型を留めてなかったりするでしょ。この間YouTubeで観たのが、コロッケがいろんな人のモノマネを早回しでやってるんですけど、早回しが行きすぎて早送りみたいになってるネタがあったんですよ(笑)。さっき言ってた〈ピー〉と一緒(笑)」

【参考動画】コロッケの早送りモノマネ

 

――ハハハハハハ! 確かに、新しい人のモノマネをどんどん増やしていくというより既存のネタを進化させてすごいところに行ってますからね(笑)。

食品まつり「これをシカゴの人たちに見せたらどう思うんでしょう(笑)」

D.J.Fulltono「似てる似てないは重要じゃないですもんね。〈似てる〉ってことにこだわりすぎると進化できなくなるから。音楽もそれと同じで、テクノはこの形、ダブステップはこの形、っていうふうに定義しちゃうと、それ以上の発見があっても見落としてしまう」

食品まつり「確かにそうですね」

D.J.Fulltono「そう考えると(コロッケからは)得るものが大きいなと――そんな話ばっかしてますよね(笑)」

食品まつり「ジュークはいろんなことを想像させてくれますよね。ジュークの形があまりにもおかしいので、そもそも前からあった音楽だけど最近世の中に知られるようになったというところで、数千年前の音楽がそのままの形で発掘されたものなんじゃないかと思ったりして。そういうことをFulltonoさんと話したりしてるんですよ」

D.J.Fulltono「それが元で……なんでしたっけ、あの形」

食品まつり「ストーンヘンジってあるじゃないですか。単純にこれも妄想なんですけど、ジュークを聴いてたらストーンヘンジの石がボンボンボンって置いてある様子が思い浮かんだんですよ。そのストーンヘンジの配列をシーケンサーに当てはめるとジュークになるんじゃないか、みたいなことを想像したんですよね。ジュークって〈カタチ〉っぽいんです。モノが並んでる感じを音に変換したものがジュークというか」

※イギリス南部のソールズベリから北西に13kmほどに位置する環状列石のこと(Wikipediaより)

D.J.Fulltono「めっちゃわかりますわ」

食品まつり「本来あるべきところにないとか、あり得ないところで音が鳴ったり、ヘンなところで声がループしたりとか、カタチを想像させてくれるんです。それはなぜかというと、実は古代の人たちの記憶がシカゴの人の頭に残っていて、無意識的に古代のメッセージを音で発しているんじゃないかと」

――壮大ですね……。

食品まつり「なので、さっきの〈ピー〉の話じゃないですけど、10年後にジュークはどうなっちゃってるのかなと思うんです。前に聞いた話なんですけど、向こう(シカゴ)の人はすぐ飽きるから、ジュークっていう名前がなくなって、形も変わってるんじゃないかって言っている人もいるんですよ」

D.J.Fulltono「可能性はありますね。いまのような形になっているのは10年前にまったく予想してなかったから」

食品まつり「シカゴのゲットー・ミュージックをずっと聴いてるFulltonoさんですら予想できない変化だったんですね」

D.J.Fulltono「むしろ10年前にいまのフットワークを聴いても邪道やと思ったんじゃないですかね」

食品まつり「それを考えると、とんでもないことになってるかもしれませんね。それか、逆に普通になってるか」

――逆に(笑)。

食品まつり「すごく聴きやすいものになってたりして。最近のシカゴのフットワークには次の展開を感じるようなトラックってあるんですか?」

D.J.Fulltono「僕はその一つとして、こないだプラネット・ミューから出たジェリンかな。あれはまったく、突然変異というか、自分なりにジュークを解釈したらそうなったみたいな」

【参考動画】ジェリンの2015年作『Dark Energy』収録曲“Unknown Tongues”

 

食品まつり「あ~、確かにそうですね」

――これもフットワークなのか、という印象を受けました。

D.J.Fulltono「あれからとんでもないことになるんちゃうか、という気がした。ジェリンが最初にSoundCloudに“808”っていう曲をアップした時に、なんかシカゴがSoundCloudやFacebook上で騒がしいなと思って、それ聞いたときに、なんでこの曲で騒いでんのかなと思ったんですよね。いまとまったく同じスタイルで……いまだったら納得できるんですけど(笑)。でも当時はこんな遅い意味のわからん音楽に反応してるのかなと思って」

