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 (左から)岡田圭史、片山翔太
 

自分たちが踊れる場を増やしていきたい

――今年は、2日間の開催となり出演者が増えたこともあってか、北海道のNOT WONKや京都のHomecomings、大阪のSpecial Favorite Musicなど東京近郊以外のバンドも多く出演されますね。

片山「そういや、前回までは遠くから来たバンドはいなかったかも。でも特に意識せずに、いま呼びたい人たちを呼んだらこうなった」

Homecomingsの2016年のライヴ映像
Special Favorite Musicの2016年作『World's Magic』収録曲“Magic Hour”
 

――全出演者がオススメなのは当然として、主宰の2人が特にこのタイミングでライヴを観てもらいたい!と思うバンドは?

片山「うーん、僕が出演決定して嬉しかったのはNOT WONKですかね。彼らは群馬でまだライヴをしたことがないんです。ヴォーカルの加藤(修平)くんが足利でのCAR10のライヴに参加したことはあるんですけど。NOT WONKは、僕らよりも若い世代にとってのHi-STANDARDELLEGARDENになり得るバンドだと思う。〈MACHIKADO FES.〉は、高校生以下なら通し券でも500円とかなり安いので、今回は若い世代にも彼らの音楽を届けられたらと思っています」

CAR10にNOT WONKの加藤修平が参加したときのライヴ映像
NOT WONKの2016年作『This Ordinary』収録曲“This Ordinary”
 

――500円でNOT WONKを観られるのはヤバイですね! 圭史さんはいかがですか?

岡田「僕はJAPPERSですね。CAR10の川田に凄いバンドがいたと教えてもらって聴いたらホントに凄すぎて、こんなに渋くてイカした音楽をやれる人たちが日本にいたんだ!とマジで痺れました。山の中で聴いたら昇天しちゃいそう(笑)」

JAPPERSの2014年作『Imaginary Friend』収録曲“I Wanna Know That”
 

――確かにJAPPERSは野外で観るとすごく気持ち良さそうです。ちなみに2人は、ここ最近never young beachのライヴは観ましたか?

片山「観ました」

岡田「最高でしたよ。でもここに山があればなあと」

一同「ハハハ(笑)!」

安部「〈MACHIKADO FES. 2016〉では、僕らがいちばん良いライヴをすると思いますよ。もちろん僕らもまず自分たちが楽しみたいというのはありますけど、それだけじゃなくて、初めての人もファンの人もちゃんと楽しんでもらえるライヴがしたい。最近は、押し付けがましくない感じの楽しいライヴができている手応えがあるし、この日もバッチリかなと」

片山「安部ちゃんは、このバンドとこのバンドが出る日じゃないと出演しないと、はっきり伝えてきたんです」

安部「自分のテンションが上がる人と対バンしたいんですよ」

片山「友達だから出るんじゃないとも言ってたよね」

安部「友達だから、というだけで出演してもお互い得はしないという話をしたよね。友達だけど、あくまでリスペクトがないと。圭史やかたしょ(片山)が、こういう気持ちでこういう奴らを呼んでやるんだったら出たいと、自分が熱くなれなきゃ意味がないと思った」

片山「嬉しいですね。そこまでちゃんと言ってくれるのは安部ちゃんくらいだし。なあなあでやるよりも楽しい」

安部「まあ昔からの仲だし、〈MACHIKADO FES.〉はこれからどうなるんだろうなとは思います。このままのスタンスでやっていくのもいいけど、圭史やかたしょの楽しさのレヴェルが変わっていけば、おのずと出演者も変わってくるだろうし、やり方も変わってくると思う。ただ、その価値観が通じる限りは、いつまででも出たいと思える環境ですね。でも、俺らが呼ばれなくなってもいいわけだしね」

never young beachの2016年のライヴ映像 
 

――2日間開催になったほかにも、今年からの新しい試みはあるんですか?

片山「当日とは関係ないけど、〈八木節まつり〉でチケットを売ったのは初めてでした。八木節は〈MACHIKADO FES.〉の大事なところだと思う」

岡田「八木節は群馬県に伝わる俗謡で、盆踊りの一種でもあって」

安部「すごくカッコイイんですよね。みんなが太鼓をバンバン叩いて」

片山「〈八木節まつり〉は、とにかく多くの人――大人も子供もヤンキーも真面目くんも関係なくワーワー踊りまくっているんですよ。僕はずっと八木節とバンド・カルチャーが混ざったらおもしろそうだなと思っていたんです。それで〈MACHIKADO FES.〉に誘われたときに〈八木節を入れたい〉と言った。八木節もこのフェスの恒例になりましたね。(この取材日は)ちょうど八木節まつりの日なんですけど、そこで自分たちもチケットを売るし、PRしてきます。八木節とは親密でいたいよね。八木節に甘えている部分もあるし」

