薄闇に閉ざされた彼岸の国のフォーク・シンガーから届いたニュー・アルバム。物憂いギターの調べが先導するモノクロームな色調のサウンドと、淡い靄に包まれたようなヴォーカルが、全体の印象を奇妙なほど曖昧に滲ませていく。ラナ・デル・レイ的な情念とは異なる、可憐だが底知れぬ虚無を秘めた彼女の歌声自体が、静かに美しいサイケデリアの結晶だ。日本での過小評価ぶりに首を傾げたくなる、儚い幻夢の如き傑作。