DISC GUIDE

OPNやアルカと並べて聴きたい、2010年代を生きる僕らのためのサウンドトラック/ベルリン拠点に勢力拡大中のパンとは?

【特集:ポストの先で出会った地下のポップス】Pt.3

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  • 2015.12.04

#AndAndAndAndAnd
【特集】ポストの先で出会った地下のポップス
多様なコンテクストを出入力しながら、驚くべき早さで拡散していった〈#OPN〉〈#Arca〉の波動。その現象がいま、スタンダードになろうとしている

★Pt.1 ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー『Garden Of Delete』のインタヴューはこちら
★Pt.2 アルカ『Mutant』のコラムはこちら 

 


2010年代を生きる僕らのためのサウンドトラック

JAMES FERRARO Skid Row Break World/melting bot(2015)

ヴェイパーウェイヴの勃興に寄与したニュー・エイジ・テープスの主宰者による新作は、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー『R Plus Seven』と並び称された『NYC Hell 3:00 AM』の続編。舞台をLAへ移し、優美なAOR風味に、ラップやパルス音、街の雑音などを被せ、リアルとヴァーチャルの狭間にどんよりとした音風景を浮かび上がらせる。 *池田

 

 

NICO NIQUO Epitaph Orange Milk(2015)

ポストOPNの巣窟、蜜柑牛乳の層の厚さを感じさせるオーストリア人クリエイターの編集盤。抗菌されたMIDIアンビエントに鳥のさえずり、ウェイトレスなダブステップやトラップフリージャズを白々しく展示した……だけなのに、なぜここまで心を奪われてしまうのか? 食品まつりも参加! *ヌーディーマン

 

 

CO LA No No Software/Pヴァイン(2015)

Seihoの一気飲みパフォーマンスのインスピレーション元としてもお馴染みな(!?)、ボルティモアの気鋭が放ったソフトウェアからは2枚目となる作品。金属音を調合した自家製の声ネタ、拍子木や胡弓にドラまでが音響バウンスとして踊り狂う。独自のミュータント・ゴールをめがけてまっしぐらだ。 *ヌーディーマン

 

 

MR. MITCH Parallel Memories Planet Mu(2014)

OPNのジャケを担ってきたコンクス・オム・パックも所属する惑星ミュー。その左岸音楽への凝視を怠らない成果は、現在のミュータント情勢にも影響を及ぼしている。例えば、本作における牧歌的で弾力のあるテクスチャーとR&Bネタの反復は、『Garden Of Delete』の青写真みたいでもあり。 *ヌーディーマン

 

 

D/P/I MN.Roy/Rico Leaving/melting bot(2014)

グリッチを執拗に使った音作りがトレードマークのLAに住む奇才。本作は彼の最新アルバムに配信EP『Rico』を追加した日本独自盤だ。さまざまな音色の断片をコラージュした楽曲群はとてもアブストラクト。暴力的かつメタリックで、チクチクするような耳触りは、OPNの新作とも相通じる。 *池田

 

 

SSALIVA Be Me Ekster/melting bot(2015)

OPNの変化に戸惑った人はこちらをぜひ。ヴェイパーウェイヴ視点でニューエイジを再生したような本作は、コラージュもノイズもアンビエントもすべてが陶酔的で幸福感に包まれていて、聴きはじめたらラストまで茫然と時が過ぎていく。今年のメランコリック電子ミュージック大賞を贈りたい。 *青木

 

 

LEVANTIS Romantic Psychology 1 Technicolour/BEAT(2015)

アクトレスの覆面ユニットなんて噂もあるレヴァンティス。ユングの深層心理学、とりわけ闇についての分析にインスパイアされたというこの初作は、ドローンやアンビエント・ベースを軸にしたローファイな音像が印象的だ。聴きようによっては2012年作『R.I.P.』の続編的な感じがしなくもない。 *池田

 

 

LNRDCROY Much Less Normal 1080P/Firecracker(2014)

2014年にカセット限定で発表されたカナダ産の本作が、話題が話題を呼び、今年に入ってCD化。ロウハウス、ニューエイジ、バレアリックを一本に繋ぎ、チープ・シックなリゾート感を心地良く演出。アルカが『Mutant』で垣間見せた似非トロピカル・ムードを、より人懐っこくした感じか。 *ヌーディーマン

 

 

HOLLY HERNDON Platform 4AD/HOSTESS(2015)

RVNGからの初作で一躍注目を浴びた才女による4AD移籍作。切り刻まれた細かな音/声の運びとエキセントリックなギミックを忍ばせた、実験的かつ奔放な音作りがおもしろい。奇抜なことに挑戦しているのに聴き心地はキャッチーで、どこかアルカとビョークのマッチングを思わせたりも。 *青木

 

 

KODE 9 Nothing Hyperdub/BEAT(2015)

相棒の死という深い悲しみを創作意欲に変えて完成させた、〈無〉をテーマとする初のソロ作。ホラー映画のサントラやゲーム音楽も含む無数のサンプルを使って、音楽のコンテクストを雑多に織り交ぜたポスト・インターネット時代のムードを紡ぐとは。UKベース側からOPNに接近した傑作。 *池田

 

 

アルカらの台頭よりも少し前に復活したアンビエントの名門、アポロから放たれた本作は、5~6年前のポスト・ダブステップを思わせる朴訥とした佇まいが素晴らしい。同レーベルはこれに続き、OPNにもっとも近い存在と言われるあの男のダブ・ユニットを来年にデビューさせるとか……。 *ヌーディーマン

 

 

CLAUDE SPEEED My Skeleton LuckyMe/BEAT(2014)

OPN、スティーヴ・ライヒフィリップ・グラスを引き合いにされるスコットランドの逸材。感情を揺さぶるエモーショナルなシンセ・ワークや多様なフィールド・レコーディングが織り成す神々しいサウンドに、思わず目頭が熱くなる。家族の死を経験した後に作ったというのも頷ける内容だ。 *青木

 

 

GIANT CLAW Deep Thoughts Orange Milk/Virgin Babylon(2015)

オレンジ・ミルクの主宰者によるソロ第2弾。前作でのジューク/フットワーク的なビートや寝室R&Bへのアプローチは鳴りを潜め、ポップでカラフルなハーモニーに焦点を絞ったMIDIオーケストラへと変貌。コミカルで可愛らしい音色にフラフラと吸い寄せられるが、よく聴くと毒々しい! *青木

 

 

LAUREL HALO In Situ Honest Jon's/Pヴァイン(2015)

元カレのOPNやビル・クーリガスをはじめ、本特集に登場している人たちとは何かと縁の深い才媛。ハイパーダブを離れて発表したこの作品では、過去最高にストレートで無骨なテクノ・ビートを展開。一定の距離を保って世のミュータント大喜利を見守っているような余裕が感じられる。 *ヌーディーマン

 

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