食品まつり「女性っていうのがまたいいし、洗練されたサウンドですよね。ジューク/フットワークを知らない人にも刺さりそうな」

D.J.Fulltono「なんでこんなふうになっちゃったのか、すごい気になる」

食品まつり「ライヴとかDJをしない方らしいですね。トラックをひたすら作ってるらしくて、現場にも行かず、家で想像して作ったらああなったんじゃないかと」

【参考音源】ジェリンの2015年作『Dark Energy』ダイジェスト音源

 

食品まつり「改めて聴くとすごいですね。ちょっとトラップ的な感じも混じりますけど、やっぱり独特の……」

D.J.Fulltono「おもしろいのは、三連符だけで構成してて、ノリ方が違うというか、例えばBPM120の曲やと思う人もいれば、そう思わない人もいそうな……〈ルビンの壺〉みたいな、ああいう発想やなと」

食品まつり「確かにそうですね」

D.J.Fulltono「僕はDJでBPM120の4つ打ちとミックスして、強引に120として聴いてみようというのをDJでやってるんですけど、そうするといままで聴いていたものとまったく違って聴こえるんですよ」

――おもしろいですね。

食品まつり「新しい何かが生まれるきっかけになりそうですよね。聴こえ方が変わったら違うものが浮き上がってきて、それが違う形の音楽、ジュークから分岐してまた違う音楽になったりするかもしれません」

――そういう意味で言うと、このbounceレヴューはFulltonoさんとは違う方向から聴いた印象を書いているような気がします。

D.J.Fulltono「昔のシカゴという先入観があるから、こうは捉えられないかもしれませんね」

――クロス・レヴューにしたらおもしろい作品ですね。

D.J.Fulltono「曲にイメージを与えないっていうのも重要かもしれませんね」

 

ジュークはシカゴの民族音楽?

食品まつり「ジュークも受け取られ方が国によっても違いますよね。イギリスだとベース・ミュージックとして捉えられていたり、日本だとBooty Tuneがいるからシカゴ的かもしれないし、人によってはノイズだと思うかもしれないし。不思議ですよね」

D.J.FulltonoRPブーのことが大好きな写真家で、いつもプラネット・ミューのRPブーのジャケを撮っているウィルス(Wills Glosspiegel)という人がいて、日本にも来ているのですが、その人が他にどういう音楽を聴いているかっていうと、民族音楽ばっかり聴いていて。京都の民族楽器屋に一緒に行ったら、店員に教えるほど詳しいんですよ(笑)」

食品まつり「それ本気ですね」

D.J.Fulltono「〈今度工場紹介するよ〉とか(笑)。その人は、フットワークを民族音楽だと思って聴いてるんですよ」

食品まつり「名古屋のレコード屋の人が、シカゴ・ハウスは民族音楽だって言っている人がいて、それ同じ発想ですよね、おもしろいです」

D.J.Fulltono「民族音楽としてフットワークを捉えた論文を書いたらおもしろいですよね」

食品まつり「現代の民族音楽、みたいな」

――だからこそシャンガーンと通じる気がするのかもしれませんね。

食品まつり「そうですよね。ダンスもあるし」

D.J.Fulltono「そういう聴こえ方が違うっていうのをコラボで実現したくて、食品さんと共作した曲があるんですよ」

食品まつりナカコーさんのレーベル(Sound Of Romances)から『DOGUU EP』というのを出したんですが、そこでFulltonoさんとコラボした“uho uho story”という曲を入れたんです。Fulltonoさんと、ジュークなんだけど違ったものにしようと」

D.J.Fulltono「僕が思う食品さんのイメージを曲にしたというか。全然フットワークじゃないけど……ということを実践したような(笑)」

食品まつり「フットワークの感覚でフットワークじゃないものを作ろうということで、Fulltonoさんにリズムを担当してもらったんです。それ聴いたら〈おお!〉と思って」

