セイヴ・マネーのトウキオがジャックした“Lying Together”(2013年)を聴いたことのある人も多いか。その名が示唆するようにニュージーランド系の血を引くパリのクリエイター、FKJ。鍵盤やサックスなど自身の楽器演奏を素材にメロウなビート構築を見せ、数年前からSoundCloudで高評価を得てきた彼が、より洗練された手つきで初のアルバムを完成させた。ここにも収録の“Lying Together”はテルマ・ヒューストン“Don't Leave Me This Way”の切り貼りに〈ヴォーカル〉を委ねていたが、今回はFKJ自身の歌がほぼ全編を牽引。柔和な意匠と繊細な歌い口で滑らかに紡がれる優美なベッドルーム・サウンドは、不思議な室内感と開放感を兼備していて、控えめに言っても作業用BGMでは終わらない上質盤。
FKJ 『French Kiwi Juice』 話題集めるパリのクリエイター、柔和な意匠と繊細な歌い口でベッドルーム・サウンド紡いだ初作
Roche Musique