暮れの〈紅白歌合戦〉から間髪入れずに放った約2年ぶりのアルバム。そうした大舞台での姿や過去のヒットの印象もあって大歌手然と歌い上げるイメージの強い彼女だが、本作ではリズミックなアップも充実しているのが嬉しい。クワイアと昂揚していく冒頭の“あなたにスマイル:)”では松井寛が編曲を担い、同じく松井のアレンジした快速フィリー調の“Oh Lovely Day”は松本俊明が作曲。さらにシングル“オルフェンズの涙”では勇壮な手捌きを見せた鷺巣詩郎シャカタクっぽいジャズ・ファンク“真夜中のHIDE-AND-SEEK”も提供し、佐々木潤DJ GOMIのハウスもあるなど、MISIAの初期設定に寄与した敏腕たちが好ましい躍動感を注いでいるのは感慨深い。彼女本来の弾むような魅力に改めて聴き惚れるべし。