【参考音源】食品まつりの2014年のEP『DOGUU EP』収録曲“uho uho story”

 

――祭囃子みたいですね。

D.J.Fulltono「それが、僕が思う食品さんのイメージなんですよね」

食品まつり「5000年前にこういう音楽があったら……といったことを考えていたんですが、それをFulltonoさんが汲み取って作ってくださって」

D.J.Fulltono「ヘッドフォンで聴かないとわかりずらいので、ぜひヘッドフォンをして聴いてみてください」

食品まつり「前にFulltonoさんがこの曲をDJでかけてくださったんですよね」

D.J.Fulltono「すごくウケがいいです。〈この曲なに?〉ってよく訊かれるんですよ」

食品まつり「いまだにこの曲を聴くと不思議な気持ちになるんですよね。ジュークの未来を想像しながら出来たなと。リズムの変わり方とかもおもしろくて」

D.J.Fulltono「3年くらい前にそういう話を2人でしていて、それがやっと形にできたんです。食品さんに〈この曲のイメージはありますか?〉って訊いたら、ストーンヘンジの画像が1枚送られてきて。〈そのイメージを音に〉という宿題を与えられているような感じでした」

食品まつり「それで送られてきたものがまさにイメージ通りだったから、完全にわかり合えた、〈キター!〉ってなって(笑)。ジュークというジャンルではなく考え方で作られた音楽というのが出来たなと」

――そういう考え方で、トラックメイカー同士のコラボ企画をやったら混沌としておもしろくなりそうですね。

食品まつり「そうなんですよ。ゴルジェが〈ゴルい〉というキーワードでトラックを作ってコンピにしたりとか、ジュークもそういう動きがもっとあっていいのかなと思って。日本の民族音楽でもロックでもジャズでも、〈これジュークっぽくない?〉っていうのを生み出していくというのが」

D.J.Fulltono「そういう活動を僕らはしてこなかったんですよ」

食品まつり「もちろん、シカゴのものをちゃんと紹介していくのは大事だと思います。Fulltonoさんがシカゴのジュークを最初に紹介してくれて、それを最初に知っていたほうがより広がりがあると思うんですよ。何も知らずに、あれもこれもジューク、みたいになっちゃうと訳がわからなくなっちゃう」

――一方でまったくジュークを意識して作ってないであろうものからジュークを感じることが、いろんなジャンルの音楽にありますよね。

食品まつり「あります、あります。僕、ムーンドッグっていうアーティストの曲がすごくジュークっぽいなと思ってて。BPMとかは全然違うんですけど、感覚的に近いものがある。1930年代くらいから活動してた作曲家なんですけど、ホームレスみたいになってストリート・ミュージシャンとしても活動していて、自作のパーカッション楽器を演奏したりしていたんです。音色とかも似てて」

【参考動画】ムーンドッグの69年作『Moondog』

 

食品まつり「最近すごくムーンドッグを意識しているんです。さっきのジェリンみたいな感じもあるような」

D.J.Fulltono「ああ」

食品まつり「60年代にもこういうジュークのようなことをやっていた人がいたんだなと。そんなふうに感じさせる音楽ってすごいですよね。Fulltonoさんがコロッケを見てジュークを感じたように」

D.J.Fulltono「言葉で上手く言い表せないんですよね。僕、昔剣道をやっていたんですけど、剣道の〈騙す〉ような動きと、フットワークの感じが一緒だったりとか、あと、僕フットワークとかジュークのそういう部分を聴かせようと思ってDJを始めて、すごく足を攣るようになったんですよ」

――(苦笑)

食品まつり「あと、フットワークを聴きすぎた奴が作った建造物とか、一度見てみたいですよね。ヴィジュアル方面からの動きがあってもおかしくないと思っていて、ヴィジュアル側の人が〈俺らはフットワークをこう見てるんだよ〉っていうのを形で見せたりとか」

D.J.Fulltono「それおもしろそうですね。シカゴの人たちのそういうのを見てみたいですね」

――……。

食品まつり「フットワークのイメージを描いて、でもいいし。それくらいカタチっぽいんですよ。現代美術のようなアカデミックな人がやるんではなく、ゲットーな人がやるっていう。タフな状況下でそういうことをやったらカッコイイですよね」

