デキる奴!――なんて、見目麗しき女性を前にして少々乱暴な言い方かも知れないけれど、アイドリング!!!卒業後第1弾となる横山ルリカのニュー・シングル“SHUT YOUR MOUTH!!!!!!”を聴けば、思わずそう唸らずにはいられない。

 「ずいぶんテイストの違うものが来たなあって。90年代のハウス?……って言うんですかね。歌い出しが〈うるさい!〉っていう歌詞もびっくりしましたし、コーラスとかハモの多さとかにも驚きました」。

横山ルリカ SHUT YOUR MOUTH!!!!!! CJビクター(2015)

 表題曲のプロデュースは、ヒャダインこと前山田健一。ソロ・デビュー・シングル“Walk My Way”と続く“Your Voice, My Life”を手掛けて、〈ソロ・シンガー=横山ルリカ〉の〈立ち上げ〉に携わった彼が2年ぶりに託したシングル曲は、前述の通り90年代ハウスのテイストを纏ったダンサブルなトラックで、複雑なハーモニーやアッパーで音域の広いメロディー構成など、シンガーとしての彼女のポテンシャルを半ば強引な勢いで引き出している。トリッキーな作風で知られる前山田だが、歌唱面でこれだけ大きなハードルを歌い手に課した曲はいままでなかったんじゃないだろうか?

 「フェイクとかも、いままでのレコーディングだったら、ピアノで音を取りながら具体的な指示をいただいて、それに近づくようがんばって歌ってたんですけど、今回は〈曲の雰囲気に合わせて何かやってみてください〉って言われて、あっ、アーティストとして見ていただけてるんだな、って。“Walk My Way”や“Your Voice, My Life”でもそうでしたけど、今回もヒャダインさんから成長するきっかけをいただきました。また一歩進める曲になりましたし、アイドリング!!!卒業後の第1弾としてもぴったりだと思っています」。

 歌詞のなかには、〈もう ごちゃごちゃごちゃごちゃ言ってないで 進みましょ!〉なんていう頼もしいフレーズも飛び出し……。

 「昔はこういうことを言われる側だったんですよ。アイドリング!!!に入って、自分の思うようにできなくて、いろんなフラストレーションを全部親にぶちまけてたんですね。でも、〈ごちゃごちゃ言っててもしょうがないでしょ! 私もがんばるからあなたもがんばりなよ〉って母に言われて、そのあと気持ちを切り替えられるようになったんです。あと、〈真面目すぎるとか 優等生とか それが 自分で 何が悪いっての?〉っていう歌詞は、まさに私のことで。実際、すごく言われてきたことなんです。アイドリング!!!はみんなキャラが濃かったし、おもしろいし、私が無理しておもしろいこととかいつもと違うことをしてもボロが出る。これは自分にも言い聞かせるような歌だなあって思います」。

 カップリングには自作詞のクリスマス・ソング“プレゼント”、〈小さな炎が消えないまま 好きだけど 好きだけど……だからこそ ほら 新しい未来へ今 歩きだそう〉という感傷的なラヴソングでもありながら新たな一歩を踏み出す彼女の決意表明にも受け取れる“New Day”。今作でもシンガーとしての艶やかさを十二分に見せつけてくれた彼女が、この先に描いていく景色は、さてどんな色に?

 「アイドリング!!!で毎週のようにライヴをやっていたので、これまでは歌う機会も結構あったんですけど、それがなくなったぶん、これからは本当に心して臨まないとなって思ってます。いずれは生バンドをバックにやってみたいですね。アイドリング!!!最後の武道館ライヴは生バンドだったんですけど、やっぱり生バンドは違うなって思いましたし、去年のプレ・ワンマン・ライヴのときに3曲だけピアノとアコースティック・ギターに入っていただいたんですけど、いま音源を聴き返しても、いちばん良かったなって思うんです。生バンドだと、その日その日で演奏も歌も違ってくるでしょうし、とにかくファンのみなさんには新しいものをどんどん見せていきたいです」。


横山ルリカ
91年生まれ、神奈川出身のシンガー。小学生の頃からモデル/タレントとして活動を開始する。2006年にアイドリング!!!結成に参加し、グループの活動と並行してグラビアやドラマ/舞台にも活動の幅を広げていく。2013年にシングル“Walk My Way”でソロ・デビュー。以降もコンスタントにシングルを重ね、2014年にはファースト・アルバム『ラピスラズリ』をリリース、ソロで初のフル・コンサートとなる〈横山ルリカ プレワンマンライブ〉を開催している。今年に入って、5月に通算5枚目のシングル“七色のプリズム”を発表。10月のアイドリング!!!卒業も話題を集めるなか、ニュー・シングル“SHUT YOUR MOUTH!!!!!!”(CJビクター)をリリース。