岡田「乗っかれば大丈夫でしょって(笑)」

片山「騒音問題も大丈夫でしょ、みたいなね。周囲の人たちも〈八木節ならしょうがないな〉って(笑)。イヴェントのいちばん最後に八木節を置いているのには意味があるんです」

岡田「八木節が始まると誰もが馬鹿になっちゃうんですよね」

2016年の〈八木節まつり〉の模様
 

――祭の良いところは、老若男女やどういう音楽が好きかとかに関係なく、あらゆる人たちが一堂に会して好き勝手に盛り上がれるところだと思います。

片山「そうなんですよ。〈MACHIKADO FES.〉の雰囲気も、そこに近付けたいという気持ちがあります。みんながそれぞれ楽しいようにやってくれれば、みたいな」

岡田「八木節まつりでは、誰もがめちゃくちゃ酒を呑んで暴れるんですけど、それが終わると街全体がシーンとしてしまう。だったらその日を増やせばいいと思ったんですよ。自分たちが踊れる場を作ればいいと」

片山「良いこと言ったね(笑)」

――最後に、〈MACHOKADO FES.〉はすごく魅力的なフェスだと思うんですけど、例えば東京のリスナーで、興味はあるけど足踏みしているような人に向けて、後押しできるアピールをお願いします。

片山「音楽に自信があるのは当然として、ロケーションも最高ですし、イヴェントというより遊び場と伝えるほうが近いような、お客さんそれぞれが自由にのびのびと楽しめるフェスだと思います。あとは……東武線を使ったら結構安いというのをアピールしようかな(笑)。会場の最寄り駅は赤城なんですけど、浅草駅から赤城まで特急を使わなければ1,500円弱くらい。案外安くない?」

安部「まあ、安いよね(笑)。2人はさ、最終的にどこまでこのフェスを盛り上げていきたいの? やりたいことやるんだったら、ある程度結果も出さないとできなくなってくるじゃん。僕は絶対にこの環境だったら、ちゃんと続けていけば人は入るようになると思うんだよね」

片山「機材が整ってなくて、オファーを断られることがたまにあるんです。だから毎年少しずつ機材も良くしていってるんだけど、さらにそこを充実させて、呼べる人をどんどん増やしていきたい」

安部「より良くしていくためには、その団体がどれだけ一個のものになって、同じところをめざしてやっていくかだと思うよ。誰か1人でもおかしなことをやっていると、どんどんやり方が面倒くさくなるし、しょうがないと言っちゃう自分も出てきてしまう」

片山「そういう意味では、フェスの実行委員が年々減っているんだよね」

岡田「うん」

片山「削ぎ落とされていっている」

安部「僕たちはライヴするだけだし、かたしょたちのチームの話なんだから関与するところじゃないけど、本気じゃない人とは話ができないからね。じゃないと伸びていかないと思うし。僕は……〈MACHIKADO FES.〉は伸びると思います(笑)」

片山「はい(笑)! 僕もよく安部ちゃんに相談しちゃうしね。そういう意味でもすごくやりやすいアーティスト。〈MACHIKADO FES.〉をやるにあたって、安部ちゃんの視点を大事にしているところもあるし。お客さんはもちろんですけど、出演者にも〈ここまで来て良かったな〉と思われるようなお祭りにしたいから」

安部「僕は〈MACHIKADO FES.〉、好きですよ。鈴木は?」

鈴木「好きですよ」

片山「嬉しい」

鈴木「(会場の小平の里にある)鍾乳洞がなにげに好きだった」

安部「なにげに好きっていうのはわかる。なんか安心感があるんだよね。普通って感じで」

片山「あ、それかも」

鈴木「山とのバランスが良いよね」

安部「気を遣わなくて良いフェスじゃない? すごく屈強なセキュリティーがいるわけでもなく、だからと言って変にハメをはずすお客さんもいない。のんびりダラダラしていて」

片山「そうだね。自由に楽しんだうえで、最後は八木節を観てほしい。そして一緒に踊ってほしいな」

 


〈MACHIKADO FES. 2016〉
会場:群馬・桐生 小平の里キャンプ場

2016年9月10日(土)
出演:CAR10/Homecomings/NOT WONK/Special Favorite Music/TempalayTENDOUJI/フジロッ久(仮)/上州八木節保存会星原喜一郎遠藤孝行田中亮太

2016年9月11日(日)
出演:DYGL/JAPPERS/never young beach/Suueat.踊ってばかりの国柴田聡子すばらしか/上州八木節保存会/星原喜一郎/遠藤孝行/田中亮太

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