D.J.Fulltono「食品さんが『160OR80』に関わってはったと思うんですけど、あれは違うもので表現してみようというののひとつなんですか?」

※2013年にリリースされた、ジュークのトラックメイカーとラッパーのコラボをテーマにしたコンピ

【参考音源】2013年のコンピ『160OR80』

 

食品まつり「そうですね。あれはtrinitytiny1という方からDMで〈やりませんか〉という連絡が来て。〈僕がラッパーに声をかけるので食品さんはトラックメイカーを誘ってください〉と。ジューク/フットワークに言葉を乗せたらどうなるんだろうと思っていましたが、すごくいいものになりましたね。ですが、その次の何かがもっといろいろ出てきてもいいのかなと思うんですよ」

――ラッパー以外でもおもしろいコラボ的なことができる可能性はありそうですしね。

食品まつり「めちゃくちゃアリですよね。僕、ASA-CHANG&巡礼がやっていることって『160OR80』と通じてると思うんですよ。あれもリズムと言葉の実験じゃないですか。インド音楽の人がガチでフットワークの人とやったり、インド音楽の人がフットワークやるとどうなるんだろうと。U-zhaanさんとRPブーがコラボしたりとか、そういった壮大な実験をやったら……と」

――聴いてみたいですねー、ホントに。それこそ先ほどムーンドッグを聴いて、室内楽×フットワークなんてどうなんだろうとか、いろいろ想像しちゃいますね。

食品まつり「いいですねー、それ最高ですね。前にジェフ・ミルズとオーケストラが一緒にやったりしてましたし。あと、スティーヴ・ライヒのようなミニマル・ミュージックの人とRPブーとか、そっちの組み合わせもとんでもないことになりますよ」

D.J.Fulltono「ああ、それはアリですね。前に言ってましたよね、RPブーはまだ可能性の1%も出してないっていう話を(笑)」

食品まつり「RPブーの顔を見てたら、いま彼が作ってるトラックもとんでもないんですけど、でもまだ実力の1%くらいしか出してなくて、99%はまだ見せてないんじゃないかという気がしたんですよ。だからあの人が100%を出したら人間に聴こえないものを作っちゃうんじゃないかとか、聴かせたら人が死んじゃうようなものを作るんじゃないかとか(笑)」

D.J.Fulltono「自分でもそれをわかってたりして(笑)」

食品まつり「本気出したら聴いた人が死ぬから1%くらいで留めておかないとヤバイと(笑)」

――ハハハハハハ、危険すぎますね(笑)。

食品まつり「話を戻すと、ヒップホップではそういった試みはやっていたりしますけど、ジューク/フットワークでもそれをやったらいいなと思って。リズム・パートはいろんなジャンルの人にやってもらって、ウワモノをフットワークの人がやるとか。あと手拍子だけでフットワークともおもしろそうですよね。それを考えると、フラメンコとかもいいかもしれない。フラメンコはフットワークを聴いた後に聴くと感じるものがあるんです」

――あー、なんかわかるかも!

食品まつり「フラメンコも民族音楽と考えると……そういうことですよね。電子音で作ってるけど民族音楽っていう」

――シカゴの民族音楽?

D.J.Fulltono「その道のプロフェッショナルの人だったら、感覚的に繋がれるかもしれませんね。ちょっとやってます、くらいだったら、ただ音が重なってるだけになるかもしれないけど」

食品まつり「そうかもしれませんね。RPブーくらいのレヴェルの人ですよね。1音出しただけで〈なるほど〉、みたいな」

D.J.Fulltono「実は根底では繋がっていたことに気付く、みたいな」

食品まつり「あと、ラシャドの“Reverb”やDJ MCの“Y Fall”のような、訳のわからないトラックももっと聴きたいですね。最近そういうのはありますか?」

【参考音源】2011年のコンピ『Bangs & Works Vol.2』収録曲、DJ MC“Y Fall”

 

D.J.Fulltono「ラシャドの研究が止まっちゃったんでね……。今後何を作る予定やったんだろうとか、そういうことはすごく思いますね。新しい人にはそういうのがあまりないんです」

食品まつり「シカゴは若干進化が止まっちゃってる、というのは聞きますよね。むしろ日本のほうがおもしろいと。ジュークが注目されてきて、売れ線をやろうとして冒険が止まってると」

D.J.Fulltono「うんうん。むしろ昔のものに目が行っている感じなんですよね」

――それはどれくらい昔のもののことなんですか?

