Page 2 / 3 1ページ目から読む

勢いに乗るホープと〈EASY〉に出会える!
ナイス・レコメンドが光るO-nest

 

――〈EASY 2〉のラインナップは前回以上に攻めてますね。みんな自分たちで声をかけた感じ?

夏目「そうですね。もちろん、手伝ってもらった部分もありつつ」

菅原「本当にメンバーが選んでます」

夏目「前回出てもらった人は全員呼ばないっていうのは最初から決めてました。ベタベタしてる感じが出たら嫌ですよね」

――馴れ合いはしない、と。

夏目「その点SaToAは、どのバンドとも仲良くならないからいいんですよ」

菅原「そうそう、最高です。こないだも恵比寿BATICAにライブを観に行って、終演後に良かったことを伝えようと話しかけに行ったらヴォーカルのTomokoちゃんが、俺に背中を向けて、早くどこかに行きたさそうで……(笑)。みんなすごく優しいんですけどね」

SaToA

 

――SaToAは衝撃的なバンドですよね。演奏の上手い下手とかを超越しているというか。とんでもない曲を書くし。

菅原「曲の作り、普通じゃないですよね。〈そこで、その進行!?〉みたいな」

――以前、夏目くんが彼女たちに手紙を渡されたんでしょう?

夏目「去年の〈EASY〉で〈音源聴いてください、私たちもこういうの出たいんです!〉って声かけてくれたんですよ。あのとき、ありがたいことに何枚かCDもらったんですよね。基本もらったCDは全部聴くわけですけど、SaToAはずば抜けて良かった。〈すごいの来たぞ〉と」

――そう思いますよね(笑)。

夏目「それで〈オルグスター感謝祭〉(2014年の年末に南池袋のミュージックオルグの閉店前日に行われたイヴェント)で、実は俺が黒幕として動いていたんですけど、彼女たちに出演してもらって。そのときがSaToAの初ライヴで、(共に出演していた)三輪二郎柴田聡子も〈あんないいバンドがいたのか〉って感動してましたね」

菅原「本人たちは、そういう最近チヤホヤされてるムードに葛藤しているというか、ちょっとこう……どうなんだ、みたいなのがあって。そこもいいんですよ」

夏目「なんか、世の中すべてに中指立ててるような感じでしょ。だから、ああいう曲になるんですよね。それはすごい理解できる」

――やってる音楽に必然性があるというか、パーソナリティーと音楽性がここまでリアルに結び付いている例って、他になかなかないですよね。

夏目「最近またライヴが変わってきたらしくて。媚びないんですよ。ハードコア・バンドみたいになってるらしく」

菅原「基本MCなしで」

夏目「みんなが〈どうした!?〉ってなってる、その感じも超いいですよね」

※SaToAインタヴュー記事はこちら

 

D.A.N.

 

夏目D.A.N.は僕が音源を聴いて好きになって。それでどう?ってメンバーに提案して、みんなもかっこいいね!と。」

――どんなところが気に入ってるんですか?

夏目「なんで若いのにこんなに考えられるんだろうって。どういうきっかけで音楽を始めると、あんなに考えて作れるようになるんだろうとか、すごく興味があります。自分たちと違いすぎて」

――まだ20代前半なんですよね。

夏目「これが好きですっていうのがあって、音楽をやっている感じがすごく好感を持てるというか。実際どういうのを普段聴いてるのか話してみたいですね。SaToAはそこらへんのこと聴いてもなんか掴めなそうだけど、D.A.N.はそこらへんが豊かそうだなって」

菅原「かっこいいですよね。顔も」

一同「(笑)」

菅原「だけど、全然チャラチャラしてなくて誠実な感じがする。すごい好印象」

夏目「オウガとか好きなんですよね」

菅原「それを公言しつつ、自分たちの表現をしているのが凄い」

――その影響を踏まえつつ、さらに乗り越えて新しい音楽を創ろうとしている感じがするし、実際にそうなりそうな気配を感じさせるのもワクワクさせるというか。

夏目「そうそう。バンドにはいろんなタイプがいると思うんですよ。ファースト(・アルバム)でバンドの下地ができて、だんだん色が重なっていって、完成度とかオリジナリティーを増していくタイプに、最初はとっ散らかって何やってるかわかんないんだけど、そのグチャっとしていたものが次第にわかりやすくなっていくパターンと。だから、D.A.N.とSaToAは対照的というか。D.A.N.はレッド・ツェッペリンとかヴァンパイア・ウィークエンドとかみたいに、一番シンプルな形が初期に既にあって、ここからどう進化もしくは深化させていくんだろうっていうバンドなのかなってイメージ」

――シャムキャッツは後者?

