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2016年の都市を彩る、新世代のメロウ・サウンドを紹介! Pt.2

DinoJr. DINOSENCE EXOMUSIC(2016)

91年生まれのシンガー・ソングライターが、Shingo SuzukiKan Sanoら手練れのプレイヤー陣を従えて送り出す初のフル・アルバム。濃密で複雑なグルーヴを紡ぎ、クラシカルな風格を備えた大人なムードのソウル・ミュージックを作り上げている。ゴスペルも吸収した力強い筆致のソングライティングが魅力的。 *澤田

 

 

向井太一 SLOW DOWN Eggs(2016)

今年3月のファーストEPで早耳リスナーをガッチリ掴んだ若きシンガー・ソングライターの新シングル。ロマンティックなトラックに伸びやかな歌唱を泳がせた表題曲など、先鋭的な意匠をポップに昇華したスムースなインディーR&B集だ。J-Pop枠でも大きくブレイクを遂げ得るスケール感が頼もしい。 *澤田

 

Suchmos MINT CONDITION SPACE SHOWER(2016)

現在の日本における〈ブラック・ミュージック〉の流行をリードしているのは、他ならぬ彼らだと言って間違いないだろう。ソウルアシッド・ジャズラウド・ロックなどを自在に組み合わせるアレンジ能力の高さと、YONCEの少しハスキーでセクシーな歌声は、今まさにジャンルの垣根を超え、全国に広まりつつある。 *金子

 

TAMTAM NEWPOESY Pヴァイン(2016)

ダブを軸に持つバンドがソウル/R&Bに接近した最新作。浮遊感たっぷりのサウンドをバンドならではのダイナミックなアンサンブルで展開しており、近年のインターネットなどにも通じるシルキーな音像が心地良い。エレクトロニクスの織り交ぜ方もおもしろく、現行の多様な動きを俊敏に捉えた作品だ。 *澤田

 

D.A.N. D.A.N. SSWB/BAYON PRODUCTION(2016)

幅広い層から称賛を獲得したトリオ・バンドによる初アルバム。独特のファルセットが引導するサウンドはどこまでもスムースだが、クラウトロック由来のミニマリズムやブリストル一派を彷彿とさせるダビーな音響に支えられたプロダクションが、心地良く耽溺することを拒む冷徹なムードを生み出している。 *澤田

 

 

yahyel Flesh and Blood BEAT(2016)

ポスト・ダブステップ~インディーR&Bを通過した冷たい空気を感じさせるトラックと、痛切なメロディーをエモーショナルに歌い上げるヴォーカルの組み合わせは、まさに世界標準。全体的にメランコリックではあるが、曲によってはポップであることも厭わず、肉体的なダンス・ビートを鳴らしてもいる。 *金子