D.J.Fulltono「シカゴだけで流行っていた、2000年代中期の音源はまったく世に出ていないし、その頃の音源に物凄い発見があるという風潮はある」

食品まつり「新しいものを作るというよりは、以前のものを掘り起こすみたいな」

D.J.Fulltono「そこに発見が多いんだと思います。〈こんなトラックがこの時代に!?〉みたいな。いわゆるレア・グルーヴですよね」

――ああ~。

D.J.Fulltono「〈この頃の音楽は良かった〉という感じじゃないんですよ」

食品まつり「過去も未来も関係ないんでしょうね」

D.J.Fulltono「過去を遡るほうが新しかったっていうのもおもしろいですね」

――はい、それではそろそろ締めに入りたいと思いますが、最後に何か……。

D.J.Fulltono「また始まっちゃいそうやけど(笑)、これからのことですよね」

食品まつり「いままでやってなかったこと、これは止めておこうと思っていることも含めて、いっぱい挑戦したいですね。ただサンプリングするんじゃなくて、この音楽とジュークを掛けあわせたらどうなるんだろうみたいな、そういうことを試して聴いてみたい。そういうのを想像させてくれるのがジュークだなと」

D.J.Fulltono「ぜひやってほしいです。ルールがないことがおもしろいと言っていたけど、知らぬ間にルールは出来てしまうから、それに気付いて改めてなくしていくというか」

食品まつり「これはジュークじゃないと思われるかもしれないけど、それを気にせず試したいなと。逆にルールを決めるというのもいいかもしれませんけどね」

D.J.Fulltono「いまやフットワークのなんたるかみたいなものは吸収しちゃってるから、そこを始点にまた自由なことができるみたいな感じですよね」

食品まつり「こういうものだとわかったうえでやると、また新しいものができるような気がします」 

 

PROFILE:食品まつり a.k.a foodman


名古屋出身のDJ/トラックメイカー/絵描き。2012年にNYのオレンジ・ミルクから初作『Shokuhin』をリリースして注目を集め、ナカコー主宰のSound Of Romancesから2014年に発表した『DOGUU EP』をはじめ、コンスタントに作品を残す一方、七尾旅人や禁断の多数決などのリミックスをこなす。また、2013年のジューク×ラップのコンピ『160OR80』や、2014年のLEF!!!CREW!!!の公式ミックスCD『THIS IS HARDCORE』に参加したほか、各種コンピに楽曲提供。今年3月には初のCD作品となる『COULDWORK』をリリース。同作はオレンジ・ミルクよりカセットテープでも発表されている。

 【参考音源】食品まつり a.k.a foodmanの2015年作『COULDWORK』ダイジェスト音源

 

PROFILE:D.J.Fulltono


関西を拠点に活動するDJ/トラックメイカー。ジューク/フットワークを軸に ゲットー・テックエレクトロシカゴ・ハウスなどをスピンする一方、自身のレーベル=Booty Tuneを運営。パーティー〈SOMETHINN〉も主催する。また、プラネット・ミューやハイパーダブでリリースされたジューク・関連作品の日本盤特典ミックスCDを手掛けるほか、国内外の音楽メディアへジューク関連記事を多数執筆。2014年に5作目のEP『My Mind Beats Vol.01』をリリース。8月1日(土)にはBooty Tuneの10時間パーティー〈Booty Tune 10hours Fes〉を東京・恵比寿BATICAで開催。また、8月2日(日)にはリミックスで参加したDALLJUB STEP CLUBの初アルバム『We Love You』を引っ提げた京都METROで行われるライヴに出演。