気さくな好青年キャラで2010年にデビューして以来、作品ごとに無理なくイメージを更新し、すっかり色っぽい表現も板についてきたオリー。5枚目となるこのアルバムでは、結婚も意識していたという恋人との破局を経て、苦悩や失望も歌に滲ませ、ますます魅力的な人間味溢れるシンガーへと成長しています。ディスコな意匠を纏った前作『Never Been Better』(2014年)を踏襲しながら、話題の24金と同じ輝きを求めた80sファンク調があったり、はたまたメジャー・レイザー“Lean On”以降を感じさせる浮遊ポップがあったりと、トレンドを意識した音作りは流石としか言いようがなく、ソウルフルな美バラードも文句ナシ。全体の感触は、ジョージ・マイケル先輩の大名盤『Faith』をも彷彿とさせるほど……とか書いたら褒めすぎでしょうか。スティーヴ・ロブソンを中心としたいつもの布陣で、着実に、そして力強く次の段階へ進んだ一枚。〈これ以上ない〉の先にまだ上はありました!