夏目「完全に後者でしょう!」

菅原「俺たちはSaToAタイプか」

※D.A.N.インタヴュー記事はこちら

 

never young beach

 

――D.A.N.と同じレーベル(Bayon production)のnever young beachも、いま盛り上がってますね。彼らはどんなかんじで?

夏目「結構いい感じだなと思って」

大塚「なんか軽くない(笑)?」

夏目「でも、ネバヤンは真面目に語ってもしょうがないっていうか。〈結構いい感じじゃね?〉っていう感じのバンドじゃないですか。全然悪い意味じゃなくて」

菅原「いや、そうだね」

――いい湯加減っていうか。

夏目「でも確固たる〈これじゃなきゃダメだ感〉もあって。ライヴだと特に、5人のグルーヴィーな感じこそキモなんだなってグッときました」

――音楽性にも〈EASY〉感ある気がしますね。本人たちともよく喋ったりとか?

菅原「喋りますね。機材の使い方についてメールしたりとか。でも、ここまで絡めるようになるとは思ってなかった。ネバヤンの(『YASHINOKI HOUSE』)レコ発にも呼ばれて、それが本当に楽しかったな。〈EASY〉の前にすごい盛り上がっちゃった」

――音楽性でいうと、はっぴぃえんどとかデヴェンドラ・バンハート、ブラジルのトロピカリズモとか、いろんな要素をいい塩梅に感じさせて。

夏目「今後どうなるのか全然わかんないですよね。そこがいい」 

 

DYGL

 

夏目DYGLは僕がたまたま出会って、ライヴを観に行ったらすごいカッコよかった。男らしいインディー・ロックのロマンがほとばしるっていうね」

――〈ロマン〉って表現はかなりしっくりきますね(笑)。前にNOT WONKと彼らが同じ日にライヴしているのを観て、どちらにもビックリさせられたんですよ。最近はこういうバンドがいろいろと出てきていますね、歌詞が英語で。

夏目「そうそう。で、みんな違いますよね」

 

――個人的な話ですけど、欧米のインディーを通過して英語で歌う日本のバンドって、昔は正直そこまで入り込めなかったんですよ。ちょっと物真似っぽくも思えてしまって。でも最近出てきてるバンドって、海外のバンドよりライヴがうまかったりするじゃないですか。

菅原「自分が大学生のときには絶対いなかった。堂に入った感じしますもんね。海外のバンドと並んでても、引けを取らないというか」

――ここも交流はあるかんじ?

夏目「ちょっとだけ喋ります。会ったら〈ウィース〉って。たぶん趣味とかは結構違うんですよね、僕らとは。でも出てくれるから、本当に嬉しいんですけど」 

 

may.e

 

菅原may.eは俺がもうゴリ押しで、一番最初に名前出しました。ここ一年で本当に一番好きな歌手です」

夏目「俺も一回弾き語りで対バンしました。気づいたらなんとなく友達だよね。最初から近いとこにいて。僕はずっとインターネットで聴いてました」

 

――いっぱいアップされてますからね。ネット上で熱心に音楽を追ってる人たちのあいだでは、早くから話題になっていたイメージ。

菅原「BandcampやSoundCloudで音楽を発信する人はいっぱいいますけど、そのなかでも一番……すごい良い。あとは〈EASY〉なスタンスですよ。全然笑わない。媚を売らないというか」

――〈ハード・イージー〉だ。

菅原「最初はちょっとロハス系なのと思ってたんですよね。麦わら帽子をかぶって、爽やかなひまわりがー、みたいな」

――「思い出のマーニー」みたいな。

菅原「そうそう! でも全然違うんですよね。そこが俺は好き」

夏目「たしかに中指系ではある。あと、may.eはおもしろツイートをよくしてます」

――ライヴ以外にも見どころ満載なんですね。

夏目「演奏の方はなんていうか、スクウェア。ギターの弾き方とかが。なんかボタンを押して再生すると、まったく同じことがまたできるんじゃないかって感じさせるようなライヴなんですよね。そこに人の温もりが入ってくるっていうイメージで、なんか不思議ですけど」

――感情的だけどテクニカルというか。

夏目「そういう感じがします」